ちゃんと話し合いますよ?って話です。
「ハッハッハ!今まで負けたことこそあれ、勝負にすらならなかったのはお前が初めてだぞ!レイタロウよ!」
「そりゃどうも。……というか酔っ払いすぎじゃないかガゼル王?あと臭い」
「馬ぁ鹿モン!こんなめでたい席で酔っ払わずにはいられるか!にしても、この国の酒は美味い!ハッハッハ!」
「誰だ、この人に酒なんか渡したのは……」
……おはこんばんちは。俺の名はレイタロウ。
無事結婚式という名の祝言を終えて、紋付羽織袴を着ながらの飲酒を嗜んでいたところ、酔っ払い親父にダル絡みされることとなった憐れな男だぉ……。
「ハァ〜シュナ様が羨ましいですぅ〜」
「シオンにも必ず、素晴らしい殿方との出会いが待っていますよ?」
「あぁ〜んもぉ〜!私はリムル様一筋なんですぅ〜!この気持ちがシュナ様に分かるワケないんですよぉ〜!」
「いま分かってしまったのだけど……」
白無垢姿のシュナがあんなに遠く……。
クソッ、俺に酔っ払い親父の相手をする趣味はねぇ!
あくどけ、あくどけよぉぉぉ!!
「いやはや、それにしてもハクロウ殿がガゼル王の剣の師匠であるとは思わなんだ!」
「誰にも聞かれなんだ故、このことはつい最近まで忘れておりましたがな。カイジン殿」
「……それはそうと、ハクロウ殿から見てレイタロウの旦那の実力は如何ほどなもんだい?」
「ワシの矮小な物差しでは測れぬ、とだけ……」
今は皆と一緒に宴用の大広間にいるワケだけども、それはもうそこかしこで大騒ぎになっていた。
「ゔお"ぉぉ"ぉぉ"ぉジュ"ナ"ぁ"ぁぁぁぁ"ぁ!!」
「泣くな騒がしい」
「何をぉソウエイ!?お前にシュナの兄である俺の気持ちが分かってたまるかぁ!!」
「(´Д`)ハァ……」
「いやぁ~今夜の宴はメチャクチャ豪勢ッスね!」
「そりゃあもう、レイタロウ様とシュナ殿がご結婚されるのだから当然だろう!」
ハフハフガブガブムシャムシャ…「おかわりだ!ハッ…ハッ…ハッ…!!」
「熱いから気を付けてねランガちゃん」
「ハムッ…ワ、ワ、ワ、ワオーン!!?」
「レイタロウ様!おかわりはまだまだたくさんありますので、是非お申し付けくだされ!」
「ゲルド様……本当に我らも食して良いのでしょうか?」
「……遠慮する必要はない。食べたい時に食べられる、これに勝る喜びはない」
「っ……はい、はい……!!」
「こりゃ、一体一体がAランクオーバーじゃないか?」
「よせって!……聞こえるぞ」
「我輩達の舞を奉納させてもらいますぞ!エイヤッ!」
「「「 ハッハッハッハ、ガビル様〜! 」」」
「バカモーン!そこはレイタロウ様であろうがッ!」
「何をやってるんですか兄上……」
「あーあー、王様あんなに飲んで……」
「……人妻のシュナちゃんもいいな。兄弟」
「……そうだな。兄弟」
「リ"ム"ル"じゃま"わ"だじどげっ"ごん"じぇぇ!!」
「のわっシオン!!?」
「クアッハッハッハ!リムルもモテモテだな!」
「ジュナ"ぁぁ"ぁぁぁ"ぁ"ぁ!!!」
「リ"ム"ル"ざま"ぁぁ"ぁぁ"ぁぁぁ"!!!」
「やっ、よせって……『
《解。場の空気に身を委ね、耐えきることを推奨します》
「それが出来たら相談しねぇぇぇ!!」
「シオン!?リムル様が困ってますよ!」
「レイタロウ!お前もどんどん飲め!飲んで飲んで飲み明かせぇ!ハッハッハ!!」
あーもう、カオスだよカオス、カオスドラゴンだよ!
もうじゃんじゃん騒ぎまくれ!飲みまくれ!
今夜は無礼講だぁぁぁ!!
……そして、気づけば日にちを跨いで深夜となっていた。
喧騒で満たされていた大広間はすっかり静寂に包まれており、酒をちびちびと飲む一部を除き、皆が皆その場でゴロンと転がって寝ていた。
俺のすぐ傍らには、疲れ切ったのか静かな寝息を立てながら熟睡するシュナの姿が。
こうして見ると子供っぽいから尚更可愛いよなぁ。
俺はそんなシュナの寝顔を横目に見つつ、大広間の吹き抜けより顔を覗かせる月明かりを見上げながら、酒を嗜んでいた。
肝臓が強すぎるせいで酔っ払うことはないものの、これは果実より精製した果実酒であるため、その甘みを楽しむことは出来る。
「……レイタロウよ。少し良いか?」
「散々付き合ったからもうダメ……なんて言える空気じゃないな。差し詰め明日以降のことか?」
「……うむ」
横合いから声をかけてきたガゼル王に冗談めかしく返しつつ、彼が差し出してきた
「中身を確かめんとは……毒が入っていたらどうする?」
「生憎、毒を直接流し込まれても生きていられるんでね。それにもう他人同士じゃなくなっただろう?」
「敵に回るかもしれんぞ?」
「そうなったら残念。……でも、そうはならないと信じているよぉ」
「その心は何だ?」
「俺達が邪悪な魔物じゃないと分かってもらえたことと、この国の存在そのものが諸外国同士の交易路になる可能性を秘めているからだ」
ここジュラの大森林は、ヴェルドラさんが居座っていること自体が一種の抑止力となって周辺諸国の動きを牽制していたワケだが、
そして、一度外れた
俺やリムルさんがいたから彼ら大森林の魔物達は今日という日を迎えられているものの、もし居なかったらと思うとゾッとしてしまう。
……話が逸れたな。
要は、この国を今後襲うであろう脅威に備えるために、国力を蓄える必要があるということだ。
その第一歩として、武装国家ドワルゴンと国交を結び、正式に国家として承認してもらう必要がある。
但し、障害もないワケではない。
「……そもそも、魔王領は正式に国家認定されるのか?」
「いや、ないな。魔王領はどちらかというと不可侵領域として扱われるし、魔物撲滅を謳う西方聖教会が黙ってはおらん」
「そうか……」
「安心せい。だからこその
「義理立てする必要はないと?」
「そうだ。だからこそこれだけは答えよ。お前はこの国を今後どのように導いていくのだ?」
仲が良くないとはいえ、下手すれば西方諸国を敵に回す大博打を打つことになるのだ。
確かに、聞いておかねばならないことだろう。
「まず大前提として、悪魔の巣窟と思われるような酷い国を作るつもりは毛頭ない」
「………」
「俺が理想とする国、それは〝魔物と人が共助し合う多種族国家〟だ」
「ほぅ……」
「要はさっきの宴と一緒で、種族差を飛び越えてワイワイガヤガヤと楽しく笑って過ごせる、そんな国を作っていきたいと思っているワケだ」
「……意外だな。お前はもう少し現実主義者だと思っていたが」
「勿論、国を守るための軍事力にも注力していく予定だ。むしろそちらが本命なんだがな。……理想は天高く掲げ、現実は堅固に積み上げていくってな」
「……フッ、面白いことを言いよる。お前が考えた言葉か?」
「この世界で俺が初めて言った気がするから、おそらくそうだろうと思う。……それで、ガゼル王の決断は?」
ガゼル王は、手に持っていた盃に入った割と辛めの酒をグイッと呷ると、プハーッと豪快に息を漏らした。
「うむ。やはりこの国の酒は美味いな!……こんな良い酒を造れる国を潰すなど、それこそ馬鹿がやることだ」
「……じゃあ?」
「うむ。レイタロウよ、俺と盟約を結ぶ気はあるか?」
「喜んでお受けしよう。……それで条件は?」
「即決か。……条件は取り敢えず二つ。一つは国家の危機に際しての相互協力。もう一つは相互技術提供の確約だ。二つ目に関しては
「なるほど……しかしそうなると、製造元はリムルさんのスキル頼りだから、どうしても専門の技術職が必要になるな。ガゼル王、人材にアテはあるか?」
「ある。……都合の良くそいつは暇を持て余しておる故、後日俺が引っ張り出してきてやろう」
「それは助かる。……それと、一つ目の相互協力に関連することなんだが、此処とそちらの国の間には街道が全く整備されておらず、将来的に色んな国々との交易をする上でこれほど不便なこともない。そこでだ、うちの国が主導して大規模な街道整備を行いたいと思う」
「本当か!?……して、我が国が負うべき負担は?」
「うちの国が全ての負担を負う。その代わり、街道の利用料や間隔を置いて設置する宿屋の宿泊料諸々の利益はうちで独占させてもらう。無論、いの一番に盟約を結んでくれたドワルゴンが利用する際はほかの国に比べて超格安にするつもりだ」
「ふむ……我が国まで街道を伸ばしてくれるのか?」
「認めてくれれば、ね」
「上空から見下ろしていたが、国と地続きになるように街道が途中まで整備されておった。……お前、最初から盟約ありきで事を進めておったな?」
「当然だろう。先々を見据えて最善を選択するのが王たる俺の責務だ」
「フッ、違いない。やはりお前は見どころがあるな!」
豪快に笑いながらガゼル王は、俺から奪い取った盃にトクトクと酒を注ぎ、差し出してきた。
「それで良い。王とは下々の者に命令を下し、俯瞰し、その全ての責を一手に引き受ける者でなければならん」
「……ということは、俺は合格だな」
「そうだ。我らドワルゴンは、ジュラ・スターモンズ連邦国を正式かつ対等な国家として認める!」
差し出された盃を受け取り、ガゼル王と示し合わせるようにグッと一気飲みする。
かぁ〜やっぱ辛いわこれ、効くぜぇ〜!!
「「「「 同盟締結おめでとうございます!レイタロウ様!! 」」」」
「……なんだ君達、起きてたのか」
へへっ、なんか恥ずかしいなぁ……。
取り敢えず、途中まで進めさせていた街道整備が無駄にならずに済んで良かったと内心喜ぶ俺であった。
「え、俺達が
「逆に、それ以外にあり得ませんよ」
早朝、水を飲みに水汲みをしに来たところ、ガゼル王の護衛の人達とバッタリ出くわすこととなった
そこで驚くべき話を聞かされることとなった。
どうやら先程、正式に魔国連邦の脅威度が認定されたらしく、それがなんと特Sクラスの
通常、
そんな……俺達が天災だなんて。
「魔物が町を造るなんて前代未聞だからな。それに……
「
「まぁ天災級は竜種と一部の魔王にのみ与えられている究極的な称号ですから、討伐に名乗りを上げるような国は表立っては現れないでしょうがね」
「そっかぁ……」
殆どレイタロウさんのためにあるような称号だけど、それが抑止力として作用するなら問題はない……のかな?
「……あっそうだ。調印式の後、時間取れるか?」
「ん、何でしょう?」
「いやさ、うちが独自に進めていた
「何だい、その長期計画って?」
「この国をスッポリと覆う大結界を構築するのさ。色んな国の結界ノウハウを用いた超特別製のヤツをな!」
シュナ達、護国結界の開発を要請されていた件について。