牛山と組み合う杉元を目撃し、剣路と目配せする。多分、こういうときは黙っておこう、そして見守ることに徹した方がいい。
そう思っていたら、いつの間にか何故かライスカレーを食べることになっていた。杉元の事を気に入ったと言っているけど、私達がいるのもある。
「ん、母様も言っていた。食事は一期一会、毎回毎回を大事にしなさい。その人との出会いや思い出を大事にしないのはダメだと思う」
「確かに食事は大事だ」
ウンウンとみんなが頷いているとライスカレーが運ばれてきた。スプーンの使い方をアシリパに教えつつ、剣路と杉元とキロランケと牛山は札幌ビールをゴクゴクと喉を鳴らして飲み始める。
「ヒンナすぎるオソマだ…!」
ん、すごく豪快すぎる。
「しとり、私もビールを飲みたい」
「飲みすぎないようにね?」
アイヌの成人は迎えたと聞いたけど。
本当なのかと考えながらも酒瓶をアシリパに渡すと、牛山も満足そうに笑いながら「じゃんじゃん持ってこぉい!」と叫ぶ。
「お嬢さんも飲むかい」
キラーンと星が出る牛山の差し出すビールを受け取り、スンスンと嗅いで、剣路の方に差し出す。私は、もうちょっとアルコールの低いヤツが良いかな。
「ヌフゥ……やっぱり、身持ちは固そうだな。お嬢ちゃん、そっちのお嬢さんみたいな良い女になりな。男を選ぶときは、チンポだ」
…………んっ、不埒な言葉はダメだと思う!?
「チンポは海で見たけど、なんか……ふふ」
「男は寒いと縮むんだよ?!伸びたり縮んだりするの知らないの?アシリパさん!」
「大きさの話じゃないぜぇ?その男のチンポが『紳士』かどうか抱かせて見極めろってことだ」
「そのとーり!」
「赤毛のお前さんもそう思うだろう」
汚ない話が、剣路にも振られた。
「オレは一途なんだよ。そういう話振るな」
「一途、お嬢さんとは幼なじみか?」
「ん、両親も親友だった」
グッと親指を突き立てる。
「幼なじみの恋、聞かせて」
いきなり、キラキラした目になる杉元にビックリしながらも剣路に視線を向ける。
「別に面白くもないぞ。オレの家は剣道場を開いてて、しとりの父親は日本交易の重鎮、母親は物書きだった。オレ達の生まれる前は親父達が何か戦っていたっていうのは聞いている」
「緋村と相楽の話か?」
「ん。斎藤、こんばんは」
「よぉ、アンタも来てたのか。飲め飲め!」
斎藤一の登場にビックリする杉元に「剣路の父親の友達だよ」と伝えていたら「誰があんな阿呆と友達だ」と凄まれる。
けど、怖くない。
私やひとえが近くにいるときは煙草も吸わない。