ヒグマとウコチャヌプコロした姉畑支遁を何故か先生と呼び始めた杉元に、みんなは冷ややかな視線を送っている。
あのオガタでもドン引きしているのに、何故杉元はあんなに大興奮しているんだろう?と小首を傾げながら、ヒグマに変身してウコチャヌプコロした姉畑支遁は自然に帰った。
いや、ちゃんと捕まえた。
人間だから大人しいヒグマだ。
シャツがすごくギチギチしてるけど。
「姉畑、これ食べて」
「なんでこんにゃくを?」
谷垣の呟きを聞き流して、姉畑支遁の口の中に「翻訳コンニャク」をねじ込み、飲み込んだ姉畑支遁は「味噌コンニャクてますね。とっても美味しいですねえ」と、ヒグマのまま話し始めた。
「ヒグマが喋った!?」
「姉畑先生、アンタ凄かった!」
「ん、喜ぶのはいいけど。谷垣の無実は証明できたけど、杉元達の目的は果たせない」
「え?あ」
「毛皮になったからな」
「おい。どうにかしろよ」
私に頼るオガタににっこりと笑みを向けると「……フン」と顔を逸らした。フフ、やっと私の目を見て話したね。誰に重ねたのかも教えてほしいな。
「ん、姉畑。人に戻りたい?」
「いいえ、こうして憧れのヒグマになれたのです。私はこのまま自然の一部として、余生を過ごすつもりです。やはり、貴女と貴女の母君は私にとって、唯一応えてくれる神様でした」
「神、ねえ?」
「うーふッ…!」
「じゃあ、せめて人に戻ったら油紙に写しを持ってきてくれたら今度は完全にヒグマになれるお菓子をあげるよ。みんなもそれでいい?」
「是非、そうしてください!」
「もうウコチャヌプコロするなよ?」
「ウコチャヌプコロ」
「姉畑、人に戻ったら母様のお墓参りに来てね」
「っ、やはり、彼女は」
ん、ずっと母様の事を尊敬して慕ってくれていたのは何となく分かったから、ちゃんと生きてお墓参りにきてほしい。
母様のお友達じゃないけど、知っている人には来てほしい。父様もそうしたら元気になると思う。今は少しだけ無理しているようにも思えるから。
がんばれば、行ける。母様のやり残したことも終わらせて、お友達みんなを連れてお墓参りに行くから、ちゃんと母様も天国で笑っているべき。
父様もそのほうが喜ぶから。だから、私の覚悟は変わらない。大事なお友達を連れていけば、母様も喜んでくれる。
「ところで、姉畑先生の見分け方どうする」
「染め髪する?」
「何色にするきだよ」
「青色だよ」
アオアシラっていうクマがいるらしい。
母様が話してくれた。
私も青毛のヒグマを見たい!