最も手を伸ばすのは神威の花。   作:SUN'S

32 / 32
辺見和雄の恋 破

「あの、杉元さん」

 

「ん?ああ、すまないな。無関係のアンタを巻き込んじまって、俺達が引き付けるからアンタは隠れるか逃げるかしてくれ」

 

男と楽しげに話す杉元の事を見上げ、首を傾げるアシパに視線を向け、凍死する前に兵隊を焚き火の傍に寄せ、私達は離れる。

 

「あ、白石だ」

 

「ん、由竹も揃った」

 

「杉元ウシローッ!!ソイツが辺見和雄だ!」

 

その叫び声に一瞬だけ遅れる私とアシパを押し退け、杉元は歩兵銃を盾代わりに使い、剣路が逆刃刀ではなく打刀を抜く。

 

血腥さの拭えない刀身に辺見和雄の股座は何故か光り始める。煌々と光って輝く股座に目を細めつつ、アシパを抱える。

 

「杉元さんも剣路さんも素敵だぁ…!」

 

キラキラと目まで光り始める。

 

どうやっているのかと考えていると、銃声が聴こえて私も刀を抜き、銃の弾を切り裂く。

 

「杉元、鶴見に見つかった!」

 

「挟み撃ちになっちまうな。しとり、アシパを連れて、白石達と先に逃げとけ。此処から先は血腥さを隠し切れない戦争帰りの殺し合いになる。杉元、辺見和雄は任せるぞ」

 

「嗚呼、第七師団の引き付けを頼む!」

 

そう言って二人は分かれ、幸せな笑顔を向ける辺見和雄に私は困惑しながら銃の弾を斬り、弾き、刀身の鎬で往なし、跳ね返す。

 

「アイツら、皆殺しにするつもりだね。アシパ、由竹と一緒に先に船に乗ってて、私も剣路のところに行ってくる」

 

袖の中から襷を取り出して、袖を縛る。

 

「待て!?しとりもアイツらを殺すのか!」

 

「殺さない。私は母親だから誰も殺さないよ、愛してくれる人のいる人を殺すなんて絶対にしない」

 

よしよしとアシパの頭を優しく撫でてあげ、私は刀の峰を使ってうなじや肩を砕き、第七師団の兵隊を一人ずつ無力化していく剣路の背中を狙う男の眉間に鞘の鐺を叩きつけ、電光丸を引き抜く。

 

「なんで来た!?」

 

「私の方が速く出来るからだよ」

 

電光丸の高圧電流を受け、次々と気絶し、意識を失っていく兵隊を掻い潜り、チラリと剣路を見遣る。

 

やっぱり、逆刃刀を抜けないんだ(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「しとり、撃たれてないか?」

 

「大丈夫。私は強い母親だからね」

 

にっこりと微笑みを向け、息を止める。

 

無酸素運動。筋肉の締まりを強め、私の腕力で振るえる渾身の一撃で歩兵銃を斬り、銃剣を抜こうとする男の首に蹴りを見舞い、肩を踏んで跳び上がる。

 

「良いよ、剣路!」

 

「飛天御剣流、()土龍閃ッ!!!」

 

地面に突き立てた刀を振り上げ、石や貝殻、砂の礫が兵隊の身体を殴打し、ボコボコにした。

 

「ねえ、ちょう土龍閃ってなに?」

 

「オレが更に鍛えた土龍閃だ」

 

ふぅん、そうなんだ。

 

「へえ?ふうん?へえ?」と言い、見上げる。

 

「……なんだよ」

 

「まだまだ、子供だね!」

 

クスリと笑ってしまった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

某剣客浪漫世界で私は趣味に憩う。(作者:SUN'S)(原作:るろうに剣心)

これは、糸色さん達が東京に帰る少し前のお話───。▼ドクトル・バタフライを始めとした転生者達、親しき友人や苦手な人もが、神通力の使い手と思い込み、いつも黒幕扱いされる糸色さんに相談を持ち掛ける。▼このお話は趣味に癒しを求める糸色さんのお話です。▼【スレっぽいヤツ】▼https://syosetu.org/novel/380529/▼【エッチなヤツ】▼http…


総合評価:31/評価:-.--/連載:11話/更新日時:2026年06月25日(木) 23:05 小説情報

コズミックイラのマチュ ~ロリニュータイプの日本再興記~(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

拙作、『ダイクン家の二女はアホの子』に載せていたコズミック・イラの話を独立させました。▼ マチュことマリ・ヤマトはハルマ・ヤマトとカリダ・ヤマトの間に生まれた一粒種。▼ 兄のキラと仲良く暮らす元気いっぱいのゲーマー小学生だ。▼ しかし、彼女には兄には話せないもう一つの顔があった。▼ その身に流れる高貴な血の運命と祖国再興という命題。▼ コズミック・イラという…


総合評価:1413/評価:7.93/連載:7話/更新日時:2026年04月13日(月) 13:52 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3171/評価:6.8/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報

【完結】何だかんだと恋運ぶ呪いの花(作者:SUN'S)(原作:らんま1/2)

▼【挿絵表示】▼一人は糸色家の娘、二人は本条家の姉弟だ。▼明治最強の血筋を受け継ぐ姉弟と、明治時代から世界屈指の名を連ねる糸色の娘は、これから巻き込まれるドタバタでハチャメチャなラブコメディーに笑い、呆れながらも、時には戦いながら歩んでいく。▼ちなみに姉弟は私の書いた「某剣客浪漫世界で私は物書きをする」および「もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ」に…


総合評価:192/評価:6.25/完結:441話/更新日時:2026年07月20日(月) 22:05 小説情報

機動戦士ガンダムSEED~旭日旗を掲げて(作者:武御雷参型)(原作:ガンダム)

C.E9。国家の枠組みが大きく変わった時、台湾が日本に吸収され、日本皇国として誕生した。▼また、日本皇国は中立を宣言し、オーブと防衛協定を結びお互いの国家に安寧の地を目指していた。▼登場するキャラクターの一部は、ある作家さんのキャラを使っています。また、今作品は合作となっています。


総合評価:189/評価:-.--/連載:20話/更新日時:2026年07月19日(日) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>