1ヶ月半、鈍った身体を動かす。
「(ちょっと腰が痛いかな、まだ)」
走るのも疲れるし、体力落ちた。しょんぼりとしながら赤ちゃんをおくるみに包み、優しく抱っこしたまま、のんびりと外の景色を見せてあげる。
「あれぇ~っ、ひょっとして緋村の奥さん?」
「ん、ウサミ……だっけ?」
「そうですよ!って、赤ん坊?」
「1ヶ月半前に産まれたんだよ。今はお散歩してるだけだから私の事は無視してていいよ」
「だあう!」
パッと笑う絃にウサミは「やだ、かわいい!」と微笑みを浮かべて、頬っぺたの走る絵を頬を膨らませることで動かし、赤ちゃんをあやしてくれる。
「うー!」
「名前はなんて言うんです!」
「ん、絃だよ。糸に玄と書く。産まれたばかりだから、まだ小さいけど、男の子だよ」
「へぇ、緋村のヤツに目元が似てるな。いや、青い目は奥さんにそっくりですし、理知的な大人に育ちそうですねえ」
ニコニコと笑うウサミの頭の真横に草鞋を履いた足が当たり、そのまま蹴り飛ばしてしまった。剣路、赤ちゃんが見てるのにダメだよ?
「おー!」
「緋村ァ!!」
「オレの女と子供に近づくな、衆道野郎!」
「僕の鶴見中尉への気持ちはそんな言葉で片付けて良いものじゃない!!それと赤ん坊が見ているのに、暴力を振るうな!!」
「それは、そうだな」
ウサミの言葉に剣路も納得する。
それにしても、みんな集まってるね。土方歳三と牛山、斎藤、新八、刈羽君、杉元、アシリパ、由竹、笠原、ハヴリチェンコ、それから知らない長髪長身の男がいる。
「ん、門倉もいるね」
「キラウシはなんでだ?」
不思議そうにする、みんなに気がつけばウサミは消えていた。ん、逃げたのかな?と小首を傾げながら赤ちゃんを見ようと、ピョンピョンするアシリパの近くにしゃがみ、見せてあげる。
「青い目、しとりと同じだ」
「ん、目元は剣路に似てるよ」
「いや、お前似だ」
「そうそう」
「......みんな、けんちゃんのこと抜刀斎と重ねるの止めたら良いのにね。お義父さんは現役で主夫しているのに、なにが不満なの?」
私の言葉に新撰組は顔を逸らした。
やっぱり、ムカつくというだけで文句を言っていたのかと溜め息を吐きつつ、赤ちゃんにメロメロになっている杉元と由竹の後ろに立つ長髪長身の男が私の事を静かにジッと見つめていた。
どこか暗い感情と、羨望の臭いがする。
「ん、なに?」
「いや、いい母親だと思ってな」
「ん、これでも四人の母親だからね!」
そう言うとまた臭いが濃くなった。
何か欲しいものがあるのかな?