最も手を伸ばすのは神威の花。   作:SUN'S

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鶴見による尋問 序

木製の椅子に座るように促され、目付きの悪い男と双子の男に囲まれ、剣路の方を見ると不機嫌そうに腕を組み、鶴見の事を睨んでいる。

 

そんなことを無視して、彼は話し出す。

 

「そう息む事はない、単なる世間話だ」

 

「満期除隊予定だったオレを北海道に連れてきた男の言葉とは思えねえな。もしもオレの女に手ぇ出す話なら死んででもてめぇらを斬り殺すぞ」

 

チリチリと背筋に焼けるような熱さを感じる殺気を放つ剣路の口許にお義母様に握って貰っていたおにぎりをねじ込むと動きが止まった。

 

「ん、静かに食べてて。満期除隊の話も聞きたいけど、私に話があるなら早くしてほしい」

 

「ハハハ、剛毅なお嬢さんだ」

 

にこやかに笑った刹那、私に向かって振り抜かれる手を受け止め、あと少しで目に突き刺さりそうになっていた爪楊枝を握る鶴見の手首を捻り上げ、床に沈める。

 

けど、額当て越しに見える目は変わらない。

 

「お嬢さんは、二十年前に北海道で活動していた糸色景という女性にそっくりだ。青い目の日本人というのは早々に居らず、糸色家の血縁を調べたが、全て和人同士の結婚だった。にも関わらず、糸色の女性は目が青いのだ」

 

突然、訳の分からない事を言い出した鶴見の事を見下ろしながら、いつの間にか銃剣を奪い取って双子と目付きの悪い男達と睨み合う剣路に視線を向け、私は鶴見の手を引っ張って起こす。

 

「おお、柔やわらかね?」

 

「違う。糸色流体術だよ」

 

わざと、糸色の名前を出す。

 

「やはり糸色家の人間だったか!」

 

「ん、また間違えた」

 

留め金を壊された鞄を開き、母様の作ってくれたものを鶴見に向けて差し出す。

 

「長野県信州市、糸色家十三代目当主は私だ」

 

そう言って印籠を突きつける。

 

「……!糸色しとり、糸色景の長女か!?」

 

「ん。けど、普段は相楽しとりだよ」

 

緋村って名乗るつもりだったけど。

 

私とひとえがお嫁に行ったら父様が独りぼっちになっちゃうから婚姻を結ぶとき、私は苗字も変えず、父様と剣路と子供達とそのまま東京に住んでいる。

 

ひとえは、異能を高める事と巫女としての務めを果たすために仕方なく北海道に移住しているけど。いつかはまた東京に帰って来るはず─────。

 

「まさに幸運の出会いだ。未来を視る事の出来た糸色景の娘、君と歩めば自ずと金塊や囚人に巡り会えるだろう。何よりその類いまれなる身体能力を、ただの夫婦生活で失われるには勿体無い」

 

「勿体無くない。私は母様の様に家族が安心できる場所になりたいから。それに、剣路を帰さなかった貴方と仲良くするつもりはない」

 

そう言って私は剣路の傍に移動する。

 

「残念だ。だが、どちらか片方を捕まえて殺さない程度に殴れば言うことを聞いてくれるかな?」

 

その言葉に剣路は怒った。

 

 

 

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