ゴウゴウと視界を遮る吹雪に襲われ、私達は杉元達と鯉登達とはぐれてしまった。吹雪いているせいで、前が見えず、音も聞こえない。
すごく困った。
「しとり、ひみつ道具を出してくださいまし!」
「ん、家でいい?」
「はよう!」
紗那に言われるがままカバンを開け、帽子型の発明品「キャンピングハット」を雪の上に置き、ボタンを押すと帽子はグングンと大きくなり、帽子の頂点に登るときにワンちゃん達を影の中に入れ、一緒に入る。
「現代社会の万能器具最高ですわあ!」
「死ぬかと思ったぜ」
「ん、紗那が最初にお風呂に入る?」
「入りますわ!」
トタトタと革長靴をキャンピングハットに入る前に脱いだ紗那は浴室へと走っていき、私は手洗いとうがいを済ませて、ワンちゃん達の足先を拭き、大きなお皿に山盛りに乗せたご飯を差し出す。
「しとり、右手の具合を確かめるぞ」
「ん」
剣路にそう言われた私は布の手甲を外して、剣路に右手を差し出す。指先を触られ、手のひら、手首も掴まれ、握るように言われれば剣路の手を握る。
「お前、荷物とか持つとき、指に引っ掛けるだけで力を加えてないな?」
「摩擦って便利だよね」
「手首を痛めたらどうする気だよ」
「......けんちゃん、手付きがやらしいよ」
「気のせいだ」
指を絡めて、握る力を増す。
───だけど。前みたいに倒せない。
「力じゃなくて理を高めるときかな?」
「変態野郎が見せてくれたアレか?」
「ん、キセルでグンと投げるヤツ」
ハッピー、やってたの真似てみる。
「しとりが言うとマジで出来そうなんだよな」
「ん、期待しててね」
そんなことを話しながら一夜が明けるのを待つ。杉元達もついているといいけど、みんなが怪我していないならそれで私は十分だ。
「……遅くないか風呂?」
「ん、女は長いんだよ」
「......しとりは長いが、紗那もか」
「キェエエェエエエエエェエッ!!!紗那アァァーーーーーッ!!!どこだ!何処にいるのだアァァーーーーーッ!!!キェエエェエエエエエェエッ!!!」
「暴れないで下さい、鯉登少尉!」
「ん、何か聞こえた?」
「気のせいだろ」
「紗那アァァーーーーーッ!!!」
「きゃあっ!?」
バン!と窓を叩く音に思わず、悲鳴を上げてしまう。
「くっ、くふ、くくく、きゃあって」
「ッ、けんちゃんは意地悪…!」
そんなことを言いながら、慌ただしく浴室から出てきた紗那は手拭いを身体に巻き付けているだけで、ほとんど何も身につけていなかった。
「ガフッ」
「ん、ごめん」
グキッと首を捻って気絶させちゃった。