会談を再開するよ!って話です。
「……さて、多少ゴタゴタしてしまったが、会談を再開するとしよう」
「フッ、
もー、そういう茶々入れは御法度だよガゼル王!?
俺だって内心テンパってるんだからさぁ。
「なに、向こうにはベニマルとシオン、それにゼギオンまでいる。案外、ものの小一時間程度で終わらせてくるかもしれんぞ?」
「それはそれで脅威的だがな……」
おっと、自己紹介が遅れたね。
俺はレイタロウ。
魔物達の楽園ジュラ・スターモンズ連邦国の国王にして、名実共に魔王と認められた男でもある。
今は、花々の香り華やぐ庭園で各国の要人達と重要な話し合いをしている真っ最中である。
その途中で
何故って?
そりゃあさっきも言ったように、ベニマル達が
少なくともベニマルとシオンの二人で連携すればカリュブディス二体は容易く狩れるだろうし、駄目押しと言わんばかりにゼギオンまで同行させている。
目覚めたばかりとはいえ、あれはマジでヤバかった。
個としての強さは
故に、今ゼギオンに必要なのは仲間との連携であると直感した俺は、ベニマル達と協力して戦うように言い含め、最悪カリュブディスに勝てそうもなかったらカリオン達を連れて帰ってくるように言ってある。
俺が出張れば大体解決するし、大事なのはモノよりも命だから。
つーワケで、俺がサクッと瞬間移動を使い、三人をユーラザニアまで移送したって話よ。
「まず、西方聖教会への牽制について話しておきたい」
「こっから先は、俺が話させてもらうよ」
「……なぜ西方聖教会の話題をリムルがするのだ?」
「そこはまぁ、俺が命令したとはいえ、リムルさんが見事実行に移してくれたからねぇ……」
「……?」
「イングラシア王国から此処に帰る途中でヒナタ・サカグチに襲撃されたんだけど、返り討ちにして
「「「 ……………………はっ? 」」」
「今は俺んちでシズさんに看病されながら眠っているはずさ。ちなみに命に別状は無いよ」
「「「 ……ハァァァァァァァァァ!!? 」」」
ガゼル王、エラルドさん、フューズさんが叫ぶ。
それだけヒナタ・サカグチの強さが周知されているからだろうが、ウチのリムルさんはそれ以上なのさ。
「とまぁそういうワケで、ヒナタ・サカグチの身柄は現在こちらで預かっている。……ルベリオスとの良い交渉材料になるだろうってさ」
「……貴様、よっぽど〝神敵〟認定を受けたいようだな」
「いやはや、全く敵いませんな……!」
「こ、これをどう上に報告すれば……って、俺が
三者三様の反応を一通り見やり、リムルさんに代わって今度は俺のほうから話を切り出した。
「貴殿らの懸念も重々承知している。こちらが襲撃を受けた側とはいえ、それを逆に返り討ちにして身柄を攫ったとなれば、誰の目から見ても我々が悪役でしかないだろう」
「……何かアテがあるようだな」
ガゼル王の言葉に鷹揚に頷く。
「ルミナス教の唯一神、神ルミナスと交渉をするつもりだ」
「「「 ……………………はぁ? 」」」
「ヒナタ・サカグチの身柄と引き換えにすれば、ある程度の譲歩を引き出すことが出来るだろうよ」
「お、お待ちいただきたいレイタロウ殿!貴方はもしや、存在しない偶像と交渉しようとしているのですか!?」
……あーね、フューズさんのご指摘ももっともだよね。
神ルミナスは信じる者の心の内にいるって言われるぐらいだし、まさか実在するとは思わないよねぇ……。
「ルミナス……そういえば二千年ほど前だったか、我が戯れに滅ぼした
「「「「 ……………………えっ 」」」」
ちょ、ヴェルドラさん、それは言わない約束でしょ!?
……あーあー、みんな完全に硬直しちゃったよぉ。
「おい、ダメだぞヴェルドラよ。バレンタインは正体を隠しておるのだ。今の魔王が代理なのは内緒なのだぞ?」
「なにぃ!?それは本当かミリムよ!?」
内緒話がデケェ。
「バレンタイン……魔王……代理……吸血鬼……神ルミナス……魔王ル……うっ、頭が」
「あ、ギルマスが倒れた」
「会議、一旦休憩入りまーす!」
……なんかもうね、フューズさんの髪が白髪を通り越してちょっと抜け始めている気がするんだよね。
そんくらい衝撃的な情報をお出しされたワケ。
やっぱ、ヴェルドラさんにはちょっと黙っててもらったほうが賢明だな。
そして数十分後、意識を取り戻したフューズさんを交えて会談は再開された。
「……我が国としては、聖教会が攻めてくるのなら対処するが、こちらから手を出すつもりは無い。無理に敵対したくないというのもあるが、二正面作戦を避けるためだ」
「二正面……?」
「これから
本当の理由は、クレイマンを下して名実共に俺が魔王であるとほかの魔王達に周知させることなんだけどね。
そこに怨恨はこれっぽっちもないのよ。
ただ必要だから始末する、それだけの話さぁ。
「(驚きが続きすぎて心が動じなくなってきた……)」
「勝てるのだろうな、レイタロウよ」
「これは勝って当然の戦いだ。負けるなどあり得んよ」
「簡単に言いますね……
「関係ないな。
「……お、お待ちいただきたい、え、今夜、今夜ワルプルギスが開かれるのですか?」
「そうだよ。俺が発議し、そこにミリムとギィの賛同を得てワルプルギスが開かれる。そして、その場を借りて正式にジュラの大森林全域が俺のものであると認められるという筋書きだ」
「そうなのだ!」
ミリムの一言に全員が押し黙る。
それだけ彼女の一言には重みがあるのだ。
「……ミュウラン、捕虜とした大司教レイヒムという男から、そこら辺の情報は引き抜けたか?」
「はい。この場を借りて報告しても……?」
「構わん、話してくれ」
「かしこまりました」
シオンを尋問役に据え置こうかとも思ったけど、そもそもあの娘、記憶力が壊滅的だからなぁ。
せめてそういう記憶力を補ってくれるスキルを願ってくれれば良かったんだけど、まぁ今後に期待だな。
というワケで、ミュウランさんの出番なのです。
「……元凶はニコラウス・シュペルタス枢機卿。彼に我が国のことを報告したところ、神敵として討伐する予定だと返信があったそうです」
「予定、か……」
「はい、枢機卿からの親書を決定事項と説明し、挙兵を後押ししたと白状しました」
「つまり聖教会本部としてはまだ決定的な決断を下す前だった。ならば交渉次第で敵対も避けられるやもしれんぞ」
……いっそ、邪魔な
「……魔物の殲滅を第一義に掲げている組織だし、そもそもヒナタ・サカグチの身柄を預かっている状況だからな。神ルミナスはともかくとして、
「ヒナタも問答無用で襲いかかってきたからな」
「では交渉はブルムンドが引き受けましょう」
「フューズ殿……」
「
「本当か!?それはありがたいよ!」
「それからリムル殿、一応フォローさせてください」
「……?」
フューズさん曰く、
見た目も相まって彼女の言動は冷酷に見られがちだが、助けを求められれば必ず手を差し伸べるし、必要とあらば理性的な助言もしてくれるとのこと。
助言を聞き入れない者は二度と相手にしないらしいが、リムルさんが思っている以上に人間味に溢れた良い人なのだそうな。
……当のリムルさんはピンと来ていなかったが。
「ミュウラン、エドマリス王からは何か得られたか?」
「はい、国王に接触した商人が
「その商人の名前は分かるかね?」
「……いえ、申し訳ございません、そこまでは」
帝国皇帝近衛騎士団の副団長にして、秘密結社『
名は確か……ダムラダだったな。
やれやれ、東の帝国の暗躍が見え隠れしておるわい。
「構わん、聞いただけだ。……それはそうとラーゼンからは何か聞き出せたか?」
「それが……酷く怯えた様子で、殆ど会話になりませんでした」
「私の
今まで紅茶淹れに専念していたディアブロが口を開く。
その口ぶりに一同は唖然とする。
「かの宿老ラーゼンを小物呼び……!?」
「ファルムスの宮廷魔術師として知られているラーゼンを操ってみせたと……!?」
「英雄ラーゼンをまるで子供扱いとは……」
「ラーゼンの名は
「クフフ……全てはレイタロウ様の掌の上ですよ」
煽るな煽るな。
……とはいえだ、ラーゼンほどの実力者を監視&洗脳できるのはディアブロくらいしかいない。
よし、やっぱりあの作戦で行くとするかぁ。
「ヨウム君、捕虜三名を連れてファルムスに戻ってもらうワケだが、そこにディアブロも連れて行くといい」
「あ、あぁ、それは心強いが、いいのか?……その人分かりやすくショック受けてるけど」
「え?……あ」
「わ、わわわ、わわわわわ私が、さ、さささ左遷!?」
壊れたブリキの人形みたいにティーポットの紅茶をダバダバ床にこぼすディアブロ。
目がぐるぐる泳ぎまくって、なんかもう一周回って面白い感じになっていた。
「落ち着けディアブロ。ずっと前からラーゼンを洗脳していた君だからこそ任せられる仕事なんだよ。君がファルムス攻略の要になるんだ」
「っ、これはとんだ早とちりを……承知しましたレイタロウ様、早急に終わらせて戻ってまいります」
「頼んだぞディアブロ。何か必要なものがあれば何でも言ってくれ。三人共
「かしこまりました。ではそのように……」
ずっと悪巧みしてきた仲だから、信用は十分。
ディアブロならきっと上手い具合に収めてくれるだろう。
これで西方聖教会とファルムス王国への対応対策は決まったワケだ。
残るは対クレイマンの作戦だが、具体的な城攻めの策とかはこっちで詰めておけばいいだろう。
各国首脳会談は、これにて閉幕だな。
「やっほーリムル!どうしてもって言うから仕方なく来てあげたわ……よ……?」
「ラミリス様、どうやら今は重要な話し合いをしておられるご様子。日を改めて伺いましょう」ソワソワ…
「ラミリス様ぁ!!?ラミリス様なのですかぁ!!?」
「や、やっほー、トレイニーちゃん元気してたぁ……?」
……今日はホントに飛び入りが多いな。
イタズラ妖精ラミリス様のご登場だぁ。
カリオン「も、もう限界だぁ……!」
ベニマル「俺達がッ」
シオン「助けに来ましたッ」
ゼギオン「後は任せろ」
カリュブディス「そ、その声は!!?」