「し、死ぬかと思った…」
札幌市内の病院。
助産婦のおばあちゃんに取り上げて貰った三男の身体を洗ってあげ、清潔なタオルケットで包んでもらい、ベッドで一緒に眠っている。
ぐったりと体力を失った身体を起こし、赤ちゃんを見つめて笑う。四人目の赤ちゃんは男の子だ。四兄弟で女の子が一人だけだから、ちょっとだけ過保護になりすぎないかと心配になるけど。
「産まれてきてくれて、ありがとう」
「だあう」
「ンフフ、ソーキュートだよ」
小さなお手々で私の手を握る赤ちゃんの顔を優しく撫でてあげ、大きく元気に育ってほしいと母様にお祈りして、赤ちゃんを見つめる。
「産まれたのかッ!」
「ん、遅かったね」
「医者が通してくれなかったから、ここに来るまでの医者を殴り倒してきた」
「お父さんは野蛮だねえ…」
「だあ」
「ひでえ言われようだな」
けんちゃんは不満そうに言いながらも私と一緒に眠っている赤ちゃんの事を見下ろし、嬉しそうに笑い、優しく落とさないように抱き上げた。
「絃、
「げん?」
「糸に玄の字で絃だ」
「じゃあ、糸色絃で、相楽絃になるね」
クスクスと笑って、泣きそうな声を出す絃を抱っこしてあげ、ポンポンと優しくタオルケットを叩いて、眠りやすいようにリズムを作ってあげる。
「良い子だねぇ…」
「......サラシ外してるのか?」
「ん、エッチなのはダメなんだよ?」
私の言葉に口を噤むけんちゃんから窓の外に目を向けると、やっぱりイヤな気配を感じる。札幌はどうにもイヤな気配を感じてムカつく。
「(ロンドンに似てるからかな)」
そんなことを考えながら、窓の外を見ていると虚無僧に変装した牛山が見えた。すごくムキムキで見つけやすくて助かるね。
「刈羽ッ…!」
「殺しちゃダメだからね、けんちゃん」
「殺さんが、アイツのせいでお前のところに行けなかったんだ。手足を切り落として鮫のいる場所に投げ捨ててそれでも生き残ったらヒグマの巣穴に放り込んでやるつもりではいる」
「ん、ダメだってばおばか」
ちょっとだけ苦笑いを浮かべながら、剣路の言葉を聞き流す。牛山がいるなら土方や斎藤、新八もいる。赤ちゃんが産まれたことを教えてあげたい。
けど、杉元達と喧嘩しているし。
「剣路、何してるの?二階だよ?」
「ムカつくヤツがいた。糞オガタが」
オガタも居たのかと外を見遣ると見張り台の上に座って誰かを狙撃しようとしているのが見えた。いつもいつもオガタは面倒臭いことしている気がする。