バッタみたいに跳ねるジャックの攻撃は大袈裟にのけ反り、身体を逸らして避ける。空気の流れと匂いは分かる。あとはタイミングを測るだけ。
「……ん、読めた。吸った分の殆どは飛行に使っているせいで手首の孔はそんなに伸びない」
「
左腕の空気を噴射する孔を閉じ、右腕に空気を集めて間合いを広げるジャックの肩の動きを見つめ、ぐるりと身体を翻しながら電光丸を後頭部に叩き込む。
「龍巻閃…!」
「ギャホッ!?」
ミシミシと電光丸に伝う骨の砕ける感触を無視し、高圧電流を流し込み、電極を剥き出しにさせる。けど、電極に電流が流れる前に風で弾かれた。
ムカつく。
「ンンーーーー、右手が使えないなァ?」
ニヤリと嗤うジャックの指摘した通り。私の右手は使えない、刀を握って構えることも出来ない。食事もお箸じゃなくて、スプーンやフォークを使って、辛うじて右手で出来ている程度───。
「貴方なんて片手で十分だよ」
「HAHAHAAAAAA!!!!!!!」
騒々しく嗤うジャックは列車の屋根に着地し、深呼吸すると肺が膨張し、異形に膨れ上がる。荒々しく空気を切り裂いて、此方に向かってくるジャックを避け、空気の変化を見極める。
「ん、すごく悪いことしてる」
「切り裂きジャックだからなぁ!!」
「そうだね。────だけど」
もう、見切った。
「法式解除、総抜剣…!」
両手の指先。
左右揃えて十指が光る。
「戦型〝絶景天輪〟」
グルグルと私の背中に円陣を組み、浮遊する十本の妖刀の一本を掴み、列車の屋根を駆け抜け、左右の手を振り抜いて、同時に十本の妖刀を振り抜いて、ジャックの身体を粉微塵に切り裂く。
「ん、バイバイ」
そう言って私は身体の中に戻る妖刀の一振り、紅桜が右手に巻き付いていることに気づき、ブンブンと手を振ってようやく離れてくれた事に溜め息を吐く。
「あんまり悪いことしないで」
鞘に納めて右手を振り、列車の後ろを見る。
「ん、まあまあ強かった」
そんなことを呟きながら列車の通路に降りて、一号車に入るとみんながビックリした顔を向けてきた。どうしたんだろう?
「し、しとりちゃん、怪我してないの?」
「してないよ?」
「あんな化け物相手に無傷?こわぁ」
「…杉元は失礼だね。私は今まで傷を負ったこと……いや、オガタに手を撃たれたから一度だけかな?ん、一度だけしか負ったことないよ」
そう言うと、みんなの頬が引き釣った。
新撰組は「まあ、こいつだからな」みたいな顔だ。