鉄鍋に水とニリンソウ、リスのつみれ、コンクフードのつみれを入れて煮立つのを待つ。リスの脳ミソを食べた杉元と由竹と笠原は複雑怪奇な顔になってる。
「ごめんな。緋村、お前にも脳ミソを食べさせてやりたかったんだが、今日はあまり獲れて居なくてな。とても残念だ」
「ん、気にしなくていい。それよりお酒を飲むときの器がないけど、どうするの?」
「そりゃあ、回し飲みだろ」
「清酒なんざ中々飲めねえからな」
「しかも吟醸だ。絶対に美味い酒だ」
男達の会話を聴きながら私はアシリパの近くに移動し、酒盛りを始めた三人を冷えた目で見る。父様とお義父様が飲むときは、もっと上品だった気がする。
いや、普通に酔って脱いでいた気もする。
「よし、煮えたぞ。よそってやれ、緋村」
「そこは私なんだ」
差し出される三人のお椀に私がよそっていき、最後に自分のお椀につみれ汁を装って、リスの肉団子を食べる。コリコリとした骨の歯ごたえが面白い。
「ヒンナヒンナ」
「なんだいそれ?」
「食事に感謝する言葉だ。私達は食べるときによく言っている」
「ヒンナ」
「ヒンナヒンナ」
剣路にも作ってあげよう。
脳ミソ、たべるかな?
食べ始めて、10分か13分ほど経った頃。
「しかし、白石を道案内に使おうと思うなんざ嬢ちゃんも中々に変わってるぜ。普通、初対面の男に山の中を案内させるか?」
「由竹は馬鹿だけど、女の人に悪さする雰囲気や態度は出していなかったよ。ただ、旅館の残飯を漁るのはダメだから止めたけど」
「んもぉ~、褒めないでよおっかちゃあん」
「ん、私はおっかちゃんじゃない」
私の返答に由竹に視線が集まるも既に真っ赤に湯だったタコのようになった由竹は一升瓶を独占するように寝転んでいる。
「囚人がいい人ねえ…」
「杉元は私を信用していないのは私を囚人だと思っているから?それとも馴れ馴れしくしているから、信用できないの?」
「あ、いや、そういうわけじゃない。……ただ、さっき襲ってきた第七師団に旦那が居ると聞いて、少しだけ警戒してしまっているんだ」
「それなら問題ない。剣路は金塊より私の足の方が好きだから直ぐに帰ってくる」
フンスと胸を張って自分の太股を叩くと、いつの間にか一升瓶を奪い取っていたアシリパが私のお膝の上に倒れるように寝転んできた。
「せーしゅ、初めて飲んだけど。ヒンナだ…!」
「あっ、ズルい!俺も飲みたい!」
ごくごくと飲み回される一升瓶を眺めながら、私はリスのつみれをお椀によそって、また食べる。
「ヒンナ」