土方歳三(多分)と刈羽君の二人をつけてやって来た小屋の前に立ったその時、強烈な殺気を感じ、後ろに飛び下がると同時に戸が真っ二つに斬れた。
あと少し前に出ていたら死んでいた。
「随分と早い到着だな、第七師団」
「ん、私は第七師団じゃない」
「では、何だと言うのかね。お嬢さん」
小柄なお爺さんとお祖父様みたいにお髭の生えた白髪の男(多分、土方歳三)がぞろぞろと出てきて、ふと小柄なお爺さんに見覚えがあった。
けど、こんなに小さくなかった。
剣路の方を見ると殺気を放って、刀を抜こうとしているようにも見える。まだ、ちゃんと話し合ってないから斬り合うのはダメだよ。
「……永倉、新八?」
「ガムシンを知っているか。どうやら普通のお嬢さんというわけではなさそうだ。なによりお嬢さんの隣に立つ赤毛の剣士の面立ちに見覚えがある」
────そう、緋村抜刀斎の顔だ。
と、その呟きに威圧が増した。
「剣路、持ってて」
「オイ、不用意に近付こうとするな」
剣路に刀を押し付けて、前に出ようとする私の肩を掴む剣路の手を握って笑う。
大丈夫。永倉新八は分かってくれる。
「ん、久しぶり」
「儂はお前なんぞ知らんぞ」
袖の中に手を入れて、ひとえの持ってる母様のずっと使っていた眼鏡とは違うけど。母様が本を書くときに使っていた眼鏡を掛け、ワシャワシャと髪の毛を跳ねさせ、笑ってみる。
「ん!これなら分かる!!!」
「……青い目に、跳ね毛、まさかお嬢ちゃんなのか?いや、あの子の葬儀には十年前に参加した……緋村に似た男、お前さん、しとりか?」
「覚え方が雑だよっ、新八!」
そう言ってフンスと胸を張り、ようやく家の奥からウシヤマと一緒に出てきた刈羽君と目が合う。ん、ちゃんと父親に会えて良かったね。
「ガムシン、知り合いか」
「糸色景の娘だよ、土方さん。網走監獄に移送される前に、アンタも会ったあの小柄なお嬢さんの娘さんが訪ねてきたんだ」
……待って、それは知らない。
「ホウ。相楽総三と同じ名前の娘か」
ワイワイと話し始める土方歳三と永倉新八の後ろから、煙草の臭いがした。
「阿呆が。何故、お前達が此処にいる」
「うげっ。斎藤さんもいるのかよ」
「ん、斎藤も一緒だったんだね」
同窓会だったのかと考えながら、刈羽君の「親父殿、辰馬さんが囚人を見つけたって言っています」と話題を切り替えるところを見る。
「……しとり、あんま無茶するなよ。お袋さんより身体が強くてもお前は小柄だし、女なんだから」
「フフ、新八に嫉妬したてんだあ…♪︎」
にんまりと笑って、剣路を見上げる。