偉そうに怒る鯉登と見惚れる紗那。
「音之進様、あーん」
「ムッ。はむ」
「チッ」
「けんちゃんけんちゃん」
「...なんだ?」
「杉元がすごく妬いてる」
クスクスと笑っていると剣路に「やめたれ」と言われたけど仲良くしている人に妬いているのは杉元だから、私は何も悪くないよ?
そう剣路に言うと「うーん、まあ、そうだな」と納得してくれたようにも見える。ただ、やっぱり不満そうに見えるし、怪しまれてる。
いったい、なぜ?と小首を傾げながら歩く。
スヴェトラーナというおじいさんとおばあさんの娘の写真を借りて、聞き込みを続ける。
「ここにはいないの?」
「いないー」
「しらねー」
「ん、ありがとう」
言葉を切り替えるのが疲れるから「翻訳コンニャク」を、みんなに食べさせている。母様の発明品は、やっぱりスゴくて凄い。
「どういう原理なんだ?このコンニャク」
「味噌コンニャク、美味いな」
「ん、月島と谷垣も手伝って」
アシリパみたいに可愛い女の子と男が三人も一緒に居たら目立つ。……それに、キロランケの手配書を見つけた。
ユルバルス。
キロランケの本当の名前と、のっぺらぼうの本当の顔を記したものを見つめる。剣路達にも見せると顔付きが更に険しくなった。
「あのクソ野郎」
「キロランケという男の正体はわかった。だが、なぜ尾形はヤツと一緒にいる?ロシアに指名手配される男と一緒にいるのは不利益の筈だろう」
「最初から金塊目的なんじゃねえの?」
「ん、けんちゃん。それだとのっぺらぼうを撃った理由が分からないよ。捕まえてから聞けば良いのに、尾形はのっぺらぼうを殺そうとしていた」
そう言うと、みんなは考え込む。
そんなとき、ふと気になる事が出来た。
「鯉登、金塊で出世って出来るの?」
「……まさか、賄賂か?」
「成る程、確かに今の陸軍上層部は資金難と聞き及んでいますわ。安居院家に資金を求める電報も来ておりますし……しかし、しとりは流石ですわね。景さん並みに思考力が高いすわ」
また、独り言?
「で、どうする。アイツはしとりさんの右手を撃ち抜いてる。剣路は絶対に許さねえだろうし、よくて膾斬りにされるだかけだぞ」
「とりあえず、狙撃手に必要な目を斬る。指を斬る……のは飯が食えねえから二本残す、耳も削ぐ、鼻も削ぐ。そんぐらいして晒し者にする」
「思想がやべえな」
「妻を傷つけられたのに、こんなものではないが?」
「その通りだぞ、杉元」
「なんで鯉登少尉もそっちなんだよ!?」
なんでだろうね。でも、仲良しだよ。