「では、熊岸長庵を探すのはどうでしょう」
家永の言葉に由竹が「あの贋札犯か!」と反応し、私もその男の名前は知っている。母様の絵の贋作を作ろうとしていた男だ。
けど、完成する前に捕まったって聞いている。
「贋札犯。贋作作りに長けた人間ならば贋作の刺青人皮の見分け方を探り当てる事が出来るだろう。しかし、何処にいる?」
「月形の樺戸監獄です」
「……樺戸、
牛山の呟きに私は小首を傾げつつ、ようやく剣路の刀と鞘の修繕を終える。海に落ちたからかなり日にちも経っているし、磯臭さも何もない。
しっかりと修繕は終わっている。
そう思っていたその時、ガシャン!と窓ガラスの砕ける音と焦げる臭いが部屋に漂い始める。
「チッ。第七師団の奴らだな。緋村一等卒、お得意の特攻で何とかしてくれませんかねえ」
「ふざけるなよ、尾形。玄関と勝手口の二つ以外は格子を嵌めてやがるのに、どうやって特攻しろっていうんだァ?蜂の巣になるだろうが!」
「喧嘩は止めんか。馬鹿者共が」
永倉の言葉に睨み合う剣路とオガタは離れ、私は革長靴から草履に履き替える。走りやすさと足首の動きなら、此方のほうが頼りになる。
トン、トン、トン、と廊下で跳ねる。
「土方、新八、合図したらドアを開けてほしい」
「二代目のお手並み拝見か」
「オレは親父より速いぞ」
玄関のドアに剣路が、勝手口のほうに私が向き合い、ドアが開くと同時に駆け出して納屋の影に隠れる軍服の男達に向かって電光丸を振るい、素早く意識を刈り取って倒していく。
剣路のほうも銃声は聴こえるけど。
人に当てた音は聴こえない。
ダァン…!
────と、私を狙った銃声が聴こえた。
電光丸を振り向き様に切り上げ、二階に立てこもっているオガタを見上げる。
「ん!撃つのは私じゃない!」
そう言いながら電光丸を鞘に納め、此方に銃剣を歩兵銃に着けて突撃してくる第七師団の男達に溜め息を吐きつつ、電光丸で素早く切り伏せていく。
電圧で気絶させているだけだけどね。
「居たぞ!糸色しとりだ!」
「ん、やっぱり狙われてる」
ぞろぞろと集まってくる第七師団の男達を掻い潜り、剣路と合流して一緒に逃げようとした瞬間、双子の男が、剣路の言っていた二階堂達が現れる。
「其処を退け、二階堂!」
「ウルセェーッ!てめえのせいで杉元は逃げるし、俺も洋平も熊に殺されかけたんだ!お前をブッ殺してやるからなァ!」
「チッ。面倒臭いことになったか?」
ん、それは最初からだよ。