転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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信じてもいいかな……っていう話です。


信頼できる者

 

 

「……つーワケで、お客さんを連れてきたぜ。レイタロウさん」

 

「お疲れ様、リムルさん」

 

 

どうもどうもどうもー!

 

皆大好きレイタロウお兄さんだぉー!!

 

今日は滅茶苦茶ハイテンション気味にイカしたメンバーを紹介していくぜッ!!

 

わわわわーっ!!(某クロちゃん並み)

 

……ふぅ、しんどっ。

 

 

「お初にお目にかかります。私はフューズ、ブルムンド王国の自由組合支部長(ギルドマスター)をしております。以後お見知りおきを……」

 

「うむ、フューズ殿。……既に知っているかもしれんが、ジュラ・スターモンズ連邦国の国王を務めるレイタロウという者だ。遠路はるばるよくぞここまで来てくれた。貴殿らの入国を心から歓迎しよう」

 

「感謝いたします。レイタロウ殿」

 

 

俺専用に作られたデッカい椅子に深く腰掛けながら偉そうに応対する。……まぁ実際偉いんだけどねぇ。

 

 

「私の目的はあなたに会うことでしたが、先んじてリムル殿を遣わしてくださったご判断に深く感謝申し上げます。彼がいなければ我々の命はなかったかもしれません」

 

「構わんとも。いまだ雑多な魔物を統一できていないこちらにも非がある。貴殿らをつまらぬ理由で失うことのほうが大きな損失だ。……さて、世間話はそこそこに本題に移るとしよう」

 

「っ、はっ……(なるほど。威厳に満ちあふれているが、その実無駄を嫌う効率主義的な面が窺えるな。こちらとしても無駄話をせずに済んで助かるが)」

 

 

ごめんねフューズさん。

 

無駄を嫌ってるのは合ってるよ。

 

……そのためにスキル越しからあなたの心の声を拾っているワケだけども。

 

 

「数ヶ月前にその姿が目撃された豚頭帝(オークロード)。その脅威を取り除いたのが魔物である俺であると後ろにいるソウエイから聞かされた貴殿はこう考えた。……魔物を倒したのが新たな魔物とあっては、人類は安心することが出来ない。やがてその牙がこちらに向けられるのではないかと……」

 

「ま、まさに、その通りです……!」

 

「……さて、色々と事情を説明する前に、先に結論だけ述べさせてもらおう。オークロードとそれが率いる軍勢十九万はまるごと俺の配下となった。異論は受け付けぬゆえ、ご容赦いただきたい」

 

「なっ……そりゃホントか!?」

 

 

お、さっきまで静観していたガラの悪そうな彼、ヨウムさんがガタッと席から立ち上がったぞぉ?

 

喧嘩か?喧嘩が始まってしまうのかぁ!?

 

……メンゴメンゴ、煽るつもりはナッシングよぉ。

 

 

「本当だヨウム殿。現在の彼らは生(・)ま(・)れ(・)変(・)わ(・)っ(・)た(・)か(・)の(・)よ(・)う(・)に(・)忠実かつ勤勉に働く我が国の大切な労働力だ。むしろ働きすぎるくらいだがな」

 

「けどよぉ!」

 

「よせヨウム君!……失礼しましたレイタロウ殿。あまりにも現実離れした内容ゆえ、少なからず取り乱してしまったようです。かくいう私もその一人ですが」

 

「うむ。順序立てて話すとどうしても長くなってしまうのでな。結論だけ先に述べさせてもらったが、混乱するのも無理からぬことだった。……ではまず、貴殿達が一番気にしているであろうオーク達の潜在的な危険性の有無について話させてもらおう」

 

「っ、是非とも」

 

「オークの軍勢の脅威はオークロードのスキル『飢餓者(ウエルモノ)』の効果に依るところである。そちらの認識もこれで合っているだろうか?」

 

「……えぇ。味方の恐怖の感情すら喰らうこのスキルは、普段は纏まりのないオークを一個の統制のとれた軍隊に変えてしまうと」

 

「それなのだがな……配下にするにあたり、そういう飢餓感を促すスキルは非常に邪魔だったワケだ」

 

「「 ……はぁ? 」」

 

「それ故に、優(・)し(・)く(・)上(・)下(・)関(・)係(・)を(・)叩(・)き(・)込(・)ん(・)だ(・)後(・)に(・)名付けを行い、オークロードの本当の望みであった仲間の飢えを満たしたいという純粋な願いによって『飢餓者』を上書きし、実質オークロードの脅威を取り除いてやったのだ」

 

「ハァァァァ!!?」

 

「現在オークロード、いやゲルドは、仲間に飢えを伝播し、無作為に外部の力を取り込む飢餓者では断じてなく、自らの僅かな糧を群れ全体に循環し、飢えを満たして明日を生きる活力をもたらす豊穣の王となった。……そして、現時点までに『飢餓者』を発現しているオークもまた存在していない。まぁこの国の様子を見れば分かることだな」

 

 

いかんいかん、つい早口になっちゃった。俺の悪い癖。

 

 

「そりゃあ……そうだけどよ」

 

「確かに、オークロードの脅威は排除されたのでしょう。しかしそれを成したのが魔物(あなた)なのだとすると……」

 

「ふむ。そこは俺個人を信用してもらいたいところだが、なんとも面倒なものだな人類(君達)は」

 

「はっ、何から何まで申し訳ありません」

 

「……そうだったそうだった、ガゼル王が来た時も確か似たことを言っていたな」

 

「ガゼル王……ドワンゴンの王がやってきたのですか?」

 

「俺を見極めると言ってな。……それで結局、うちと盟約を結んで帰っていった」

 

「は、盟約……!?(馬鹿な、あの賢王が魔物の町を一国家として認めたというのか!?)」

 

 

そうなのよぉ。

 

あのおっさん、うちの酒樽を二つも空にして帰っちゃってさ、絶対代金を取り立ててやるって誓ってるの。

 

 

「失礼します。リムル様、例の回復薬の売り方についてですが……あっ失礼、来客中でしたか!」

 

「悪いなベスター。後で聞くよ」

 

「いえいえ。では後ほど」

 

「(ベスター……ドワーフのベスター……)って、ドワルゴンの大臣の、あのベスター殿かッ!!?」

 

「そうだよ。元大臣だけどな。今ではカイジンと双璧をなすウチの優秀な研究者兼技術者だ」

 

「(あの伝説の鍛冶師まで……!!?)」

 

「ギルマスすごい面白い顔してるぅ」

 

「「 アハハハー 」」

 

 

固まっちゃったよ……。

 

またリムルさんの自覚なき暴言が炸裂したワケね。

 

リムルさん……なんて罪作りなスライムッ!

 

まぁ冗談はさておき、この怒涛の情報量を処理するにはしばらく時間がかかりそうだな。

 

しばらく放っておくとして……。

 

 

「それでヨウム殿、貴殿らもブルムンドの自由組合(ギルド)に所属しているのかな?」

 

「あ、いえ、私達は……」

 

「……その前に聞かせてくれ」

 

「何だ?」

 

「なんで俺の名前知ってるんだよ」

 

 

……あー、そこからかぁ。

 

 

「だっておかしいだろ!俺ここに来てから全くあんたに名乗ってないのに、なにごく自然に俺のこと知ってました感出しながら話を進めてんだよ!不気味すぎるわ!」

 

 

ごめんね、ぶっちゃけ知ってた君のこと。

 

何なら数ヶ月前からずっとマークしてたよぉ。

 

 

「……なに、簡単なことだ。ここジュラの大森林は今や俺の庭に等しい。この森で起こったこと、この森に密かに滞在する者、その全てを俺は把握している」

 

「マジかよ……!」

 

 

これは割とホントの話。

 

ジュラの森大同盟を結成した当時、まだ結界が無かった懐かしいあの頃に、樹妖精(ドライアド)のトレイニーさんと別個の協力関係を築いておいたのだ。

 

まぁ簡単に言うと、俺の名において樹人族(トレント)の保護と繁栄を確約する代わりに、ドライアドが独自に張り巡らせていた情報網を俺が利用させてもらうというモノだ。

 

国防という観点で見ればこの情報網は今なお有用であり、結界を展開し終えた現在でもありがたく使わせてもらっている。

 

……まぁ森に入る以前からずっとヨウム君はマークしていたけどねぇ。

 

 

「……えぇと、横から失礼させてもらいますがよろしいでしょうか?」

 

「構わない。……貴殿はロンメル殿だな」

 

「あはは……その通りです。私達はファルムス王国の調査団として来ました。ヨウムは団長で、私はそのお目付け役です。こちらにお邪魔したのは成り行きですが、調査対象のオークロードが既に無害化されていると知れたのは僥倖(ラッキー)でした」

 

「うむ。……不躾だが、貴殿らの装備類はあまり良いものとは言えないな。オークロードを調査するという名目にしては真剣味が足りないように見受けられる。雇い主の領主が活動資金を出し渋っているのかね?」

 

「それも、その通りです。目に見えて危険な調査ですのに、領主は強欲で、寄せ集め集団にマトモな装備など揃えてくれるはずもなく……」

 

「よく逃げ出さなかったものだ」

 

「そのために私が同行を命じられました。契約魔法という強制的に従わせる魔法がありますので、それで縛るのです」

 

 

うわぁ……ブラックやんけ。

 

 

「ま、その魔法はもう解いちゃったんですけどね!」

 

「え?……えーと、ロンメル殿はお目付け役ではなかったのかね?」

 

「そうでしたよ。……ですが今は、このヨウムについて行くと決めたのです」

 

 

ロンメル君のあの目、凄い見覚えがあるぞぉ……。

 

これは……あれだ、憧れのヒーローを目にして興奮するファンボーイの目だ。

 

 

「……しかし、よく逃げ出さなかったものだな」

 

「ああ?」

 

「危険な調査に安い装備で送り出されたのだろう?推し量るに雇い主の領主は成功報酬を奮発するタイプではなさそうだしな」

 

「ンなこたぁ分かってるよ。……けど、オークロードの情報を教えてやらねぇと、町の人(やつら)が危ねぇじゃねーか」

 

 

俺の後ろに控えていたシュナ達がヨウム君の行儀の悪さに顔を顰(しか)めていたものの、それで〝四方の王の陣〟がペナルティを発動することはなかった。

 

あれで一応、俺には敬意を抱いているらしいし、配下達も不敬と思っていないっぽいのが凄いよなぁ。

 

 

「あの町にゃ説教くせぇジジィや酒場のお節介なババァや後をついて回るうぜぇガキ共だっているんだ。……勘違いすんなよ。あいつらが死んだら寝覚めが悪いと思っただけだ!」

 

 

野郎のツンデレ発言を聞くつもりはなかったが、ヨウム君が故国を想う不器用で心根の優しい男だってことはあらかじめ分かっていたことだ。

 

改めて聞けて安心したぉ。

 

 

「ま、あのタヌキ伯爵が困る姿は見てみたいけどな。ロンメルから聞いた話じゃ、防衛の強化に充てるべき国の援助金も着服してたってんだぞ」

 

「つまり何の対策もしていなかったところへオークロード出現の話が出て、慌てて我々が編成されたんです」

 

「そもそもだな、こんな危険極まりない調査にこんな若造使うか?もっと熟練の魔法使いの一人や二人抱えてんだろが。結果だけ分かればいいって魂胆が丸見えなんだよ」

 

 

確かに、どう考えても捨て駒だろうなぁ。

 

ロンメル君がヨウム君につく理由も分かるってもんだ。

 

 

「そういえばカバル達を助けてくれたそうだな。一友人として礼を言うよ」

 

「いや、あれは……正直戦力になれたとは思わねぇよ。槍脚鎧蜘蛛(ナイトスパイダー)の脚をはじくので精一杯だったしな。助かったのはそこにいるスライムの、リムルの旦那のおかげだ」

 

 

腕は立つが、調子に乗らない。

 

仲間に慕われるカリスマ性もあり、顔も悪くない。

 

何より性格が良い。これがイチオシポイントだ。

 

 

「やれやれ、またかレイタロウさん……」

 

「レイタロウ様……?」

 

「フッ、レイタロウ様がまた何か企んでおられるぞ」

 

「ですね」クスクスッ…

 

 

なぁ〜にを言っておられるか皆の衆?

 

これはね、国家を上げた一大プロジェクトなんだよぉ?

 

乗り遅れないように気を付けなさぁい。

 

 

「よろしいかなフューズ殿?」

 

「……はっ!はいっ!?」

 

「オークロードを無害化したという情報は既に知れ渡っているのかな?」

 

「あ、いや、使者殿が来た時、その場に居合わせたのは私とこの三人だけです」

 

「イモなくなっちゃった……」

 

「(こいつら……!)知らせたのはブルムンドの国王と一部の大臣のみ、一般に発表はされていません。確かな情報を得る前に発表しては混乱を招きますので……」

 

 

ちなみに、俺のほうも九人の魔王に向けて水晶を送りつけているから、事の真相を知っているのは魔王とその側近、あとはフューズさんの言ったごく一部の関係者くらいなものだろう。

 

そして、彼らが人類に対しての甲斐性をそんなに持ち合わせていないことも理解している。

 

 

「なるほど、それは好都合だ。……ヨウム君」

 

「あ、なんだよ?」

 

「君、英雄(ヒーロー)になる気はあるかね?」

 

「………………はぁ?」

 

 

君の疑問はもっともだ。

 

だけどね、君には是が非でも引き受けてもらうよ。

 

……後の予定も詰まってるしねぇ。

 




ミリム「お邪魔するのだー!」

トレイニーさん「……本当に来られましたね」

ミリム「親友(マブダチ)の頼みだからな!さっさと暴風大妖渦(カリュブディス)を復活させて突撃するのだ!」

トレイニーさん「……もう好きになさってください」
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