静かな夜だと思っていたその時、連続して聴こえる銃声に飛び起き、剣路のお腹を踏みながら刀を掴み、着物と袴を履いて、宿屋の窓の外に身体を乗り出す。
「あのお店だ。剣路、行こう」
「み、鳩尾踏みやがったな……ッ」
怒っている剣路にお尻を叩かれ、ビックリしながらムッと怒った顔を向けるも窓の外に飛び出し、そのまま燃える商店の戸を蹴り、お店の中に入ると鶴見達が一斉に此方を見てきた。
「ん、間違えた」
「糸色家の当主様だ!丁重にお出迎えしろ!」
「キエェエエエエェエッ!!!!」
ドタドタと階段から滑り落ちてきた男の顔は覚えている紗那の夫・鯉登音之進────。彼と目が合った刹那、ジャコンという聞き慣れない音が聴こえ、慌てて天井を斬って跳び上がる。
重々しい銃声、家の支柱が粉々に砕けてる。
「お待ちください、しとり!我々は貴女と交渉したいだけなのです!あまり暴れると手足の何処かが爆ぜてしまうかも知れません!」
私の事を率先して狙う鶴見に舌打ちし、二階を走っていると稲妻強盗の夫婦に出会い、切っ先と銃口を向け合うも直ぐに刀を鞘に納める。
「目的は私に変わった。二人とも窓の外から屋根を伝って逃げて、あと糸巻きの家紋がある家を見付けたら『しとりに助けて貰った』って言えば匿う」
そう言いながら印籠を差し出す。
突然の事に困惑する二人とは別の青年にも同じように説明し、階段を上がってこようとする音を聞き、三人は窓の外に待機していた剣路に連れられ、月隠れしながら姿が見えなくなる。
「ないごて、こん場所にしとりさんがいるのじゃんそか!
「ん、早口は分からない!」
振り抜かれた軍刀の一撃を横に飛び、畳ごと敷き板を両断する鯉登の剣撃を避ける。……自顕流、雲耀の太刀に届き得る剣技の冴えに私も意識を切り替える。
「しかし、
右蜻蛉の構え───。
「ん、なら此方も本気出す」
ゆっくりと腰を沈め、腰帯に佩く刀に左手を添え、お互いに必殺の間合いを保つ。右蜻蛉からの渾身の唐竹割りに対し、私は腰を沈めた居合の構えを取っている。
「キエェエエエエェエイッ!!!!」
右蜻蛉、雲耀の太刀。
イビツな金属音が響く。
「鞘受け?!」
「双龍閃……雷!」
鞘を捨てる覚悟で初撃を逸らし、鯉登の肩に峰打ちを叩き込み、後ろに飛び下がって無数に散る銃弾を避け、鶴見の事を見据える。
「私、お前嫌い」
そう言って外に飛び出る。