ん、またお腹が大きくなった。
二週間も豊原に滞在しているけど。こんなに待っていたら杉元達も一緒に来るんじゃないかな?と思いつつ、温泉を楽しんでいると銃声が聴こえてきた。
「しとり!外で何かおこってるぞ!」
「けんちゃん、塀に登らないで」
けんちゃんに文句を言いながら髪の毛を束ねて脱衣所に向かう。けど、私達の事を狙っているなら銃声を出して居場所を知らせる必要はない。
ショドウフォンで髪の毛を乾かし、身体の水気を拭き取って着物に着替える。右手も摘まんで押さえる程度には握力はもどっている。
刀を振ればすっぽ抜けるけど。
「よし」
ギュッとリボンを締める。
革長靴を履いて外に出ると地面に倒れて隠れている鯉登達が見えた。久しぶりと声を掛けようとした次の瞬間、飛んできた銃弾を左手で抜刀した電光丸で切り裂き、狙撃手の居場所を見据える。
「クソオガタァ…!!!」
戸を蹴破って現れた剣路にも銃弾が迫るも刀を半身ほど抜いて抜刀するように銃弾を切り伏せ、狙撃手を探す剣路に電光丸の切っ先で居場所を示す。
───すると、当然のように駆ける。
「ん、久しぶりだね。みんな」
「しとり!」
「糸色、帰ったはずでは?」
「今は父様の仕事を待ってるんだよ。それと、紗那は幸せそうに倒れてるけど、私と同じで銃弾ぐらい切れるよね?」
「失礼ですわね。四分割出来ますわよ」
そう言って胸を張る紗那は飛んできた弾丸を簪で貫き、ゆっくりと弾丸を引き抜いて笑う。
「緋村、貴様の妻はどうなっているのだ!」
「そっくりそのまま返す」
鯉登と剣路の会話を聞いている間も飛んでくるかと銃弾を警戒していたのに、一度も銃声は聴こえてこない。おそらく杉元が行ったんだろうね。
「アシリパ、どうしたの?」
「いや、また大きくなったから」
「ん、そうだね」
そう言いながらアシリパの頭を優しく撫でていたとき、視線を感じた。オガタ……にしては気配が違う?
「(誰だろう、血の臭いがしない)」
不思議に思いながらも電光丸を鞘に納めて歩き、由竹に近付いて、そのまま引きずって、みんなのところに戻ると父様がいた。
「...しとり、また厄介事か?」
「ん、父様も良くしてること」
「ぐっ」
「相楽殿、お久し振りです!!」
「鯉登か、でかくなったな」
「はい!」
ん、元気に話している間に由竹の傷を手当てし、ガーゼと包帯を巻き付ける前に軟膏と止血剤を加えて、化膿止めもしっかりと塗りつける。
みんなで、さっさと移動しよう。
これだけ、移動しておけば問題ない。