ガラガラと農家の二階の窓を開け、一階の土間に降りると見知らぬ男が二人も増えていた。しかも、なぜか臭いが似ている気がする。
「アシリパ、なにこれ?」
「この男のどちらかがキロランケニシパを追い掛けてきたヤクザらしい。けど、こんなときに殺し合うなんて間違っている」
その言葉に頷き、肯定する。
確かに今にも戸を壊して家に入ってこようとしているヒグマがいるのに、怪我なんてしたら置いていかないといけなくなるかも知れない。
───刹那、杉元の歩兵銃に巻き付けていた短刀が畳に突き刺さり、白鞘の刀が抜き放たれているのが見えた。あの独特の刃紋には見覚えがある。
私が持っている刀の一振りに似ている。
「その刀、新井赤空の殺人奇剣だよね?」
「チッ、目敏い女が居やがるな。だがな。そっちのアイヌの色男、テメェのせいで俺は競馬で大損こいたんだ。落とし前に外の銃弾取ってこいや」
「あんたが馬主の親分だったのか。あの生首も俺に見せつて脅すためだったのか?」
今にも殺し合いに発展しそうな雰囲気を破るように、パンと手を叩いて全員の意識を向け、アシリパににっこりと微笑みを向ける。
「みんな、落ち着け。外にはヒグマが3頭もいるのに殺し合ってどうする!ここを無事に脱出することだけを考えろ!」
「ん、喧嘩は終わった後に素手でしてね」
「フン。喧嘩は素手でか、女の癖に喧嘩の華を分かってるじゃねえか。よっしゃ、そっちのアイヌのお嬢ちゃんの言うとおりだ。ここは休戦だ……ただし、誰かが弾薬を取りに行かなきゃいけねえのは事実だ」
白鞘の刀を畳に置き、極道の男は賽子を出した。
「俺はヤクザだ。博奕で決めようじゃねえか」
その言葉に警戒心を出す由竹が賽子を受けとるも落とし、机の下に潜り込む。そのお尻をジッと極道の男は見つめている。
「……そういえば名前聞いてないね」
「あ、仲沢達弥と申します」
「若山輝一郎だ。リボンの姉ちゃんの名前は?」
「糸色しとりだよ、よろしく」
「いとしきぃ?大名家の人間か!」
「ん、私が今の当主」
話しながら由竹を待つ。
「細工はねえよ」
「当たり前だ。壺振りもそっちの姉ちゃんか仲沢さんだっけ?そのどっちかにしてもらえば公平だろう。少なくともその姉ちゃんは雰囲気が違う」
「ん、私は博奕はしない。ナカザワやって」
「は、はあ……」
「その前に、仲沢さん。あんたも脱げ。あんたがヤクザじゃねえ確信がねえからな」
「えっ、わ、分かりました」
そう言うとナカザワはネクタイを外し、シャツのボタンを外して上半身を晒した。
「うるるるるっ」
「汚ない乳首をアシリパさんに見せるんじゃねえよ!怖がってるだろッ!!」
「何だその乳首は!早く隠せ!!」
「ふざけた乳首しやがって!!」
───その結果は、非難轟々だけど。
「ん、剣路見えない」
「あんなもん見せられるか」
私は目を手で覆われ、ふざけたナカザワの乳首を見れなかった。見る気もないけど、あんなに怒鳴られるものがどんなのか気になってしまう。