「オガタは死ぬのか」
「ん、死なないよ」
目を貫かれたけど。問題は毒だ。
小柄に遅効性の毒を塗っていた影響で、オガタの意識は今も混濁している。毒の成分を抜くにしても、目の治療をしないといけない。
「それでいい?」
「......この男はお前の剣の道を閉ざした男だぞ。しとり、本当に何の謝罪も受け取らず、この男を許し、助けるつもりなのか?」
「音之進様、その言葉は侮辱です。しとりは、私の親友は片手を失ったところで剣の道を捨てるほど柔な女ではありません」
紗那の言葉に気恥ずかしさを感じるけど。
鯉登に反論する紗那を見たのは初めてだ。
そんなに私の事を心配してくれるんだと嬉しく思いつつ、私は左手で電光丸の柄を撫でる。ゆっくりと刀をなぞり、私は目を閉じる。
私の剣は片手でも振るえる。
「まあ、もうしとりは私に勝てませんが」
「紗那、誰に言っているのか。ちゃんと分かっている?私が貴女より弱かった事なんて一度もない。黄金剣ごときが勝てると思っているの?」
「あら、私が鳳凰天舞に劣ると?」
一触即発。
いつでも刀を抜けるように構えていたら、ビリッと由竹のズボンが破れた。
「クゥーン」
「……はあ、仕方ないね」
「脱ぎなさい。縫ってあげますわ」
「いや、もう破れていいだろ。そいつは」
「私の紗那に汚物を触らせるな!」
「しとりも不用意に近づくな」
「「過保護」」
ん、それはそうだよね。
私のお腹、赤ちゃんいるし。
けど、ズボンがやぶれてるのは可哀想だよ。
「紗那、アレはダメな男なのだ」
「昔の音之進様もそうですわ」
「キエッ!?」
「なにぃ?こいつ、そんになの?」
杉元の言葉にコロコロと紗那は笑う。
「くっ、紗那。私はこれでも変わったのだぞ」
「存じておりますよ。えぇ」
アシリパは不思議そうにしているけど。鯉登よりも紗那のほうが少しだけ年上で、あんな風に弄ったりも出来るんだよ。
私とけんちゃんは同い年の幼馴染みだけど。
「月島と谷垣も食べて」
「……なんだこれは」
「コンクフード」
「こん」
飲み口を近づけて、飲ませてあげる。
谷垣は打撲と刺し傷、月島も首に怪我をしている。私の治療だけじゃ危ないから、お医者さんのところに連れていくのは大賛成だ。
このまま死なないでほしい。
「ん、月島もお飲み」
「……肉と、野菜のあじがする」
「そういう食べ物だよ」
「私は、あの蕪のやつが食べたい」
「アレは使うと木に影響を与えるから、あんまり使いすぎるのはダメなんだよ」
植物改造エキス。
アレは使いやすいけど、植物に負担を強いる。