半裸の男を降ろして、刀袋の中に仕舞っていた竹刀を取り出して襷で着物の袖を結ぶ。由竹と半裸の男は囚人だと逃げる途中で聞いたけど。
由竹は馬鹿だから凄く怪しい。
「アンタ、狙撃の位置を避けてたな。見えるのか」
「見えるよ」
顔に傷のある兵隊の男は銃剣を抜き、歩兵銃の先に取り付けながら聞いてきた。素直に答えると驚愕し、直ぐに「なら先は任せる」と言い、木に登り始める。
上からの奇襲。
そう思ったけど、木を伝っている。
その意図を理解し、アイヌの女の子と由竹と半裸の男に私の使っている外套を投げ渡して雪の中か見えにくい場所に身体を丸めて隠れるように伝える。
「しとりちゃん、気を付けろよ?」
「クソ、なんで俺まで!」
「お前達、臭いぞ。シサム、杉元と二人掛りだからって銃を相手に無茶するなよ」
「ん、分かった」
アイヌの女の子の言葉に頷き、ゆっくりと向かってくる雪を踏む音に竹刀の切っ先を雪に置くようにに構え、草の暖簾を押し、視界を確保しようと銃剣を差し出す相手の間合いに踏み込み、歩兵銃を切り飛ばす。
「なんだぁ!?」
困惑する男の声を無視し、手首を返して二の太刀を振ろうとした刹那、竹刀の中結いが弾け、竹刀の竹がバラバラになる。
────最初の狙撃の時だっ!?
「退けェ!!!」
「後ろかッ」
バラバラになった竹刀を広い集めて、結い直す?
いや、それだと間に合わないと判断し、銃剣と歩兵銃の部品を奪われた傷のある兵隊の男の背と肩を踏み、私は空を舞う。
「(飛天御剣流、龍搥閃…!)」
壊れた竹刀の刀身を力任せに振り落とし、右手を打つ。すると、私と代わるように冷えて敏感な肌を打たれた痛みに苦悶の表情を浮かべる男に近づき、男の首と腕を掴み、雪の上に投げ落とした。
「お姉さん、無茶するね。普通、竹刀がバラバラになったら逃げるか動けなくなる筈なのに、壊れた竹刀で攻撃するなんてさ」
そう言いながら腕の骨を砕く傷の兵隊の男を見下ろし、ゆっくりと黒い目の兵隊に視線を移す。
「その番号、第七師団だね」
「近付いたら危ないから下がって。アシリパさん、縛れるものとかない?」
「あるぞ。杉元!」
「すぎもと、不死身の杉元か」
ふじみ?と彼に視線を向けた瞬間、目潰しを受け、逃がす様に思わず、クスクスと笑ってしまう。が、スギモトは近場に落ちていた自分の歩兵銃を投げ、第七師団の男をそのまま谷底に落とした。
「ん。落とすの、好きなんだね」
「断じて違う!」
「ほんとう?」
「そんな人を疑うもんじゃありません!」
……ちょっと変わってるけど。
面白い人だね。
少し雰囲気も父様に似ている気がする。
顔は父様の方がかっこいいけど。