干からびた牛山を杉元達が背負って歩く近くを歩きつつ、すごく汗臭いから近寄りたくない気持ちになる。ちゃんとお風呂に入っててほしかった。
熊岸と鈴川は逃げようとしたけど。
アシリパがストゥでボコボコにしたら大人しくなった。やっぱり、ストゥの使い方はアシリパのほうが上手いなと感心しつつ、オガタを見遣る。
「飴、食べる?」
「……ッ、何の味だこれ?」
「ハッカ」
「歯磨き粉かよ」
「顔色が悪いから気付けにはなるよ」
クスクスと笑ってあげると、すごく不満そうにしながらもカラコロと口の中で飴を転がすオガタ。アシリパには、ちゃんとイチゴ味の飴をあげ、杉元にもハッカ味の飴をあげる。
「なんで俺も歯磨き粉味なのぉ?」
「ん、歯磨きしないからだね」
「えぇ?俺の口、臭い?アシリパさん?」
「大丈夫だぞ杉元。ちょっと臭いだけだ!」
「臭いんじゃん!?」
「ははぁ、俺も臭いってか?」
「ん、オガタは気付けだね」
そう言うとオガタは杉元を見て、わざとらしく鼻を摘まむ仕草をした。舌打ちや小言、言い合いが私達の真後ろから聴こえてくる。
「しとりは大変だな。子供の世話なんて」
「三児の母だからね、慣れてるよ」
よしよしとアシリパの頭を撫でつつ、牛山の意識も戻ってきた。
「快楽の天国だったぜ…」
「聞いてないですよ、牛山さん」
「早く代わってくれ」
そんなことを言いながら牛山の事を支える熊岸と鈴川は逃げないように見つめつつ、まだ言い合いをしている杉元とオガタに代わってもらう。
私とアシリパだと背丈が足りないから仕方ないと、割り切りながらチラリと杉元を見るとまだオガタの事を睨んでいた。
「よしよし、杉元は偉いよ」
「し、しとりさん!」
「でも、たまにお尻を見るのはやめてね?」
「杉元ぉ?」
「なんだ、尻派だったのか」
「あだぁっ!?」
私の身体は剣路と子供のためにあるからね。
それにしても、オガタまで杉元みたいにお尻を見るのはなんでだろう。みんな、お尻が好きなのか?と小首を傾げつつ、剣路に会ったら聞こうと考える。
「しとりさん、そう言えばいつも言ってたけど。糸色家って何なんだ?」
「私の母様の生まれた家だよ。すごーく大きな家だから政治家も手出しできないし、今は山県のおじさんもいるから余計に話せないかな」
「やまがた」
「山県有朋か、土方に聞いていたがどうやらマジモンの上級武家だったみてえだな」
今は地主と華族だね。
父様とお爺様が何かすごいことをしたから山県のおじさんが勝手に華族にしちゃったみたいだから、すごく怒っていた気がする。