アシリパの父親・ウイルクの仲間の支援を受け、抗争は拮抗している。だけど、多勢に無勢であることに代わりはない。
私の「絶景」に新撰組は頼ろうとしていないし、剣路達も覚悟を決めて走り出し、第七師団の兵士達と殺し合っている。私とアシリパは隙を見て、脱出することを優先している。
私の存在に気付いて突撃してきた。
勇気と無謀は違うと鳳凰天舞の鞘を使って殴り倒し、移動しようとした瞬間、栓の抜けた鉄管を見つけ、蹴り飛ばす。空の上で爆発するソレを見上げる。
さっきの衝撃で地獄の門が、ほんの少しだけ開いた気配を感じ取ると同時に五稜郭に、チラホラと黄泉還りの気配が増えていく。
強靭な魂が、魂を呼び覚ます。
「土方、新八、斎藤、新撰組が還ってきた!」
私の叫びに三人は怪訝そうな顔をするけど。自分達の近くを駆け抜ける、ダンダラ模様の浅葱色の羽織を纏った剣士達に気付き、目を見開く。
「近藤さん、総司もあの世で血迷ったな」
そう言いながらも嬉しそうに笑う土方達に目を向け、私は五稜郭の外に馬で出る由竹と笠原の無事を願う。対岸から引けば直ぐに逃げられる。
だけど。それは別の危険もある。
「進め!進めェ!」
土方の叫び声に呼応し、黄泉還りは走る。
荒々しく吼える剣士達と第七師団の兵士達の衝突を無視し、対岸に渡りきった由竹と笠原に安堵した瞬間、強烈な殺気を感じ、そちらを見遣る。
鶴見が私を見ていた。
いや、違う。
アシリパの事を見ている。
「しとり?……あっ」
「アシリパ、先に行ってていいよ。私は鶴見と斬り合っているからさ」
ゆっくりと鳳凰天舞を引き抜いて構える。
地面を蹴って走り出してきた鶴見から逃げるようにアシリパも走り出して、私は散弾銃を構えて撃ってきた鶴見の銃弾を羽織で弾き、幾つか布を貫通してきた銃弾を斬る。
「其処を退きなさい、糸色君!」
「ん、お断り!!」
鳳凰天舞を振るう私の間合いの外側を陣取り、何度も射撃する鶴見の散弾を切り裂いて弾いた土くれで受け止める。
「時代錯誤甚だしい攻撃だ!」
「鶴見も使えばいいんじゃない?」
わざと言葉を重ねて、意識を向けさせていたとき、アシリパと逃げる杉元の姿が見えた。どうやらもう大丈夫みたいだね。
「急がなくてもいいんじゃない?」
「いいや、急がなくてはね!」
散弾銃を逆向きに持って殴りかかってきた鶴見にビックリしながら、腰から引き抜かれた拳銃の弾丸を避けるために道を作ってしまった。