最も手を伸ばすのは神威の花。   作:SUN'S

133 / 137
熊男 序

 

父様は一足先に東京へと帰った。

 

理由は母様のお仏壇を掃除して手を合わせる事と、私達の無事を伝えるためだって言っていたけど。多分、山県のおじ様に鶴見達の事を伝えるためだと思う。

 

北海道であれだけ暴れているのにバレないのは怪しいから、直接聞きに言っているんだろうけど。中央陸軍もすごく怪しく思えるよね。

 

「砂金取るの?」

 

「ああ、とれるならね」

 

杉元と由竹の二人は砂金を取る道具を借りて、北海道にある川に来ている。剣路も砂金採りに興味があるのか、一緒に探している。

 

「しとりは危ないから来るなよ?」

 

「ん、行かない。アシパと一緒にお茶飲んで待ってるから探してていいよ」

 

そう私は剣路に伝えて、雪の上に座るのは危ないので「植物改造エキス」の家や場所を作る注射を木に差し込み、椅子と屋根を作り、風避けの場所を用意し、焚き火を起こして天井から下がった蔦にヤカンを引っ掛け、川の水をグツグツと温める。

 

「しとり、今日は何だ!」

 

「ん、今日はハンバーグと目玉焼きの乗ったロコモコっていう料理だよ。ごめんね、本当は私が最初から作ってあげたいんだけど」

 

「大丈夫だ。しとりの出してくれる料理はどれもヒンナだぞ!お代わり!」

 

「じゃあ、もっと食べて大きくおなり」

 

植物改造エキスで出来た木の実をもぎ、アシパに差し出して、いっぱい食べる彼女の髪の毛を優しく束ねてあげる。

 

右手が使えないと、すごくやりにくいけど。

 

少しずつ慣れてきている。

 

「ヒンナヒンナ」

 

「お茶も飲もうね」

 

「分かっている!もっと食べるぞ!」

 

いっぱい、食べるアシパはリスみたいでとても可愛くてキュートだ。母様も私やひとえにこんなことを思っていたのかな。

 

私も早く自分の子供達に会いたくなってきた。

 

怒ってるかな?とちょっとだけ不安になりつつ、けんちゃんもそう考えているのかと見たら、由竹が逆さまになって川に突き刺さっていた。

 

また、変なことしてるね。

 

「しとり、三杯目だ!」

 

「まだ食べるの?夕御飯、入らなくなるよ?」

 

「まだまだ食べられるぞ!」

 

「そんなに美味しかったんだ」

 

母様の発明品で誰かが幸せになるのを見るのはすごくすごくすごく嬉しい。でも、本当に食べ過ぎると厠に行きたくなっちゃうよ?

 

流石に厠は家の中にあるけど。

 

「アシパちゃん、しとりちゃん、お湯ちょうだあぃい!」

 

「ん、バケツに溜めてるよ」

 

「はあぁぁ~~……」

 

「ぜんぜん採れねえ!」

 

「剣路、そう簡単に採れたら苦労しねえよ」

 

みんな、楽しそうだ。

 

私は、転びたくないから絶対に寄らないけど。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。