転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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人間と魔物で話し合うよ!って話です。


人魔会談前

 

 

時は、リムルさんが外遊する前日にまで遡る。

 

 

「……はい、報酬のポテチだよぉ」

 

「わーい、ありがとぅ!……うぇ?」

 

 

リムルさんをイングラシアまで案内する仕事を与え、その報酬の前払いとしてポテチが入った大袋をエレン達に渡そうとするが、敢えて手を離さずにその反応を窺った。

 

案の定と言うべきか、エレン達はキョトンとした顔でこちらを見つめていた。

 

 

「え、どうしたのレイタロウさん……?」

 

「いやね、このまま渡してもいいんだけど、どうせだったらこのポテチ袋をもっと増やしてみないかい?」

 

「「「 え、増えるぅ!!? 」」」

 

「リムルさんを案内する仕事のほかに、もう一つ仕事を引き受けてくれたなら、これも含めて二袋追加してあげる。やってみるかい?」

 

ゴクッ…「な、内容によりますぜ……!」

 

ゴクッ…「それは、あっしらに出来ることでやすか……?」

 

ゴクッ…「は、話してもらえるぅ……?」

 

 

もう完全にポテチに意識がトレースしておる……。

 

どんだけポテチの虜になったのかしら?などとどうでもいいことを思いつつ、俺は口を開いた。

 

 

 

 

 

「エ(・)リ(・)ュ(・)ー(・)ン(・)・(・)グ(・)リ(・)ム(・)ワ(・)ル(・)ト(・)。君のお父上と話し合いの場を設けたいと思っていてね。君にはその仲介役を任せたいのだよ」

 

「「「( バ、バレてるぅ…… )」」」

 

 

 

 

 

結論から言って、エレン達は薄塩、コンソメ、チーズ味のポテチ(大袋)を手に入れることを選んだワケだ。*1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイタロウ様、ファルムス王国軍二万人分の遺体の収容が完了いたしました!ご命令とあらば即座に移送が可能でございます!」

 

「報告ご苦労リグルド。鹵獲品も余さず回収できたな?」

 

「そちらも既に完了してございます!現在クロベエ殿の工房にそれら戦利品は置かれており、鑑定している真っ最中にございます!」

 

 

こんニッチー、俺はレイタロウさんですよぉ。

 

肩書は……今更言わなくても皆分かるよねぇ?

 

 

「そう言えば、町中で暴れだしそうだったあの三人を衆人環視の中で処断してしまったが、旅商人……特に人間達の反応はどうだった?」

 

「結論から申し上げて、そこまで大きな混乱はございませんでした。あくまでレイタロウ様は毅然とした態度で危険分子との対話を試み、それを突っぱねて先に手を出してきたあの者達に制裁を下したと旅商人や自由人達は受け止めております」

 

「そうか……」

 

「それと、町の至るところに潜伏していたファルムスの伏兵達の遺体を目撃されたことで、これがファルムス王国の陰謀であると勘付いた者が大勢おりました」

 

「むしろそっちの混乱が大きかったな。ハハハ……」

 

「いや、笑いごとじゃねーだろ」

 

 

ちなみに俺は現在、四季折々の花々で彩られた美しい庭園の一角にて、俺専用の巨大なガーデンチェアに腰掛け、紅茶を啜りながらリグルドの報告を受けていた。

 

当然、そこには人型に擬態しているリムルさんもいる。

 

そんなリムルさんのツッコミを受けながら、俺は皿に乗せられた山盛りのクッキーをつまんで口に放り込む。

 

リムルさんも俺に倣うようにクッキーをつまんで頬張り、手に持っていた紅茶を啜って一息ついた。

 

ちなみにこのクッキーは、リムルさんが持ち込んできたお土産の一つでもある。

 

 

「……あれからまだ一日しか経ってないってのに、もう色んな予定が立て込んでるなんて信じられねぇ。なぁレイタロウさん、俺ってば有給を取れたことが無いのだけど、そこんところはどうなの?」

 

「今日は、空が青いと思いました(小並)」

 

「おいこら、マジでスト起こすぞ?」

 

「それもこれも全て、リムルさんが有能すぎるせいだと思うんですよ?……ごめんごめん、もうちょっとしたら暇になると思うで、その時になったら纏まった休暇を取ってもらって良いよぉ」

 

「はい言質ぃ!男に二言はないからなぁ!?」

 

「はいはい……っと、ようやくお客さんが来たな」

 

 

遠くから小走りでやって来るゴブタを見据え、俺は紅茶が入ったティーカップを小皿に置いた。

 

 

「レイタロウ様、リムル様。フューズさんとドワーフの国の王様、それと魔導王朝サリオンのエラルド・グリムワルトって方がお見えになってるッス」

 

「全員お通ししてくれ。くれぐれも丁重にな?」

 

「了解したッス!」

 

「あぁそれと、ヨウム君達も連れてきてくれ」

 

「?……分かったッス!」

 

 

俺の命令を受けてその場を後にしたゴブタを見送りつつ、俺はすぐ近くに控えていたリグルドとディアブロにそれぞれ指令を下す。

 

ディアブロはいわゆるアレ、紅茶淹れ係である。

 

 

「リグルド、主要な幹部達を集合させろ。ディアブロは、紅茶が足らなくなったら注ぎ足してくれ」

 

「「 了解いたしました! 」」

 

「(……ディアブロのほうは大人しくしてろってことね)」

 

 

リムルさんの心の声が聞こえた気がしたが、たぶん気の所為だろうと気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フューズ殿、元気にしていたかね?」

 

「お久しぶりですレイタロウ陛下。……おかげさまで元気にやらせてもらっております。このたびはお招きいただき大変恐縮です」

 

「固い世辞など不要だ。会談が始まる少しの間、寛いでいくといい」

 

「はっ……」

 

 

ブルムンド王国を代表してやって来た自由組合支部長(ギルドマスター)のフューズさんと挨拶を交わす。

 

かなり、かなーりぎこちない感じだったが、それも仕方のない話だろう。

 

 

「久しいなレイタロウ、お前がどうしてもと言うから来てやったぞ」

 

「感謝するよガゼル王。急な誘いになってしまったが、貴国が来ないうちには話が始まらないのでな」

 

「ふむ……この町にファルムス王国軍が攻め入ろうとしていたと聞いていたが、見たところ平和そのものだな。むしろ目に見えて結界の範囲が拡がっておるようだが?」

 

「それも含めて、対策会議で話すつもりだ」

 

 

道理で完全武装で来ているワケだよ……。

 

たぶんベスターだな。心配しすぎだよホントぉ。

 

 

「……私も、と(・)あ(・)る(・)伝(・)手(・)からファルムス王国がこの国を侵略しようとしていると知りました。ですが見たところ被害らしい被害もなく、町は平和そのものです。これは一体どういうことなのか是非ともご説明願いたい……!」

 

「勿論だ。フューズ殿も会議に参加するといい」

 

「……感謝いたします」

 

 

おそらく同じ理由で、フューズさんも完全武装だった。

 

たぶんソース元はミョルマイル君だな。

 

フューズさんなら信用できると打ち明けたのだろう。

 

 

「あ、レイタロウさーん」

 

「お久しぶりです、レイタロウさん」

 

「元気そうで何よりでやす!」

 

「おぉ三人とも、ご苦労だったねぇ」

 

「このくらいのことだったら全然大丈夫ですよぅ。それよりも追加報酬のポテチが貰えると聞いて!」

 

「ホイ、持っていきな」

 

「「「 わぁぁぁ……!! 」」」

 

 

エレン達に手元に置いていた醤油味のポテチ(大袋)を手渡し、端に寄ってもらう。

 

今回用があるのは、彼女の父親のほうなのだ。

 

 

「これはこれは、地底に隠れ住むのがお好きな帝王ではありませんか。……意外ですな、臆病な貴方が魔王に肩入れなさるとは」

 

「……ふん、ご挨拶だな」

 

 

ガゼル王を挑発しながら近付いてきた糸目の壮年の男性、エラルドさん

 

……内包する魔素量(エネルギー)から見ても、彼がただならぬ実力者であることは明白であった。

 

 

「そして……貴殿がレイタロウ殿ですか」

 

「えぇ。本日はお越しいただき感謝申し上げ―――」

 

「レイタロウ……そうですか貴殿が、貴様が私の娘を誑かした魔王レイタロウですかッ!!」

 

 

分かってはいたことだけど、改めて目の当たりにするとその親馬鹿っぷりが知れるな。

 

俺を消し炭にするために火と爆発を引き起こす魔法を行使しだしているし……魔力に干渉して止めるか。

 

 

スパーン!!!「ちょっとぉ、何しに来たのよぅパパ!」

 

 

……と思ったら、横から思いっきりエレンに引っ叩かれて無理やり止められてしまった。

 

 

「イタタ…いやー、申し訳ない。娘が魔王に攫われたと報告を受けたもので、慌ててしまったのです」

 

「いいえ閣下、エリューンお嬢様は自ら閣下の元まで訪れております」

 

「む、そうかね?」

 

「早とちりって次元じゃないのよぅ!」

 

「あやつめ、親バカは相変わらずだな」

 

 

ガゼル王、アンタあの人と知り合いだったのね……。

 

しかし、それはそうとさっきの魔法は……。

 

 

「レイタロウさん、パパを紹介してもいい?」

 

「あ、ああ、頼むよ」

 

「こちら魔導王朝サリオンの大公爵、エラルド・グリムワルトです」

 

「どうぞお見知りおきを。ジュラの大森林の盟主にして十大魔王の一柱を担う者よ」

 

「レイタロウ・スターモンズだ。こちらこそよろしく。それで用件はエレンの件のみかな?」

 

「当然……そんなワケはない。今後貴国との付き合い方を考える上でも、自分の目で見ておきたかったのだよ。娘が気に入った、貴殿という人物をな」

 

 

……エレンは俺と言うより、俺の渡すポテチを気に入ってると思うんだけどなぁ。

 

 

「それで合否のほうは?」

 

「まだ分かりません。……ただ一つ、ハッタリが通じる相手ではないと理解しました」

 

「ああ、あのガワだけのハリボテ魔法のことか」

 

「えぇまさに。試させてもらった非礼をお詫びします」

 

 

やれやれ、そちらの女(・)帝(・)様(・)より御し易いと判断して来てもらったんだけど、この人もこの人で曲者だなぁ。

 

 

「ご無沙汰しています、ガゼル王」

 

「エリューンか?見違えたぞ」

 

「エレンちゃんに手を出すことは許さんぞガゼル!!」

 

 

……出来る男なのかポンコツなのか、判断に苦しむなぁ。

 

あ、今度は頬を引っ叩かれた。

 

 

「いやはや失礼いたしました。我々も貴国の会議に混ぜてもらえる光栄に、少々はしゃいでしまったようです」

 

「……まぁいい。他の者が集まるまでしばし猶予がある。密談という形になるが、事の経緯をお教えしよう」

 

「っ、それは是非とも―――」

 

 

 

 

 

「おぉいリムルよ。この〝聖典(マンガ)〟とやら、もう読み終えてしまったぞ。続きは無いのか?」

 

「後にしろってヴェルドラ、今は来客中なんだから」

 

「む、そうか」

 

「「「( ………………………ヴェ? )」」」

 

「リムル殿。そちらの方、町でちょくちょく見かけるのですが、お名前までは伺っていませんでした」

 

「俺もだ。よく町の外に繰り出している姿を見かけるが、名前までは把握してなかったぞ」

 

「あー……そういやまだ紹介してなかったな。聞いても驚かないでほしいんだけど、盟友のヴェルドラ君だ」

 

「ヴェルドラである!暴風竜と呼んでも良いぞ!」

 

「「「 ……暴風竜ヴェルドラ!!? 」」」

 

 

やべ、フューズさんがぶっ倒れちゃった。

 

ヴェルドラさん……なんて罪なドラゴン!

 

 

「ちょっと待て!話があるぞリムル!!」

 

「私もだ!説明を要求しますよ!!」

 

 

静謐を湛える美しい庭園が、暴風竜の存在によって一瞬にして喧騒に満たされてしまった。

 

まだ会議は始まってもないのに、前途多難だな……。

 

*1:
※人魔交流編 新たなる冒険を参照!




会議は踊る、されど進む……。
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