姉畑支遁を追いかけ、湿地を歩いていたとき、二瓶の銃が地面に転がっているのが見え、まさかと思って背の高い草の向こうを見ると、ヒグマに近付く姉畑支遁を見つけてしまった。
ズボンはどうしたの!?と叫びそうになる私を静止し、杉元は歩兵銃を構えて姉畑支遁を狙っていた刹那、杉元の身体は消えた。
「ヤチマナコだ!」
「チノマナコ?」
頭の中に浮かぶアヤカシを無視し、ヒグマに襲われる姉畑支遁の傍に駆け寄ろうとしたとき、私達の足元を避けて、二瓶の相棒だったリュウが地を蹴り、二瓶の銃に噛みつき、離れていく。
「ぎゃあぁーーーっ!!痛い痛い!」
「何やってるんだ、あのバカ囚人!?」
「杉元!しとり!ヒグマが襲ってくるぞ!」
「ホパラタ!!」
バサバサと濡れた着物を振って威嚇する杉元に戸惑いつつ、彼の胸を押して池の中に落とし、片手で電光丸を抜刀し、ヒグマの鉤爪を受け止めるも私も吹き飛ばされ、地面に背中を打ち付け、苦悶の声を上げながら電光丸を構えて、身体を起こす。
「しとり、大丈夫か!?」
「んッ、谷垣とオガタ?」
よく見るとキラウシ達も一緒に居ることに気付いたけど。このままじゃ、姉畑支遁はヒグマに食べられて死んじゃうかも知れない。
こうなったら、やるしかないっ。
「口を開けなさい、姉畑ぁーーーっ!!!」
「神よ、応えてくれるのですね!ありがとう!」
私の叫び声にビックリする、みんなを無視し、ヒグマに張り付いている姉畑支遁の大きく開いた口に向かって母様の作った動物に変身するお菓子を丸めて固めたものを放り投げる。
何か叫んでいたけど。
遠すぎて聞こえなかった。
しかし、姉畑支遁の身体が変わり始める。
「なんてこった……」
「みんな、見てるか」
「あ、ああ……」
「「「「変態が、変態した」」」」
ん、変態じゃなくて変身だよ。
そう言いたい気持ちもあるけど。
杉元も何か騒いでいるけど。多分、姉畑支遁の事を凄いとか言ってるんだろう。……けど、クマに変身するお菓子を纏めて丸めたから何時間変身するんだろう。
「ウコチャヌプコロしやがって」
「アシリパ、大丈夫?」
「私は大丈夫だ。それより、しとりの投げたアレはなんなんだ?」
「動物に変身するお菓子だよ。人を止めてしまえば、もう姉畑は悪さ出来ないでしょう?」
「ははぁ……人を止めるか」
「ん、猫もあるよ」
「要らん」
私の差し出すお菓子を突っぱねるオガタに呆れ、杉元はまだ大興奮している。杉元、乙女さんなのに、こういうの好きなのかな。