「ん、杉元と由竹が走ってる」
「そうだな。……月島軍曹が居やがる!」
「だれ?」
「お前の近くにいた仏頂面だ!」
そう言うと剣路は私の事を半纏の中に押し込み、路地の方に隠れる瞬間、白い熊が走っていくのが見えた。あれも何かの催しなのかと小首を傾げる。
「江渡貝くーん!」
真顔のまま声を弾ませたオガタも現れ、私は困惑しながら剣路の事を見上げると剣路も困っていた。そんなにビックリすることだったのか。
けど、追ったら鶴見に見付かる。
どうしようかと悩みながら私は「石ころ帽子」を取り出して、剣路にも被せて、ツキシマとオガタ、杉元達の事を追いかける。
見付かって困るなら、見られなければいい。
「相変わらず、おばさんの発明品って不思議だよな。未だに使い方とか分からねえもん」
「ん、お母さんって呼ぶべし」
「お、おお、悪い、しとり」
そんなことを言いながら炭鉱に向かう彼らを追いかける足を止め、クンクンと炭鉱の臭いを嗅いで顔をしかめる。すごく臭い、行きたくない。
「……」
「ぷっ、くく、本当に臭いの苦手だな。オレが行ってくるから待ってろよ」
「ううん、私も一緒に行く。あとで掃除して洗濯すれば大丈夫だよ。けど、防護面は着けてね」
「おう」
戦国時代から続く防毒面*1を身に付け、線路の上を走って杉元達の事を追いかけて走っていく。
2分ほど走っていたとき、爆発が起こった。
「ん゛ん゛ん゛ッ!!?スケベ!」
「ぐふっ!」
バサバサと着物がはだけ、お尻が見えそうになるのを裾を押さえる私の後ろに回り込んでいる剣路の顎に柄を傾け、鐺をぶつける。
不埒なのはダメだと思う!
風が収まったかと思えば、人が次々と倒れ始める。見える場所にいる人達を鞄の中に入れ、瓦礫や岩盤を斬って怪我した人達を鞄の中に入れていく。
「剣路、この人って熊の人?」
「多分、そうなんじゃないか?」
「ん、助けよう」
防毒面を着けてあげ、岩盤に潰された足に添え木をして鞄の中に入れる。まだまだ人がいるかも知れない事に気づき、発明品「吸い寄せ磁石」を取り出す。
「炭鉱の人間、来い!!」
そう言うと瓦礫や岩盤を押しのけ、人間が鞄の中に引き寄せられ、次々と入っていく。暫くして人が来なくなったのを確認し、炭鉱の外に出ると牛山達も一緒にいるのが見えた。
土方歳三と合流するってことかな?
石ころ帽子を脱いで、防毒面を外す。クンクンと身体を臭うと炭鉱の煤や火薬の臭いまみれですごくイヤな気持ちになる。
「ははぁ、ご無沙汰ですな。緋村一等卒」
「……尾形か」