最も手を伸ばすのは神威の花。   作:SUN'S

48 / 48
逃げ場なし 急

「こんの馬鹿野郎がぁ!!」

 

賽子の目は「半」を示した瞬間、ワカヤマの蹴りがナカザワの顔を蹴り飛ばし、慌てて剣路がナカザワの事を受け止め、極道の男を睨み付ける。

 

「イカサマしようとして失敗しやがったな!」

 

「いや、お前に限って失敗はありえねえ。おめえ、わざとやりやがったな」

 

その言葉に信頼の強さを感じる。

 

私もこれだけ剣路に信頼して貰えていると嬉しいなと思いながら剣路が私の傍に戻ってきて、二人の成り行きを見守ろうとしている。

 

「なんだって俺を困らせるようなことばかりしやがるんだ!偶然この家にコイツらが来ちまったから知らんぷりしてたのに、なんだって生首を並べやがった!」

 

「親分が浮気するからだ!」

 

みんなの視線がナカザワに向かう。

 

「アレは金で買った男だと言っただろう!まだ根に持ってやがるのかッ!!!」

 

今度はワカヤマにみんなの視線が向かう。

 

けど、ワカヤマの言葉にカチンと来た。こんなに貴方の事を大事に思っているのに、そんなことをするなんて最低な男だと思う。

 

「さっきだって親分は坊主頭のお尻を物欲しそうに見ていた癖に!!」

 

「見てない!」

 

「だいたいよぉ!男娼を買うのなんざ便所に行くようなもんじゃねえか!」

 

「不潔だ!親分は不潔だ!」

 

だんだんと言い争いが激しくなってきた二人に近づき、バチィン!と二人の頬っぺたにビンタを見舞い、唖然と私を見上げる二人を見つめる。

 

「ワカヤマ、浮気するのは悪いことだよ。本当にナカザワの事を愛しているなら、そんな言い訳を並べるんじゃなくて本当の気持ちを言ってあげよう?ナカザワも好きなら好きって伝える、恋する時は何時だって攻め時なんだから。ね?」

 

ぎゅっと二人の手を握り合わせ、そう伝えるとナカザワとワカヤマは静かに見つめ合い、強烈な抱擁を始めて、熱烈な接吻を繰り返す。

 

「愛してるぜ、姫ッ」

 

「私も大好きだよ、親分!」

 

ん、一件落着だね。

 

「いや、まだヒグマが残ってるだろ」

 

そう言えばそうだったと思い出し、私は窓の外を見ると三びきのヒグマがのそのそと農家の周りを歩き、入り口を求めて歩いているのが見えた。

 

「杉元、弾薬盒は?」

 

「彼処だ。ヒグマが木に投げて引っ掛かってる」

 

「ん、私の脚なら取りに行ける。アシリパ、弓矢で援護……弓矢は?」

 

「白石に壊された」

 

「クゥーン」

 

おおよそ35メートルの距離だ。

 

走れば届く。

 

「しとり、オレが行くぞ」

 

「剣路は駄目だよ。私より背が高いから飛び込むときに引っ掛かる」

 

私の言葉に剣路は自分の身体と窓枠を見比べている間に外に飛び出し、弾薬盒とベルト、銃剣を杉元に投げ渡すと赤毛のヒグマが目の前にやって来た。

 

「ヴオォオッ!!!」

 

「ん、倒れて!」

 

横薙ぎの引っ掻き攻撃を退いて避け、二足歩行になったヒグマの後ろ足の膝を蹴り砕き、片足の自由を奪い、私は木の幹に刀を突き立て、その上に立つ。

 

 

さて、どうしよう。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

某剣客浪漫世界で私は趣味に憩う。(作者:SUN'S)(原作:るろうに剣心)

これは、糸色さん達が東京に帰る少し前のお話───。▼ドクトル・バタフライを始めとした転生者達、親しき友人や苦手な人もが、神通力の使い手と思い込み、いつも黒幕扱いされる糸色さんに相談を持ち掛ける。▼このお話は趣味に癒しを求める糸色さんのお話です。▼【スレっぽいヤツ】▼https://syosetu.org/novel/380529/▼【エッチなヤツ】▼http…


総合評価:33/評価:-.--/連載:11話/更新日時:2026年06月25日(木) 23:05 小説情報

【完結】何だかんだと恋運ぶ呪いの花(作者:SUN'S)(原作:らんま1/2)

▼【挿絵表示】▼一人は糸色家の娘、二人は本条家の姉弟だ。▼明治最強の血筋を受け継ぐ姉弟と、明治時代から世界屈指の名を連ねる糸色の娘は、これから巻き込まれるドタバタでハチャメチャなラブコメディーに笑い、呆れながらも、時には戦いながら歩んでいく。▼ちなみに姉弟は私の書いた「某剣客浪漫世界で私は物書きをする」および「もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ」に…


総合評価:192/評価:6.25/完結:441話/更新日時:2026年07月20日(月) 22:05 小説情報

コズミックイラのマチュ ~ロリニュータイプの日本再興記~(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

拙作、『ダイクン家の二女はアホの子』に載せていたコズミック・イラの話を独立させました。▼ マチュことマリ・ヤマトはハルマ・ヤマトとカリダ・ヤマトの間に生まれた一粒種。▼ 兄のキラと仲良く暮らす元気いっぱいのゲーマー小学生だ。▼ しかし、彼女には兄には話せないもう一つの顔があった。▼ その身に流れる高貴な血の運命と祖国再興という命題。▼ コズミック・イラという…


総合評価:1446/評価:7.97/連載:7話/更新日時:2026年04月13日(月) 13:52 小説情報

【完結】からくりと踊り謡う薄命の花(作者:SUN'S)(原作:からくりサーカス)

彼女は才賀家の令嬢だ。▼かつての大戦から十数年後。穏やかに過ごしてきた糸色家の血筋の少女は不思議なからくりと道化師達に出会うことになる。▼さあ、天幕の上がり、開幕はもうすぐ───。▼ちなみに令嬢さんは私の書いた「某剣客浪漫世界で私は物書きをする」および「もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ」に登場する絶景先生こと糸色景の子孫に当たります。▼【本編】▼…


総合評価:293/評価:7.71/完結:255話/更新日時:2026年02月23日(月) 22:05 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3174/評価:6.8/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>