爆発が起こったのは銀行だった。
大掛かりな窃盗かと刀を構えようとした瞬間、あの双子の兵隊が歩いてくるのが見え、私は屋根の上に壁を蹴って上がり、身を屈める。
剣路の事を探している?と小首を傾げていると、ウシヤマに追われる由竹と笠原を見つけ、双子の兵隊とぶつかり、何かを話してウシヤマが撃たれる。
けど、近くにあった酒樽や米俵で防ぎ、爆発の余波と黒煙が兵隊の視界を隠し、ウシヤマが馬に乗って離れていく姿を見送る。
「オイ。なにしてる?」
「ん、剣路を待ってた」
「屋根で待つなよ。…二階堂兄弟か」
「杉元を殴ってた二人だね。強いの?」
「強い。狙撃手と観測手だ、組めば大抵のヤツは頭を撃ち抜かれて終わりだろうな。ただ、どっちか分からないが目を怪我している」
そう言うと剣路は刀の柄に腕を置く。
「距離感を失えば狙撃手は終わりだ。観測手も目を壊されたら使い物にならん」
「……今の言い方は良くないと思う」
「しとりは、そのままでいろよ」
また、そういう剣路にムッとする。
私より弱いのに強くなったつもりなの?と聞けば「本気になったらオレのほうが強い」と言われた。やっぱり、ウソは良くないと思う。
剣路は強いけど、弱いよ。
「どうする。杉元達のところに戻るか?」
「その前に刈羽君に会おうと思う」
剣路にも見えるように指差すとお髭の生えた白髪の男の近くを馬に乗って駈ける刈羽君の姿が見え、剣路も「あのへなちょこ野郎、またしとりを追ってきたのか」と不満そうに言っているけど。
私の事は追っていないと思うよ?
「……本当に会いに行くのか?」
「ん、刀を借してる」
「浮気か?」
「ん!?違う!!」
「嘘だったら、また縛るぞ」
「……それは、ゃだ……」
顔が熱くなる。
あの時の剣路はちょっと怖かったからやだ。
母様が何だか同じことされていたような、ぼんやりとした記憶があるような気がする。けど、ちょっとだけ恥ずかしいように感じる。
「しとり、追いかけるぞ」
「ん、分かった」
刀を腰に佩いて屋根を飛び下り、鶴見とは逆方向に走り出す。あの男は何を考えているのかが分からないから、すごく苦手に思っている。
土方歳三、母様や斎藤の話してくれた剣士。どうしても会ってみたい気持ちがある。やり残した事の一つも、土方歳三に会えば分かるかも知れない。
「しとりのヤツ、何か隠してやがるな。あとで直接聞くか?」
ん、なんか不穏な気配を感じる。
これが、よく母様の話していた視線?と小首を傾げていると、私の前を走っていた剣路の行き先が変わり、そっちを追いかけるように路地に入る。
陸軍の馬車、まだいたんだ。