砲弾の轟音の鳴り止んだ五稜郭の土手を貫き、粉砕する黄金剣の一撃を弾き上げ、がら空きの脇腹に横蹴りを叩き込み、蹴っ飛ばす。
「痛いですわねえ!」
「ん、紗那は弱い。敗けを認めて」
「ほんっとに失礼だわ!」
刹那、黄金の龍を放つ。
「飛龍覇皇剣!!」
「金ピカの龍ごときで鳳凰に勝てると?」
鳳凰天舞を掲げ、カッ!と星光を放つ。
黄金の龍は霧散し、紗那は悔しそうに舌打ちをすると黄金剣を構える。右蜻蛉の構え。一撃必殺を追求する自顕流の奥義を身に付けているのは知っている。
───だけど。自顕流は弱い。
私は、そう侮った。
「アハッ…♪︎」
「があっ!?」
見えていたのに躱せなかった。
荒々しく地面を砕き、私の頭を打った黄金剣の輝きの向こう側に悦楽の表情を浮かべた紗那が片膝を地面に突いて、顔を血で汚した私を見下ろしている。
「ウフフ、雲耀の太刀は見せてないわよ。しとり」
「……うんよう、今のが?」
私が父様に聞いた雲耀の太刀とは別物だ。
血を流す頭を撫でて、前髪をあげる。
「まあ、立つわよね。しとり」
「ん、頭が割れたみたいに痛い」
「実際に割れてるわよ、脳みそチューチューしてあげましょうか?♪︎」
「……紗那ってそんなだったの?キッショい」
「ジョークに決まってるでしょう?」
お互いに笑って、嗤う。
「光の速さで切り落とす」
「鳳凰の羽ばたきで消し飛べ」
鳳凰と龍王の気当たりが衝突し、空気が軋む。
ズキズキと痛む頭を押さえる?そんなことしたら一瞬の内に私の首は飛ぶ。───なら、私に出来るのは紗那を斬ることだけ。
「雲耀の太刀!」
「もう見たよ」
普通の木刀と違って反りの無い真っ直ぐ伸びた2メートル近い刀身を持つ長刀・黄金剣を回避した瞬間、私の頬を黄金剣が裂いていた。
「これは、八寸の延金?」
「流石、気付きますわね」
ペタリと頬に触れて、血を袖で拭う。
「右手の使えないしとりには使えないでしょうが、鳳凰天舞を持った貴女に油断するつもりは微塵もないわ。貴女を越えて、鳳凰天舞を超えて、私と黄金剣は最強の称号を得る」
「……それだけ?はあぁぁ……、そんなくだらない事で挑んでいたなんてガッカリした。紗那、私は貴女を好敵手だって思ったいたかな」
────だけど。
それはもう終わりだ。
純粋に勝ちたいと思ってくれていると思ったから私も応えていた。それなのに、最強の称号なんていうもののために挑んでいたなんてガッカリだ。
「鳳凰天舞は最も強く神々しい聖剣、黄金剣ごときが調子に乗らないでほしい」