由竹は第七師団に捕まったそうだ。
まあ、バカだから捕まるよね。そう納得しながら、みんなが話し合っている間に朝一番の銭湯に向かい、身体を洗って銭湯の外に出ると剣路が待っててくれた。
「剣路、どうしたの?」
「尾形と一緒だったろ。何もされてないな?」
「何もなかったけど…杉元とオガタはすごく仲が悪いことは分かったよ。あと牛山の子供が百人くらい生まれるかも知れない」
「どういうことだ!?」
ん、アイヌには牛山だけの大奥がある。
あとで家永に教えてお仕置きして貰おうと思いつつ、剣路に手を握られ、旅館に帰る前に小さな洋服店に連れ込まれ、変装用の服を選び始める。
フリフリしたものから地味なのもある。
「……刀、振れないよ」
「お前は待機だから大丈夫だ」
「あんらぁ~!誰かと思えばしとりさんと剣路さんじゃありませんの!久しぶりにお会いしましたわね!オホホホホぶえっ、ゴホッ!ゴホッ!……やっぱり、高飛車キャラはキツいわね」
シャーッと更衣室のカーテンを開いて出てきた洋服を纏った女───
「安居院の馬鹿女…!」
「誰が馬鹿よ、ヘタレ。お酒で酔わせた話し、私は親友としてまだ見過ごせていないわよ」
「ムッ……」
「ん、久しぶり。元気だった?」
「えぇ、元気よ!また子供を連れて遊びに行っても良いかしら?」
紗那のお願いを肯定し、私は笑う。
「これは音之進さんが初登場する回かしら?それなら私が一緒に行けば無駄に暴れることはないはずだけど。しとりさんもいるなら、問題ないわよね!」
ウンウンと一人で頷く紗那に小首を傾げつつ、剣路と一緒に洋服屋を出ると「アイツ、あの声のデカさどうにかならねえのか?」と呟く。
ん、それは難しいよ。
「しとり、アイツを巻き込むか?」
「ううん、紗那は友達だよ。それに鯉登って剣路の仲良くしていた薩摩隼人だよね?」
「ああ、剣士としての腕前は互角だ」
じゃあ、私より弱いね!
そう言うと物凄く口をへの字に曲げる剣路に思わず、クスクスと笑ってしまう。けど、そういうことなら仕方ないね。
「由竹を助けるとき、左手の刀を抜くね」
「やめろ。危ないヤツだろ」
「でも由竹も友達だよ?」
「……杉元達とオレがいく。逃げるときに援護してくれれば大丈夫だ」
ちょっとだけ剣路の言葉の節々に「オガタと一緒にいるな」という意味を感じ、剣路は私への独占欲でいっぱいだと私は感心してしまう。
次からも気を付けないとだね。