曲芸を頑張る杉元達を応援しつつ、少女団の踊りを見せてもらう。
「ん、こうだね」
「ホウ。やるね、しとり」
「見たらだいたいできるよ」
「出たわね。超人体質の見稽古」
「みげいこ?」
紗那の言葉に月島が反応する。
「一度見ると術理の全てを体得する特殊体質ですわ。視覚すると同時に脳内のミラーニューロンの超活性によって模倣してしまう。───故に見稽古ですの」
「糸色家の血筋特有だよ」
そう言うと月島は何かを考える顔付きになるものの、すぐに少女団の踊りに戻ってしまう。谷垣は身体が大きいから難しいだろうけど。
頑張っていて、とても偉いね。
「キエェェェッ!!!」
「音之進様ぁん!?」
投げキスを受けた紗那はまた倒れた。受け止めたけど、こんなに好きなのに結婚して子供もいる。私も紗那を見習ってけんちゃんに甘えるべき?
「けんちゃん」
「どうした?」
「がんばって」
グッと胸の前で握り拳を作って応援するとけんちゃんはビックリしたような顔で笑ったかと思えば「おう。任せとけ」と頷いてくれた。
ん、やっぱり大好きだよ。
そんなことを考えていると地面に倒れていた紗那が起き上がって、少し鼻息を荒くしながら「音之進様の衣装を作らなくては!」と裁縫に向かってしまった。
私も谷垣と月島の分の衣装を作らないといけないし、着いていこうかな?と紗那を追いかけると黄金剣を握り締めて、愛情の爆発を抑える紗那がいた。
「しとり、愛って無限大よね」
「ん」
「しとり、愛って可能性よね」
「ん」
「しとり、愛って情熱的よね」
「ん」
すごく変な感じになっている紗那を無視し、準備を進めていく。月島と谷垣は筋肉質だから破れないように少しだけ間を作らないといけない。
「布地はここです」
「ん、ありがとう。紅子先輩」
「ゲンジロちゃんの衣装、がんばってね!」
「ん」
紅子先輩、子供なのに優しくて良い子だ。
強かさも備えている。谷垣のこともきっと励ましてくれるだろうし、今のうちに急いで作らないといけない。ただ、月島の衣装は難しい。
しっかりと身体を見ていない。
それは、谷垣もだけど。
みんな、とても大きいから大変だ。
「月島アァ!!」
「ん、今日も猿が鳴いている」
「お嬢ちゃん、たまにすごいディスりするね」
「です?」
「まだ教えてあげる」
生駒がまた変な言葉を呟くだけ呟いて、こっそりと影の中に戻ってしまった。ん、そんなことするよりお裁縫を手伝ってほしい。
私は母様みたいに早く出来ない。
右手も使えないから、少しだけ難しい。