私の抱っこする赤ちゃんに、みんなは愛嬌を与えて癒しを求める最中、私は刈羽君と向き合っている。網走監獄の時、剣路と斬り合っていた理由を聞くためだ。
「素直に話せ。刈羽」
「自分の不手際と、浅ましさの露見です」
土方の言葉に刈羽君は喉を詰まらせるも、すぐに真剣な眼差しを向けて、私に話してくれたけど。明確な理由を告げず、曖昧な言葉で濁している。
「刈羽君、素直に教えてほしい」
そう彼の目を見て、伝える。
「......自分は子供の頃から貴女を好いていました。強くしなやかに清く美しく、一振りの名刀のごとく人を魅了する貴女に恋をしていました」
「そう、なの?」
知らなかった。
刈羽君、私の事好きだったんだ......けど、それがどうして剣路に襲い掛かるりゆうになるのかが私には分からず、困惑気味に斎藤を見つめる。
「横恋慕だ」
「ん、ダメなヤツだね」
私の言葉に刈羽君は苦笑いを浮かべ、赤ちゃんを抱っこしたまま隣の部屋で話を聞いていた剣路の目付きはすこぶる悪くなっている。
「私の好きな人はけんちゃんだから、ごめんなさい。天兵や蒼明、努君、他にも好きだよって言ってきた男の人は沢山居たけど。───私は、剣路が好き」
そう言って私は、笑顔を向ける。
「刈羽君は自分の幸せを見つけてほしい」
「半分不死身の自分に愛も恋も無理ですよ。貴女を忘れることは出来ませんし、貴女だけを愛していたいと願ってしまった」
ゆっくりと私の顔に触れた刈羽君の手を受け入れ、静かに手を添えて、離してもらう。私は、私だから絶対に変えるつもりはない。
「親父殿、自分はようやく失恋出来ました」
「そうか。では、次の恋を探しておけ」
土方の言葉に頷く刈羽君に小首を傾げつつ、私は赤ちゃんにミルクをあげる時間なので別室に移動しようとしたら、由竹がジッと見てきた。
「ん、なに?」
「いや、なにも?」
そう言うと顔を逸らし、ゴロンゴロンと部屋の中を寝転がっていくのが見えた。あんまりふざけていると怪我するから気を付けたほうがいいよ?
本当に何しているのか分からないかな。
「絃も早く大きくなろうね」
ミルクを飲み終えた絃の背中を優しく押してゲップをさせてあげる。「けぷ」とかわいいゲップにクスクスと笑いながら、着物を正して戸の向こうに視線を向け、長髪長身の男が来ていることに気づく。
「なにかよう?」
「久々に母親を感じれてな。すこし、傍に居ても良いか?」
「ん、悪いことしないならいいよ」
赤ちゃんをあやしながら、撫でてあげる。