ゴブリン達とお話をするって話です。
スレ○ブ小説のオリ主をゴジラ(初代)とするなら、今作のオリ主はまさしくゴジラ(アース)を超越したゴジラ(スター)となります。
……まぁだから何だって話なんですが。(どう足掻いても絶望的な意味で)
「初めまして。……でいいのかな?俺はスライムのリムルと言う。悪いスライムじゃないよ!」
俺ことレイタロウは、ゴブリン達を一瞥した。
本人達からすれば必死なのだろう。
……油断なく武器を構えて、こちらの様子を伺っている。
まぁもっとも、残念なことに何匹かは既に逃げ腰になっているようだけどねぇ。
が、リーダー格は流石だった。
俺達から目を離すこともなく、こちらを見つめている。
……ふむ、彼からは知性を感じる。
案外会話も成り立つかもしれないな。
発生させた声に思念を乗せて、相手に言葉となって通じるか試しているリムルさん。
果たしてどうなるか……?
……。
………。
…………。
リムルさんの声を聞いたゴブリン達がざわめきだした。
そんなことを思っていたが……武器を投げ捨てて平服する者が現れだした。
嗚呼、どちらもあり得るパターンかぁ……。
「グガッ、強キ者ヨ!アナタ様ノオ力ハ十分ニワカリマシタ!!声ヲ鎮メテ下サィ!!!」
あーあ、完全にビビられちゃったよぉ……。
これじゃ話し合いなんて出来ようはずもない。
俺は一歩後ろに下がり、反対にリムルさんは一歩進み出て謝罪を口にした。
「すまんな。後ろにいる黒くてイカついデカブツは俺の仲間なんだ。見た目は滅茶苦茶怖いけど優しい心の持ち主だから、間違ってもお前達を取って食ったりはしない。だから安心してくれ」
すまんねリムルさん。代わりに謝らせて……。
「オソレオオイ。我々ニ謝罪ナド、不要デス!」
言葉は通じているみたいだねぇ。
ちなみに今リムルさんが話したのは多分日本語。
……それなのに、意味が通じることに地味に驚いた。
これも『魔力感知』の成せる技なのか……?
「……で、俺達に何か用か?この先には別に用事なんかないよ?」
丁寧に話しかけてきた相手には、こちらも同じく丁寧に対応すべきと内心思いつつも、あまりにもゴブリン達の態度がへりくだりすぎていたため、リムルさんは若干強気に話しかけていた。
「左様デシタカ。コノ先ニ、我々ノ村ガ在ルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ、警戒ニ来タ次第デス」
「強い魔物の気配?……それって俺の後ろにいるレイタロウさんのことを言ってるんだろ?」
「グガッ、グガガッ。ゴ冗談ヲ!ソノヨウナオ姿ヲサレテイテモ、我々ハ騙サレマセンゾ!」
……ん、そのようなお姿?
まるでリムルさんのことを指しているような……?
《告。周囲百メートル以内に個体名リムル=テンペストを上回る魔素を持つ生物は存在しません》
……ちなみに俺は、『気』と言うかそういう類のエネルギーは普段からちゃんと隠蔽するよう心がけている。
全身の毛穴をピッチリ閉じる感じで『気』の漏出・消耗を抑えているのだ。
ちなみに『気』って言うのは、俺が勝手に名付けただけの、俺の中に巡っている万能クリーンエネルギーのことを指している。
ある程度使いこなせれば、身体能力の強化や治癒などに活用できる素晴らしいエネルギーなワケよ。
おっと、話が脱線しちゃったな。
つまるところ、魔素だろうと何だろうと、俺が誰かにその存在を悟らせるポカをやらかすかって話なワケで……。
少なくとも『大賢者』は、魔素総量においてリムルさん>俺という結論を出したということだ。
って言うか―――
「リムルさん。『魔力感知』の視点を自分に切り替えてみてくれ。……ダダ漏れだぞ」
「えっ……うわホントじゃん(/////////)」
全く……このうっかりさんめ!
だからあれほど魔素管理は徹底しろって言ったのに……。
「ふ、ふふふ、流石に気付いたか。良い目を持ってるな」
「勿論デス!漂ウ風格マデハ隠セマセヌ!」
あ、誤魔化したな。
……まぁそれがいいかもしれないけどねぇ。
同時に、リムルさんは必死になって魔素を操作し、体外にまで拡散していたものを余すことなく回収するように引っ込めていった。
……いや、マジで物覚えが良いな?
とはいえ、その対応にゴブリン達もニッコリ。
「オオ、助カリマス。ソノ
「ハハハ……いやなに、
「イヤハヤ、スライムニ化ケル技量トイイ、トンデモナイ御方デスナ!」
結局、力ある魔物がスライムに化けている、という思い込みのまま話は進んでしまったようだ。
それから暫くリムルさん主導でゴブリン達との会話が行われ、その流れで村にお邪魔することになった。
どうやら泊めてくれるらしい。何とも親切な人達だ。
極端な話、俺もリムルさんも睡眠や食事は必要ないのだが、人からの善意を無碍にはすまいよ。
そうして、俺達は村への招待を受けることにしたのだ。
……ちなみに俺は、魔素の全く無い見てくれだけは一丁前の魔物にしてリムルさんに可愛がられている〝ペット〟と認識されてしまった。
……ゴブリン達よ、これだけは言わせて。
俺にそんなッ
俺達は道すがら、色々な話を聞くことが出来た。
曰く、最近彼らの信仰する神がいなくなったこと。
曰く、神の消失と同時に、魔物の活動が活発化したこと。
曰く、森の中に力ある人間の冒険者の侵入が増えたこと。
エトセトラ、エトセトラ……。
そして、会話を続けている内に相手の言葉もクリアに聞こえるようになってきた。
どうやら『魔力感知』の応用での会話のやりとりに慣れてきたお陰のようだ。ヤッタネ!
人間と会話する前に、ゴブリンで練習出来たのは良かったかもしれないなぁ。
そんなことを話しながら、彼らについて行った。
「えっ、ちょっと小ぎた……」
「リムルさん、それは失礼だよ」
村は、え?と言いたくなるほど小汚い感じだった。
所詮はゴブリンの巣穴、期待してはいけなかった。
俺達は、比較的マシに見える建物?に案内された。
腐ったような藁の屋根で、隙間だらけであり、ベニヤ板を重ねただけのような壁の……前世の感覚からすれば、スラムのほうがまだマシ!というレベルの家だった。
レイタロウさんなんか、そのデッカイ体を丸めてようやく収まるくらいなんだから相当だ。
「お待たせ致しました。お客人」
そう言いながら、一匹のゴブリンが入ってきた。
そのゴブリンを支えながら、先程まで俺を案内して来たゴブリンリーダーが付き添っている。
「あぁいやいや。それほど待っていません。お気遣いなく!」
俺は営業で培った笑顔を浮かべて対応した。
笑顔一つで交渉を有利に進める。
……我ながら恐ろしい技である。
何を交渉するのかは分からないけれども……。
ちなみに現在、レイタロウさんのあぐらの上で玉座に座す王様の如くふんぞり返っている。
ふふ、控えおろーってな。
「大したもてなしも出来ませんで、申し訳ない。私は、この村の村長をさせて頂いております」
そう言って、目の前にお茶っぽいものを出された。
ゴブリンにもそういう文化があることに驚いた。
お茶を啜る。
味は感じられない。
……当然である、味覚が無いのだから。
この場合は良かったのか悪かったのか……。
成分を調べたが毒ではない。
ゴブリンなりの気遣いが感じられた。
「で、自分達をわざわざ村まで招待したということは、何か用事があるからなんですよね?」
ド直球で訊ねた。
同じ魔物だから仲良くしよう!
……そういう友好的なだけの招待ではないだろう。
村長はビクリと体を震わせたが、覚悟を決めた様子でこちらを伺う。
そして、頭を下げてこう言ってきたのだ。
「貴方様の秘めたるお力、息子から聞き及んでおります。我らの願い、何卒聞き届けては貰えませんでしょうか」
「……内容によるな。言ってみろ」
「ははぁ!」
これはあれだ、俺の戦力が目当てなんだなきっと。
先程の丁寧な態度から一変、尊大な物言いに切り替えて話の続きを促した。
話の内容はこうだ。
ひと月ほど前、この地を護る竜の神(多分ヴェルドラ?)が急に姿を隠したことが発端となり、縄張りを求める近隣の魔物からのちょっかいが劇的に増えてしまったとのこと。
特に、東の地からこの地の覇権を狙って新参の魔物が押し寄せて来たのだ。
この周辺には幾つかのゴブリンの集落があるらしい。
この集落はその内の一つなのだが、その新参の魔物との小競り合いでゴブリンの戦士が多数戦死したのだそうだ。
で、その中に
その戦士はこの村の守護者のような存在だったのだが、その存在を失ったことで、この村の存在価値が激減した。
ほかのゴブリンの集落は、この村を見捨てたのだ。
新参の魔物がこの村を襲っている間に対策を立てる!
……それが、ほかの集落の総意だった。
村長やゴブリンリーダーがいくら掛け合っても、冷たい対応をされたらしい。
村長達は、悔しさを滲ませてそう語った。
「なるほど……で、この村には何人住んでいる?その内、戦える者は?」
「はい、この村は百匹くらい住んでます。戦えるのは、雌も合わせて六十匹くらいです」
何とも頼りない。
しかし、数を大体でも把握出来るというのは、ゴブリンにしては賢いのかもしれない。
「ふむ。相手、その新参の魔物の数と種族は分かるか?」
「はい。狼の魔物で、牙狼族です。本来一匹に対し、我々十匹で対応しても勝てるかどうか。それが百匹ほど」
は、何その無理ゲー?
俺は、村長の目を見つめた。
決して冗談を言っている目ではない。真剣に見つめ返してきた。
若干の濁りはあるが、ゴブリンにしては真摯な眼差しとでも言うべきか。
「そのゴブリンの戦士達、勝てないと判っていただろうに少数で向かったのか?」
「……いえ、この情報は、その戦士達が、命がけで入手したものです……」
……そうか、それは悪いことを聞いた。
更に聞いたところ、ネームドゴブリンは村長の息子で、ゴブリンリーダーの兄だったそうだ。
話を聞いて、どうするか考える。
村長は何も言わず、俺の決断を待っている。
俺の気のせいか、その目に涙が浮かんでいるような……気のせいだろうな。
魔物に涙は似合わない。
傲岸不遜に行こう。それが、恐れられる魔物の正しい姿!ってものだ。
「村長、一つ確認したい」
「は、はぁ……何でございましょう?」
その時、今まで口を閉ざしていたレイタロウさんが、初めて村長に言葉を投げかけた。
村長は、俺のペットだと勘違いしているレイタロウさん相手にも表面上は礼儀正しく受け答えしていたが、その態度は俺の時と違ってどこか訝しげに感じられた。
「俺達がこの村を助けるなら、その見返りはなんだ。君達は、俺達に何を差し出せる?」
別に、気まぐれで助けてやってもいい。
しかし、こいつら十匹で一匹相手に出来るかどうかという魔物が百匹だ。
決して楽な相手ではないだろう。
黒蛇に擬態するか、あるいはヴェルドラに出てきてもらえば何とかなるとは思うのだが……。
とにかく、気安く請け負っていい話ではないのだ。
「我々の忠誠を捧げます!我らに守護をお与え下さい。さすれば、我らは貴方様方に忠誠を誓いましょう!!」
そんなモノ貰っても正直嬉しくはない。
しかし、本当に短い時間ではあったが、ゴブリンとの会話すら楽しいと感じている自分がいた。
人間であれば、その不潔感に嫌悪を抱いたかもしれない。
だが、今の俺は魔物なのだ。病気を恐れることもない。
それに何より、村長の目。
……完全に俺を頼りにしている。
前世を思い出す。
何のかんの言って、俺は頼まれごとに弱かった。
愚痴を言いながら、後輩に文句を言われながら、依頼主や先輩の頼みを聞き入れたものだ…。
「リムルさん。……俺は彼らを助けたい。忠誠云々は置いておくとして、もう放っておいていい存在じゃなくなってしまったからな」
「OK。……いいだろう。その願い、聞き届けよう!」
俺は大仰に頷いた。
こうして俺達はゴブリン達の主……守護者となったのだ。
ゴブリン達の目をもってしても全く感知できないオリ主の妖気……不自然を通り越して不気味ですね。
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