「本当に囚人だったのか」
私とアシリパは部屋の外に待機しつつ、一緒に綾取りしながら遊んでいると、部屋の中から「なにデカくしてやがる!」とか「うるせぇーっ!てめえらが俺のモンを物欲しげに見やがるからだ!」とかいう叫び声が聞こえてきたりした。
ん、すごく下品だと思う。
「しとり、みんなは何やってるんだ?」
「んー、若山が暴れるから喧嘩してるだけ?いや、どうなんだろう?(『兵隊だと衆道はよくあることだ』って父様は言っていたけど)」
衆道は、よく分からない。
父様は「剣路は絶対にやる」と言っていたから怒って顔を叩いたことある。剣路はカッコいいから、みんなに好かれるのは仕方ない。
けど、浮気は悪い文明だ。
「しとり、ちょっと来てくれ」
「ん?なに?」
ドアを開けると汚いものがあった。
みんなの褌を剥ぎ取ろうとしている若山とエディー、なぜか褌だけになった由竹と杉元、泣いている仲沢、爆笑するキロランケ、呆れている剣路の姿がそこにあった。
「キッショ」
ドアを閉めて、アシリパの隣に座る。
あんなものを見せるために呼んだのかと剣路にちょっとだけ怒りつつ、私は隣に座っているアシリパの頭をよしよしと撫でてあげる。
剣路は馬鹿になったのかと真剣に悩む。
「しとり、冗談じゃねえか。用件はあのヤクザの親分の刺青を写すことだ。出来るか?」
「剣路は私はマダムだけど、女だよ?」
「だからだ。あのオッサンは男だと興奮する」
「余計にイヤだよ。がんばってね」
私はアシリパを連れて剥製やアイヌの道具の置かれたエディーの応接室に向かい、ドタバタと暴れる男達の怒声に苦笑いをする。
「止めなくていいのか?」
「アシリパ、止めなくて良いときもあるんだよ」
「そうなのか。しとりは物知りだな!」
「これも母様の教えだね。危なかったら離れるのは当たり前なんだから、アシリパも疲れたなら私にも背負わせてくれて良いんだから」
「ありがとう、しとり。だが、その時は杉元に頼む、相棒だからな!」
そう言って笑ったアシリパはすごく可愛くて素敵な女の子だった。こんなに優しい女の子にアイヌの金塊を押し付けるなんて最悪だ。
グーで殴ってやる。
「そういえばしとりは子供が居るんだったな。どんな子なのんだ?」
「ん、長女と長男は双子だね。五年前に産まれた子供はちょっとだけ腕白かな。でも、みんな凄く凄く可愛くて大好きな子供達だよ」
早く金塊を見つけて、アシリパの父親を殴る。
そうしたら、ゆっくりと母様のやり残したことを進めることが出来る。