転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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英雄王ヨウムを擁立するよって話です。

終盤、急展開が……!?


人魔会談 ②

 

 

やぁ皆おはよう!

 

ご飯食べたか?歯ァ磨いたか?ていうかそもそもちゃんと寝ているか?

 

……うんうん、レイタロウお兄さんは嬉しいよぉ。

 

これからも健康的な生活を送れよな!

 

俺との約束だゾ!?

 

 

 

 

 

さて、冗談もそこそこに、前回からの続きだ。

 

現在、俺はドワンゴンやサリオンの代表者らと肩を並べて会談をしている真っ最中である。

 

俺やリムルさんの経緯(いきさつ)から始まり、話は今まさにファルムス王国の今後の処遇に差し掛かっていた。

 

結論から申し上げて、ファルムス王国には一度滅んでもらう必要がある。

 

だが、それはあくまで頭(・)を挿げ替えるだけの話であって、人民の生活に影響を及ぼすようなものでは無い。

 

頭とは、つまりファルムス王国の上層部。

 

……即ち、現王の退位と新王の擁立である。

 

ここで言う新王とは、我らがヨウム君なのだ。

 

 

「……英雄ヨウムを新たなる王に据え置く。幸い彼は国民からの人気が篤い。まさに適任と言えよう」

 

「小僧、あまり驚いていないな」

 

「はは……旦那からこっそり聞いてましたし、何ならそれ以前にミュウランが教えてくれましたしね」

 

 

〝強化訓練〟があった日の夜、どうやらミュウランさんから洗いざらい色んなことを聞かされたらしいヨウム君。

 

……それら全てを受け止めたのだとしたら、大した男であると言わざるを得ない。

 

 

「革命ということか……」

 

「ファルムスは既に二万の兵を失っている」

 

「あるいは成し得るかもしれんが……」

 

「しかし、そう上手くいくのか―――ッ!!?」

 

 

周囲からそんな声が聞かれる中、ガゼル王は何を思ったのか急に英雄覇気をヨウム君一人に浴びせかけた。

 

 

「うおっ!!?」

 

 

体がビリビリっと震え上がるヨウム君であったが、そこは英雄としての意地ゆえか何とか耐えきってみせる。

 

 

「ッ〜〜〜!!」

 

「フンッ、根性だけは大したものよ。だが覚悟はあるのか?」

 

「……俺を信じて託されたこの役目、やるからには全力でやるさ。惚れた女の前でカッコつけたいのは男として当たり前だろ?」

 

「バカ……」

 

ブフッ…「……ドワーフの王よ、俺も保証する。コイツは馬鹿だが無責任じゃない。あんたのように英雄王と呼ばれるその時まで、このグルーシスが見届けよう」

 

「……で、あるか。ならば良い。何かあれば俺を頼るがいい」

 

「……心強い」

 

 

どうやらガゼル王も納得してくれたらしく、それ以上の茶々入れなどはしてこなかった。

 

ならばそのまま話を進めるとしよう。

 

 

 

 

 

「さて、この件についてほかに意見のある者はいるか?」

 

「いいですか?」

 

「フューズ殿。聞かせてくれ」

 

「その件、ブルムンドとしても協力できるかもしれません。ファルムス王国にミュラー侯爵というブルムンド王の遠縁に当たる方がいらっしゃいます。彼ならば交渉が可能だと思いますので、上手くいけば便宜を図ってもらえるかと」

 

「おぉそうか。……ならば俺が魔王であることも含めて話しておかねばな。ファルムスには俺が魔王であると知られないよう立ち回っていたし」

 

 

……二(・)重(・)の(・)情報封鎖によって、ファルムス王国の上層部にはウチに関する正しい情報が頭に入ってこないのだ。

 

要はウチが過小評価されているということ。

 

それを正すところから始まるワケだな。

 

 

「プハハハハ、面白い!これは愉快だ!国を跨いで本音で語り合うなどと!……これでは警戒している私のほうが滑稽です」

 

 

そう言って席を立ったエラルドさんは、フューズさんに視線を向けて一つ問いを投げかけた。

 

ブルムンドはなぜ魔国連邦(スターモンズ)と国交を結んだのかを。

 

 

「それはどういう……?」

 

「今の君はブルムンドの公人として此処にいるワケだろう?……私はブルムンド王の思惑が知りたいのだよ」

 

 

ブルムンドは大国とは言い難い。

 

ウチと有益な取り引きだけをしつつ、西方聖教会の出方を見ていても良かったのではないかというのがエラルドさんの言い分である。

 

……少なくとも、ウチと国交を結ぶ必要は無かったとも付け加えた上で。

 

 

「……そんなもん、分かってますよ……!!えぇそうですよエラルド公。俺もベルヤード、知り合いの貴族も同意見でした。ですが―――」

 

 

信頼関係を築き、共存共栄の関係を築く。

 

豚頭帝(オークロード)や暴風大妖渦(カリュブディス)はおろか、魔王ミリム・ナーヴァすら一蹴してのけた怪物が国王を務める国の不興を買えば、我が国はあっという間に滅ぼされるだろう。

 

仲良くする以外にあり得ない。

 

……どうやら、俺がブルムンド王宛てに贈った水晶は効果てきめんだったらしい。

 

 

「……というのがリムル殿がブルムンドに来られる前の王の言葉です。結果としてこの選択は正解だった。ブルムンドはルミナス教への信心が薄い。命運を賭けるなら西方聖教会ではなく、魔物の主を信じようと。それが理由です」

 

「……なるほど、つまり生存戦略として西方聖教会より魔国連邦(スターモンズ)を選んだ、ということですか。すまなかったねフューズ殿、おかげでよく理解できたよ」

 

「……小狡いなエラルド。他国を試さずとも俺がレイタロウを信じているのだから疑うまでもあるまいよ」

 

「そうは言うがなガゼル、魔物の国との国交となると、そう簡単には決めかねるよ」

 

「……で、決断は下せたのだろう?」

 

「私なりに結論は出ているがね、それを答える前にレイタロウ殿自身に一つ伺いたい」

 

 

ん、なんじゃらホイ?

 

 

「ちょっとぉパパ!勿体ぶらずにさっさと答えてよぉ!」

 

「ちょ、お嬢様今は不味いですって!」

 

「エ、エレンちゃん、いま大事なとこだから……」

 

 

……公爵形無(かたな)しだな。

 

気の毒だし、少しだけ雰囲気を出してあげよっと。

 

そうして俺は、普段からひた隠しにしている妖気(オーラ)をほんの僅かにだが解放した。

 

 

「……それで?聞こうではないか、エラルドよ」

 

「「「「 ッ〜〜〜!!? 」」」」

 

「(魔王覇気……いや、これは単に妖気を放出しているだけか!?なるほどこれは凄まじい……!!)……では魔王レイタロウよ、貴殿は魔王として、その力をどう扱うおつもりなのか?」

 

 

……なんだ、そんなことかぁ。

 

 

 

 

 

「俺の能力の及ぶ範囲で、俺が求めてやまない理想郷をこの地に創り出そうと思っている。皆が笑い合い、手を取り合って生きていける豊かな故郷(くに)をな。……多少の面倒事こそあれ、実現は出来よう」

 

「そ、そんな夢物語のようなことを……ッ、本気で実現できるとでも!?」

 

「出来るとも。そのための力だ」

 

「っ……!!」

 

「力が無ければ無力でしかなく、理想が伴わなければ暴力に成り下がる。……弱いままなど俺にとっては論外でしかないが、単に力のみを追い求める趣味も持ち合わせてはいないのだよ」

 

 

これは紛れもなく俺の本音だ。

 

仮に人間性とやらを失っても、この信念だけは決して揺るがない自信がある。

 

とはいえ、理屈じゃ測れないけどねぇ。

 

 

「……は、ははは、ははははははははっ!!これは愉快ですな魔王レイタロウよ!!」

 

 

え、笑うほど?

 

娘さんがポカンとしておりますよぉ?

 

 

「(エレンちゃんが懐くワケだな……)貴殿が魔王になられた理由が理解できた気がします。……失礼しました、私は魔導王朝サリオンよりの使者として貴国、ジュラ・スターモンズ連邦国との国交樹立を希望いたします」

 

「……その話、是非ともお受けしたい。こちらからも善き関係を築きたいと思っていた」

 

「「「「 うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 」」」」

 

 

瞬間、爆発的な歓声とともに魔国連邦(スターモンズ)と魔導王朝(サリオン)の国交樹立が成された。

 

ふふ、なんか試された感が半端ないけど、なんとか上手く行って良かったよホントに。

 

 

 

 

 

「初めから魔刻側に付くと決めておったくせに、この狐め」

 

「暴風竜がいる時点で敵対はあり得んがね、最後の決め手は彼の魔王としての在り方さ。……まさかいきなり呼び捨てで威圧されるとは思わなかったがね」

 

 

魔王っぽい演出のつもりだったけど、流石に呼び捨てはやりすぎたかな?

 

まぁ謝ったりはしないけど。

 

 

「公的な場では役職で呼ぶとも」

 

「是非そうしてください。……ですが、ああいう演出はとても効果的だ、どんどんやるといい」

 

「……感謝するよ、エラルド公」

 

 

魔導王朝サリオン。

 

俺達はまた一つ、人間国家に認められたのだ。

 

 

「……よし、一旦休憩を入れるか」

 

「休憩か?お腹ペコペコなのだ!何か食べたいのだ!」

 

「シュナ、ミリムに何か差し上げて」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

束の間の休憩にも国同士の重要な話し合いは行われる。

 

むしろ、こういう息抜きできる時間こそ、腹を割って本音で話し合える何気に重要な時間なのだ。

 

面子は勿論、俺とリムルさん、ミリムにガゼル王、そしてエラルドさんだ。

 

今は、サリオンに繋ぐ街道について話し合っている。

 

 

「……確かに、国交を結ぶとなった以上、直通の街道は繋ぐべきだろう。エラルド公の言い分はよく分かった」

 

 

実はサリオン方面についてもゲルド達にさりげなく工事を進めさせていることは敢えて言わない。

 

エラルドさんがそのことを把握していようがいまいが、やっちまったもんはしょうがないのである。

 

つーか、ゲルド達の巧みで迅速な街道敷設にはもはや敬意を表するほかない。

 

ドワルゴン方面やユーラザニア方面は元より、ブルムンド方面もあと一週間ほどで工事が完了するとのことで、サリオン方面も俺がGOサインを送ればすぐにでも本格着手できるらしい。凄いねホント。

 

 

「魔導王朝サリオンと魔国連邦(スターモンズ)を繋ぐ街道の開通工事はこちらで引き受けてもいい。……ただし」

 

「……ただし?」

 

「街道上の整備及び宿屋の運営も我らに任せてほしい。当然だがそこにかかる経費を乗せた通行税もいただくことになる」

 

「なるほど、それは当然の要求でしょう。……ただ、通行税に関しては何年かに一度の交渉権は認めてほしいものです」

 

「……宜しい、交渉は相成った」

 

「(軽ッ)」

 

「感謝します」

 

 

はー、良かった良かった!

 

下手に向こうから警備やら工事の手を借りていたら、それこそ街道の利権を独占することが出来なかったよぉ。

 

やっぱ、切れ者とはいえあ(・)の(・)女(・)帝(・)様(・)を相手にするよりはよっぽど御し易いね、エラルドさんは。

 

 

「失礼いたします。そろそろ再開のお時間になります」

 

「おぉ、もうそんな時間か。……そろそろ行くとしよう」

 

 

シュナの呼びかけに応じ、俺達はさっさと会談場所である庭園へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

「さて、休憩を挟んで頭もリフレッシュしたところで、会談を再開するとしよう。……リムルさん」

 

「え、あ、そうか、俺が拉致ってきたから俺が言っといたほうがいいのか。……えーとだな、まず西方聖教会についてなんだが―――」

 

「あ、ちょっと困るダス!今は偉い人達の会談中で……ッ」

 

「頼む!通してくれ!直接レイタロウ様に言わねばならんのだッ!!」

 

「……ぇ、何だ?」

 

 

え、何々ホントに?

 

……止めようとしているのはゴブゾウだってのは分かる。

 

問題は、止められている者のほうだ。

 

俺は声のするほうへ振り返り、思わず名前を呟いた。

 

 

「……フォビオ?」

 

 

獣王国(ユーラザニア)の三獣士が一人にして、ウチの〝四方の王の陣〟の犠牲者第一号となったフォビオ君が、ゴブゾウに押さえ込まれながらも必死で何かを伝えようと藻掻いていた。

 

 

「ゴブゾウ、彼を離してやってくれ」

 

「あ、はいダス」パッ

 

「っ、なんて馬鹿力……ってそれどころではない!レイタロウ様!至急お伝えしたいことがあり馳せ参じました!ご無礼をお許しください!」

 

「構わん。用件を言うがいい」

 

 

よく見れば鎧や体の至るところが傷だらけである。

 

これは只事じゃないな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我らが祖国ユーラザニアにて、二体の暴風大妖渦(カリュブディス)が出現し、首都を壊滅させられました!カリオン様は民を逃がすために獣王戦士団を率いて奮闘しておりますが、苦戦を強いられております!どうか御力をお貸しください!」

 

「……えぇ?」

 

 

き、急展開すぎる……!

 

何が起こったユーラザニア!?

 




本作オリ展開突入の巻。
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