一日後、斎藤達と少しだけ話して、斎藤達も刺青人皮を探しているという話を聞いて少しだけ嫌な気持ちになる。あんなもののせいで二瓶は狙われていた。
母様のお墓参りしてほしいだけなのに。
「杉元、何処かに行くのか!」
「剣路と、しとりさんか。二人の話していた用件はもう終わったのか?」
苗字が同じだからと名前で呼ぶようにお願いしたから杉元は私と剣路の事を名前で呼んでくれる。けど、やっぱりまだ怪しまれている。
「ああ、子供に会ってきた。」
「子供、一人っ子か?」
「ん、初めてのお産は双子だった」
グッと親指を立てて、ピコピコさせる。
「んもぉーっ!はしたないよ、しとりさん!」
「そして、五年前に次男を産んだ」
左手でも親指を立てて、ピコピコさせる。
「五年前、日露戦争の前だったのか。そりゃあ、無事に生きてるのに帰ってこない旦那を探しに来るわけだ。剣路、しとりさんに負担掛けるなよな」
「お前は、オレのお袋か何かなのか?」
「ん、私の母様は母様だけ」
そう話していると矢筒に毒矢を納め終えたアシリパがチセ(アイヌの家屋)から出てきて、何故か顔の腫れた由竹も出てきて、杉元の隣に立った。
ん、仲良しなのは良いこと。
「回転式拳銃の男はどうした?」
「笠原なら、まだ聞き込みしてたぜ」
「だそうだ。しとり、剣路、お前達も一緒にクジラを食べに海に行こう」
「クジラ…」
「クジラかあ」
アシリパのお誘いに思わず、私と剣路は顔を見合わせてしまう。子供の頃、母様達と海に行ったときに出会った苔だらけの鯨神を思い出す。
「ゼウグロドンに出会いたくないね」
「ぜう?」
「ゼウグロドン。南方妖怪の崇める神、カムイの名前だ。下手に刺激したら踏み潰される」
「あれれぇ~っ、剣ちゃんたら妖怪とか信じちゃってる人なの?」
「妖怪は迷信だろ」
由竹と杉元の言葉に私は小首を傾げてしまう。
「妖怪は居るよ?」
「またまた、しとりちゃんてばもうっ」
「止めとけ、白石。しとりの家系は五百年も続く霊能者の家系だ。妹のひとえも北海道でサンピタラカムイっていう神様の巫女を務めてる」
剣路の説明も信用してくれない由竹のちょっとムカつく顔に気付き、個魔に視線を向けると「私が、あのハゲを懲らしめれば良いのか?」と聞かれ、ウンと頷いた。
「白石、お前なんか浮いてないか?」
「え?のわああぁぁっ!!?」
「引きずり込まれるのと、上に上がっていくの、どっちがいいかな?」
「ウェンカムイの仕業か!?レラカムイか!」
「おっかちゃあぁーーーん!!!」
なぜか、由竹の頭だけ地面から生える。
「掘っても身体がない?!」
「ん、妖怪の仕業だね」
「妖怪ウォッチかよ、お嬢ちゃん」
? それは知らない。