大泊にやって来た。
「父様、この船なに?」
「景の設計した船に鬼が宿った」
「帆船オルグだ!よろしく頼む!」
「ん、よろしくね」
船の先端に顔が現れて挨拶してきた。
帆船の動力は風だけど。蒸気船に進化しているし、名前も刻んでいる。それに妖怪が船に変わっているのならすごく安心できる。
「宜しく頼むぜ、船長」
「任せろぉー!!」
すごく元気な帆船オルグに乗り込み、剣路も妖怪に乗るのは慣れているから怖がっていない。───けど、今ごろはアシリパは鶴見達と合流している頃だ。
やっぱり、心配してしまう。
「しとりさーん!」
「しとりちゃん、待ってえぇぇ!!」
「ん、誰か呼んだ?」
「オレが呼んだ」
けんちゃんに呼ばれてたんだと納得し、氷上の上を歩いて、蒸気船の階段を登っていると、此方に手を振っている由竹とアシリパ、パヴリチェンコの三人が見えた。
まさか戦っているの?と目を凝らす。
銃弾が船に当たると怒った帆船オルグが蒸気を噴出して、兵士の事を吹き飛ばした。あんなに強く殴って大丈夫なのかと心配になる。
「ありがとう、しとりさん」
「助かったよ、しとりちゃん」
「助かったぞ、しとり」
「フンフン」
「父様、アシリパ達もいい?」
「別に構わねえが、ソイツら追われてるんだろ?」
そう言えばそうだった。
とくに考えずに答えちゃったけど。
良かったのかな?と小首を傾げる。
あまり考えないようにしていたけれど。杉元達って陸軍と喧嘩しているんだよね。山県のおじ様に相談したら止められると思う。
───とは言え、だ。
これからみんながアシリパを狙って動き始める。まだ小さな女の子なのに、そんなことするなんて最低だと思う。
「ところで、のっぺらぼうはどうなった?」
そう、剣路が問いかける。
「え?あ」
「杉元、どういうことだ!?」
「いや、鶴見中尉に捕まったときにのっぺらぼうも一緒に捕まったんだ。多分、鶴見中尉はのっぺらぼうから聞くためにアシリリパを狙っている」
「アチャが」
「お前ら、喋る前に船の中に移動しろ」
父様の言葉に頷いて船内に入る。
危ないことを避けるために帆船に取り憑いている妖怪と操縦を任せているんだろうと考えながら、傷だらけの杉元を手当てするため、準備をする。
「しとり、ひとえに会ったら謝っとけよ」
「父様が言うの?」
そんなことを話しながら、こっちに手を振る兵士の頭を一発で撃ち抜いたパヴリチェンコというロシアの軍人に感心しながらも人を撃つのはダメだと伝える。
ん、すごくビックリしているね。