公演当日。
自転車を用いて披露する軽業に加えて、綱渡りを始める鯉登の姿に興奮し、パタパタと「素敵」や「投げ接吻して」なんていう団扇を振る紗那がいた。
紗那は本当に鯉登が大好きだね。
そうしている間に私達も出演する少女団の踊りに向かう。谷垣の動きもすごく良くなっているし、月島もしっかりと踊っている。
やっぱり、谷垣は頑張り屋さんだ。
続いて、剣路の切り業が始まる。
最初は果物、次に木、丸太と続く。
最後に刀が現れる。
剣路の演目は、斬鉄───。
鉄を斬る業を見せる。
「ムッ。いつもの構えではないぞ」
「ううん、剣路の構えはアレが始まり。神谷活心流初伝の面打ち。ずうっと子供の頃から見てきた、けんちゃんのカッコいいところだよ」
そう鯉登に教える。
今はもう飛天の業を使っているけど。人のために振るう剣を取り戻そうとしている、また逆刃刀を抜けるようになると良いね。
「ん、大好きだよ、けんちゃん」
るおんっ、と、音が鳴る。
ゆっくりと刀を鞘に納めた剣路は一礼し、私達の控え天幕の控え室に戻ってくると、私に預けていた逆刃刀に触れ、また腰に佩いて立つ。
「杉元、貴様の出番だぞ」
「頑張って下さいませ」
「勃起だ、杉元!」
「勃起だよ、杉元ニシパ!」
「ん、頑張ってね」
「杉元、お前なら出来る」
「……行ってこい」
みんなで杉元を応援して、杉元も覚悟を決めた顔で頷くとハラキリショーは始まる。腕を斬るときに、ふと違和感に気付いた。
アレ、刀の刃紋が違う。
「……音之進様?」
「キェッ!?わ、私の軍刀かあれは?!」
「ん、鯉登じゃないの?」
「私ではないぞ!?」
「......刀が多いからアイツ間違えたな?」
「なに!?おのれ杉元ッ、私の刀を無断で持ち去るとは何を考えているのだ!」
ん、ウソの臭いがした。
鯉登はわざと刀を寄せていたんだね。
「どうする?切腹なんてしたら、マジで腸が飛び散るかも知れねえぞ」
「それは困る」
「......なら、代わりに斬る?」
カチンと左手で電光丸の鯉口を押す。
「待て、流石に不味いだろう。糸色、緋村、お前達の足で見えずに抑えることはでき」
月島が何かを言いかけた時、いきなり現れたロシア人は拳銃を突きつけてきたから、思わず、手首をねじり、銃を奪うと同時に四人が男を殴り始めた。
ん、どうしようか。
こんなことになるのはビックリだ。
「杉元様、お怪我はありませんか?」
「俺は大丈夫だよ。あと様付けしなくて構わないから、紗那さんもしとりさんも少しだけ離れててくれないか?」
また、なにかあるのかな?