スチェンカの会場を見つめる。
「……良いわね」
「ん、筋肉質な男の人はかっこいい」
ウンウンと紗那と一緒に頷いていると剣路は自分の身体を触り始めた。大丈夫だよ、剣路はカッコいいから心配しなくて良いんだよ。
まあ、剣路はカッコいい。
「馬鹿ね、しとり。音之進様の方がカッコいいに決まっているでしょう?」
「紗那こそ阿呆だよ。けんちゃんのほうがカッコいいに決まってるよ」
「フッ。紗那はよく分かっているな」
「張り合われると照れるな」
そんなことを話していると杉元がなんだか不機嫌そうに顔をしかめつつ、私の方を見てきた。やっぱり、なにか考えているのかな。
「エノノカ、チカパシ、私達は離れていようか」
「わかった!谷垣ニシパ、がんばれ!」
「ああ、任せておけ」
「しとりも離れるのよね。音之進様、少し離れたところに居ますわね!」
そう言うと紗那は歩き出して、ゆっくりと背中に背負っていた刀袋を差し出してきた。チカパシとエノノカも一緒にいるけど。
彼女は気にせずに私を見据えている。
「しとり、聖剣戦争は出来そうかしら?」
「……ん、問題ないよ」
「今年は私が勝つわ」
黄金の輝きを放つ剣の柄を見せつけ、そう宣言する紗那に私は空を見上げる。私の聖剣は別の空間に封じ込めているから、無闇に抜くことはしない。
「勝つのは私だよ」
「片手で勝てるかしらね」
「勝つよ。私は強いからね」
コンと黄金剣の柄に電光丸の柄をぶつける。
「オーホッホッホッ。随分と舐めた口を聞きますわね、仏陀斬りますわよ、しとりッ」
「ん、此方の台詞だね。よわっちい紗那」
私と紗那のやり取りに不思議そうにするチカパシとエノノカに私達は視線を向け、「ちょっとしたじゃれ合い」と笑顔を向けて笑う。
「……それで、聖剣はどこに?」
「天にあるよ」
「相変わらず壮大ね」
そういう聖剣だからね。力を蓄えるなら聖剣の力を集めやすい場所に置いておけばいい。今だって私の傍に来ようとしているのが分かる。
きっと、この黄金剣を警戒している。
私の強さには及ばないけど、紗那の魂の咆哮は間違いなく私に届き得る武器だ。黄金剣と組み合わせたら、間違いなく脅威になる。
だから気に入っているし、親友だ。
「次は勝てると良いね」
「オーホッホッホッ。勝つのは私よ」
また咳き込んでも知らないよ?と話し合いながら騒がしくなるスチェンカの会場を眺めつつ、温かいミルクを用意して、その中にチョコレートと砂糖を入れ、混ぜたものをチカパシとエノノカに手渡す。
右手、少しだけ握力が戻ったかな。
けど、これ以上は戻らないと思う。