ヒグマに襲われたら面倒なので列車の屋根に登ろうとした瞬間、狙撃を受け、危うく脳天に風穴が開くところだった。
だけど、今の狙撃はオガタだ。
杉元とアシリパと、一緒に鶴見も見えた。
どうやって先回りしたのかと考えながら、迫り来るヒグマを避けるために窓枠に手を掛け、列車の壁を走り、オガタの頭上を舞う。
「糸色っ!!」
「ん、見えているよ」
ぐるりと頭上を向く銃口を躱し、がら空きの背面に鳳凰天舞の鞘を叩き込み、歩兵銃を蹴り飛ばして溜め息を吐く。本当に疲れることばっかりする。
「けんちゃん、どうする?」
「そいつ、ブッ殺してから考えたいんだけど。勇作の事を考えるとブッ殺したら絶対に悲しむ。あの人は優しすぎるからなあ」
そう言って剣路は気絶したオガタを列車の外に蹴り飛ばし、地面を転がるオガタは怪我しているのか分からないけど。
怪我する落ち方はしていなかった。
「しかし、どうする。このまま鶴見と杉元達の最後を見届けるのか?」
「うぅん、私達も此処を降りよう。月島や鯉登も此方には乗っていないし、人の死を見るのはもう懲り懲りだよ。すごく疲れた、けんちゃん」
「ああ、確かにすげえ疲れたな」
私の事をお姫様抱っこするけんちゃんに「ん、ものすごく大胆」と話しながら、列車を飛び下りて、地面を削って綺麗に着地した。
「どうなるかな?」
「さてな。少なくともアイツらなら大丈夫だ」
「アシリパの事は心配してないよ。あの子は強い子だから、気になってるのは杉元だよ。彼、ちょっと前まで死にしそうになってたでしょう?」
「……不死身なのに?」
それはそうだけどね。
────心が死にそうになっていた。
「けど、もう吹っ切れてるね」
「なら、大丈夫だ」
剣路の言葉に頷き、笑う。
「けんちゃん、砂金って見つかったの?」
「ああ、麻袋に大量にあったぞ」
「ふぅん。大変だね、取り出すとき言われそう」
「確かに、運び出すのは難しいな。オレとお前なら見られる前に運べるが、どうする?」
「要らないかな」
そんなことを話し合いながら、第七師団の兵士達も土方達もいない、鉄道のレールの傍を歩いて、どうやってまた集まろうかという話を繰り返す。
集めるのは簡単だけど。
ひとえに見つかったらまた怒られる。母様は怒るのが苦手だったけど、ひとえはしっかりと怒って教育している。私も叱るけど、怒りはしない。
だから、すごく助かっている。
「あ、オガタ見っけ」
「ん、殺しちゃダメだよ?」
「死んでねえよ。ブッ殺してやりてえが、コイツは勇作に押しつける」
それは、どうなの?