「永倉さん、斎藤さん、多分土方さんと牛山の二人は関谷の野郎に薬を飲まされて昏睡しているか動けない状態で何処かにいるはずだ」
「この短時間で調べてきたのか?」
「強ち、黒幕の話しも嘘ではないな」
永倉新八と斎藤一の二人は二十年以上前に、この北海道で過ごした糸色景の予知めいた情報を話す姿と、飄々と事実を語る門倉利運に懐かしさを抱く。
「門倉、他にもチカの腹に詰まってたトリカブトも見破っていたぞ!」
「いや、アレは偶々だ」
「阿呆が。偶々で毒を見抜けるか」
「智者ほど実力を隠すが、お前さんもそういう質か。全く糸色の嬢ちゃんと言い、お前さんと言い、頭の回るヤツは後出しが多くて叶わん」
永倉の言葉に門倉は困る。
しかも「俺はそんなに頭の良さそうな事を話したか?」と首を傾げながら、火鉢に近付いて、かじかんだ手足を温める。やっぱり、寒い外より暖かい部屋の中だな。
「その関谷という男は、危険なのか?」
「神の裁きを信じる男ですよ。毒薬を使って選択肢を迫り、相手の運命を知るとか定めるとかよく分からないことを言うヤツでしたが…」
「神に、運命か」
「くだらん。斬り捨てておけ」
斎藤は目を閉じて、煙草の火を灰皿に押し潰して揉み消す。長い刀を腰に佩いて、出ていこうとする彼を永倉が止める。
「門倉、目星は付いているな?」
「え?あ、まあ、美味いですし」
何となく、門倉は頷いてしまった。
「なら、行ってこい」
「分かりました。上手く釣ってきます」
しかし、門倉は
その事実に気付かぬまま、門倉は釣竿とバケツを片手にキラウシを連れて歩く。キラウシは釣竿とバケツで倒すのか?と困惑しているが、門倉は何も知らない。
「門倉、どこで捕まえるんだ?」
「んあ?そりゃあ、穴場を聞けば済むだろ」
「そうなのか!?」
阿寒湖の氷上を滑って歩く二人の視線の先には釣り人に扮した関谷輪一郎がいた。まだ門倉がトリカブトを飲んだとも死んだとも来ていない。
そろそろ旅館に探りに行こうと立ち上がった。
「あー、待った待った。アンタ、阿寒湖でのく目刺しの釣れる
まるで旧知の友人に話しかけるように門倉が関谷に話し掛けた瞬間、関谷は走り出して逃げようとした。だが、偶然にも前に垂れていた門倉の釣竿の釣り針が足に絡まり、足を引いて彼を引き摺り倒した。
「うおっ、と!?」
釣竿を引かれ、慌てて動くも門倉はバランスを崩し、関谷の身体に向かって、倒れ込み、鳩尾を強打しながら一緒に倒れた。
「がはっ!?」
「門倉!?」
突然の暴行にキラウシは焦るも門倉は「お、今日はアタリだな」とバケツに飛び込んできたワカサギとヒメマスに笑みを浮かべ、釣り人を見下ろす。
「あ、コイツだ。関谷」
「そうなのか!?門倉!!」
「おお、そうだ」
なぜか門倉は関谷輪一郎を捕まえた。