熊岸長庵を探しに月形に向かうことになった。
土方と新八と斎藤に呼ばれて、剣路は渋々と向こうに行き、私はアシリパもいることを考えて、杉元や牛山、オガタと一緒にいる。
剣路は物凄く不満そうだったけど。
「ちゃんと会えるよ、頑張ってね」
よしよしと頭を撫でてあげ、頬っぺたにキスしてあげるとオガタがスンとなった。会ってから気になってたけど、私に変な感情を向けてる?
そう小首を傾げつつ、剣路に母様の作ってくれた鞄の中に繋がる巾着袋を渡しておく。ご飯や道具は色々と入っているから無くさないでね。
「しとりは一緒に行けなくて残念だな!」
「アシリパがいるからね。女の子が一人だけだと色々と大変だろうし」
「しとりさん、優しいぃ」
「ん、そんなことはないよ。だれかに優しく出来るのは優しさを教えて貰ったからだから」
杉元の言葉にそう返しながら山の中を移動する。
「見ろ、杉元。ヤマシギだ」
「美味いの?」
「脳みそが美味い」
いつものような会話が聴こえる中、私は開けた場所を探し、切りやすい枝や枯れ木を集め、焚き火の準備を行いつつ、みんなの座る場所を用意する。
「ん、オガタ。撃っちゃダメだよ」
「なんでだ?食うんだろ」
「しとりの言うとおりだぞ、尾形。ヤマシギは敏感だから1羽を撃ったら他のヤマシギは一斉に逃げてしまう。くくり罠で捕まえよう」
じゃあ、ヤマシギは明日になるのか。
翌日の朝。
くくり罠に掛かったヤマシギを締めて羽を毟り、アシリパの作る料理の手伝いをする。鉄鍋を背負う杉元はとても大変だと思う。
「ん、オガタも帰ってきた」
羽を毟る手を止めて、後ろに振り返ると3羽もヤマシギを持ったオガタが現れる。しかも、ものすごく自信満々にふんぞり返っている。
「アシリパさんに無理だって言われてムキになっちゃってさ。ハンッ!」
「杉元は銃が下手くそだから妬ましいな」
「別に!!」
屈託のない笑顔が杉元を襲う。
アシリパは可愛いけど。たまにすごくビックリするような事をするから、とても困ってしまう。あとヤマシギはチタタプにするらしい。
「鳥のつみれ汁か」
「チンポ先生、ヤマシギの脳みそです!」
「…………」
チラリと牛山とオガタは杉元を見る。
「チンポ先生、脳みそは嫌いか?」
「食っていいものなのかい?……それ」
「杉元ぉ?しとりぃ?ヒンナだよな?」
「ヒンナヒンナ」
「ん、多分、いける」
ふいっと私は視線を逸らす。
「尾形も食えるな?」
「俺は要らん」
普通に断っても良かったのかと二人はショックを受けているけど。私も断っているんだから、ふつうに分かると思っていた。