鳳凰天舞の放つ剣気を受けて尚も黄金剣は屈せず、紗那と一緒に私達を超えようとしている。最強の称号なんていうモノは要らない。
私は私のまま最強なんだ。
そう思っていたその時、紗那と私の近くには砲撃が撃ち込まれ、海の方を見ると戦艦が見えた。ここで斬り合えば巻き添えを食う。
「しとり、移動するわよ」
「逃げるの?」
「……だれが、何ですって?」
「高々大砲ごときで逃げるの?」
「OK。ブッ殺して差し上げますわッ」
「無理難題はやめたら?」
私の言葉に怒りを爆発させた紗那は怒りの力を黄金剣に注ぎ込み、更に力を強めると光の速さで私の間合いに踏み込んできた。
しかし、それはもう見て覚えた。
「雲耀の太刀」
「くあっ?!」
今度は紗那が地面に伏した。
「ぐッ、忘れていましたわ。剣士殺しの魔眼、剣理を掌握し簒奪するチョームカつく眼ですわね!」
「ん、弱者の言葉だね。私は見たものを真似ているだけじゃなくて自分の身体に合わせて調整しているから、紗那より素早く使える」
「……雲耀の迅雷って、訳ですわね」
「じんらい?」
鳳凰天舞を左肩に担いで黄金剣の間合いを出ると、地面に亀裂が走って陥没する。ちゃんと反撃してて、私はすごく嬉しく思うよ。
「えぇ、そうですわ。雲耀の太刀には既存する二つの業が存在します。私の光速の太刀、疾風。対する貴女の業は後出しの権利とも言える雲耀の太刀、迅雷!」
「ふぅん?」
鳳凰天舞を見て、雲耀の太刀を放つ。
「私の二十年の歳月を費やして手に入れた奥義を易々と使いこなす天賦の剣才、本当にイヤになりますわね。努力する天才っていう生き物は…!」
私に向ける視線が変わる。
最強の称号ではなく、やっと糸色後を見た。
「紗那、貴女は私の事を天才って呼んだけど。高々数千の業を持っているだけで私が天才だと思う?」
「え?」
「私は自分の技を編み出しているよ」
そう言いながら鳳凰天舞を正眼に構える。
「私の奥義は単純明快。───兜割りだ」
緩やかに上段に構える。
右手の使えぬ身で、烏滸がましい。
そう思っていたけれど。もはや紗那を受け止めるには、この一撃を放つ以外に最上の返礼は有り得ない。父様と姿伯父様だけが知っている。
私だけの、唯一無二の剣理の果て────。
「
美しさと恐ろしさを兼ね備えた剣戟は紗那を呑み、五稜郭に乗り込もうとしていた第七師団の兵士達の足さえも止め、五稜郭を切り裂き、大海を切り裂く。
ゆっくりと目を閉じて、鞘に剣を納める。
「今回も私の勝ちだね♪︎」
「…………つぎは、か、つ」