「あの、杉元さん」
「ん?ああ、すまないな。無関係のアンタを巻き込んじまって、俺達が引き付けるからアンタは隠れるか逃げるかしてくれ」
男と楽しげに話す杉元の事を見上げ、首を傾げるアシリパに視線を向け、凍死する前に兵隊を焚き火の傍に寄せ、私達は離れる。
「あ、白石だ」
「ん、由竹も揃った」
「杉元ウシローッ!!ソイツが辺見和雄だ!」
その叫び声に一瞬だけ遅れる私とアシリパを押し退け、杉元は歩兵銃を盾代わりに使い、剣路が逆刃刀ではなく打刀を抜く。
血腥さの拭えない刀身に辺見和雄の股座は何故か光り始める。煌々と光って輝く股座に目を細めつつ、アシリパを抱える。
「杉元さんも剣路さんも素敵だぁ…!」
キラキラと目まで光り始める。
どうやっているのかと考えていると、銃声が聴こえて私も刀を抜き、銃の弾を切り裂く。
「杉元、鶴見に見つかった!」
「挟み撃ちになっちまうな。しとり、アシリパを連れて、白石達と先に逃げとけ。此処から先は血腥さを隠し切れない戦争帰りの殺し合いになる。杉元、辺見和雄は任せるぞ」
「嗚呼、第七師団の引き付けを頼む!」
そう言って二人は分かれ、幸せな笑顔を向ける辺見和雄に私は困惑しながら銃の弾を斬り、弾き、刀身の鎬で往なし、跳ね返す。
「アイツら、皆殺しにするつもりだね。アシリパ、由竹と一緒に先に船に乗ってて、私も剣路のところに行ってくる」
袖の中から襷を取り出して、袖を縛る。
「待て!?しとりもアイツらを殺すのか!」
「殺さない。私は母親だから誰も殺さないよ、愛してくれる人のいる人を殺すなんて絶対にしない」
よしよしとアシリパの頭を優しく撫でてあげ、私は刀の峰を使ってうなじや肩を砕き、第七師団の兵隊を一人ずつ無力化していく剣路の背中を狙う男の眉間に鞘の鐺を叩きつけ、電光丸を引き抜く。
「なんで来た!?」
「私の方が速く出来るからだよ」
電光丸の高圧電流を受け、次々と気絶し、意識を失っていく兵隊を掻い潜り、チラリと剣路を見遣る。
「しとり、撃たれてないか?」
「大丈夫。私は強い母親だからね」
にっこりと微笑みを向け、息を止める。
無酸素運動。筋肉の締まりを強め、私の腕力で振るえる渾身の一撃で歩兵銃を斬り、銃剣を抜こうとする男の首に蹴りを見舞い、肩を踏んで跳び上がる。
「良いよ、剣路!」
「飛天御剣流、
地面に突き立てた刀を振り上げ、石や貝殻、砂の礫が兵隊の身体を殴打し、ボコボコにした。
「ねえ、ちょう土龍閃ってなに?」
「オレが更に鍛えた土龍閃だ」
ふぅん、そうなんだ。
「へえ?ふうん?へえ?」と言い、見上げる。
「……なんだよ」
「まだまだ、子供だね!」
クスリと笑ってしまった。