熱い、臭い、熱い……。
モゾモゾと袖の中を漁って石ころ帽子を被り、襖を開け、押し入れの中に隠れ、私は目を閉じる。あんまり気分が良くない気がする。
みんな、褌だけになるし。
いきなり相撲を取り始めて、すごく怖い。
オガタも褌だけで寝そべっていたのに、無理やり起こされ、キロランケや由竹、谷垣、杉元、剣路達とすごく組み合っていた。
「ウッ、ハァーッ…!」
「ヌゥッ…!」
「あぁあっ…」
なんだか押し入れの外で肉を打つ音が聴こえる。剣路達が何かしているのかなと考えながら、身体の熱を出すために、呼吸の仕方を変える。
「まだまだぁ!」
「うーふッ」
「ふぉあっ…!」
臭い。なんだか凄く、汗の臭いがする。
「……ここか?」
「え?」
ごとりと押し入れの襖が開き、褌だけの剣路が私の事を見下ろしているのが見えた。見えてる?と聞こうとした瞬間、襖が閉じられ、手探りで身体に触れられる。
突然の事にビックリしながら、押し退けるも剣路の手が私の顔に触れ、手が髪の毛をかきあげ、石ころ帽子を外される。
「んッ、や…!」
「いたな。あぁ……やばい、頭がグラグラする」
ワシャワシャと頭を撫でられ、汗だくの身体に抱き込まれる事にビックリするも離してもらえず、刀を抜こうにも電光丸は押し入れの外の支柱に突き刺しているし、両手の指は握り込まれて使えない。
「んッ、んんんッ…!」
「柔らかいなあ」
私の胸に顔を押しつける剣路に怒るも赤みがかった顔に、ドキドキとしてしまう。母様が父様をいつも見ていたのは、こういうところだったのかな……?
腰帯に剣路の手が伸びる。
「だ、だめっ」
「なんで?」
「ひ、ひとがいるよ…」
「杉元達ならもう外に行ってる。しとりが居ないから探しに行くって言ってたからな」
「じゃあ、出ようよっ」
そう言って剣路に訴えるも聞いてもらえず、私の髪を結っていたリボンが手を縛り、刀を呼び出すために必要な指が使えなくなる。
今日の剣路、ちょっと変だよ?
「……ダメか?しとり」
「うぅ、私の方が強いのに…」
母様も同じように首筋をよく噛まれていたけど。
首に噛みつくのは自分のモノだって他の人に見せつける意味があるって聞いたことがある。やっぱり、今日のけんちゃんは不埒で破廉恥だと思う。
私の事を見下ろす剣路の目が、戦っているときに見せる鋭さを纏い、とても怖いけど。すごく、心臓がドキドキしてしまっている。
ん、これは諦めた方がいいのかな?
「んッ…やさしく、してね?」
「善処する」