【完結】最も手を伸ばすのは神威の花。   作:SUN'S

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五稜郭 破

「穴堀り?」

 

「来たのか。しとり」

 

「ん、剣路達はなにしてるの?」

 

「金塊を埋めた場所探しだ」

 

野ざらしより家屋の床下に埋めたと考えるのは妥当だと納得し、ショベルを使って地面を掘り進めるみんなの近くには寄らず、お休み用のお結びやお茶、おかずをカバンから取り出していく。

 

「ダハァーーッ、もう無理!しとりちゃん、簡単に引っ張り出せる道具とかないのぉ?」

 

「地面ごと金塊を斬って良いなら」

 

「「「「「それはダメだ!」」」」」

 

みんなに怒鳴られてビックリしながら汗だくになった牛山の背広を受け取り、汗を拭き取ってあげる。ん、一番力が強いから頑張ってくれてるね。

 

ありがとう、牛山。

 

「あふっ、うまいっ!」

 

「フフ、いっぱい食べてね」

 

お味噌汁を飲み、沢庵を頬張ってお結びを食べる牛山と私の間に割り込んできた剣路に小首を傾げていると、牛山が微笑ましいものを見るように見てきた。

 

「けんちゃん、嫉妬してるの?」

 

「悪いかよ」

 

「ンフフフ♪︎」

 

にんまりと笑ってけんちゃんを見上げる。

 

「ぐっ、ぐぅ…!」

 

自分の本心を語ったことに顔を赤くするけんちゃんの頭を優しく撫でてあげると悔しそうにしているけど。素直に受け入れてくれて、私はすごく嬉しい。

 

そんなことを話していたとき、アシリパのショベルが何か固いものに当たり、由竹と杉元がワンちゃんみたいに土を掻き出していく。

 

サッと布で食べ物を守る。

 

ん、土はつけないでほしい。

 

「? 本だね」

 

「ふむ、アシリパ。私が読もう」

 

土方は本を読み始める。

 

しかし、それは金塊の在処ではなく金塊を使って買った北海道の土地の権利書の話だった。

 

「(……ひとえが北海道の五割くらい土地を買ったとか言っていた気がするけど。心弥も油屋*1を取り仕切っている筈だけど。それはいいのかな?)」

 

私が考え事をしていると由竹が家屋を飛び出した瞬間、砲撃を受けて地面が破裂し、土や石が周囲に飛び散って家屋の壁を砕く。

 

「砲撃だと!?」

 

「気球が見える。あそこで見てるんだ」

 

「ん、そういう事なら私が行く」

 

「待て、しとりは止めておけ」

 

「……土方、私は新撰組でも維新志士だったわけでもないよ。私は大切なものを守るために刀を振ると決めただけ。貴方の手下にはなっていない」

 

「しとりっ!」

 

「刈羽君、邪魔しないで。土方、貴方の突き進んでいきたいっていう信念は知っている。だから、女子供だからって後方に置かなくていい。私もアシリパも守られるほど弱くない」

 

「そうだぞ。土方ニシパ」

 

私達は今を生きている女だ。

 

 

 

*1:
この場合は「湯屋」。大衆銭湯など

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