それからアシリパを連れ、夜の山中を捜索する途中で土方歳三達も合流した。
ただ、土方と新八は盲目の囚人を率いる都丹庵士達を説得し、網走監獄に向かうと言ってきた。べつにそれは構わない。
────ただ、その前に私は記憶を抜き取る発明品を使い、温泉での出来事(主に私のいたとに)を杉元達の記憶から消す。
「やめろ。なにする気だ」
「しとりさん、なにそれ?」
「ん、記憶を消す」
「しとりちゃん!?」
「ヌッ…!」
「待て待て、俺達はちがうぞ」
ピコッ! ピコッ! ピコッ!
素早く三人の頭を殴って記憶を抜き取り、谷垣を見る。そういえばさっきまで谷垣はにいなかったけど、やっぱり何かあったのかな?とインカラマッとキロランケの二人を見る。
……怪しい。
「まあ、覚えてたらその時だね」
剣路の傍に移動し、刈羽君を見る。
剣路に聞いたけど、刈羽君も日露戦争に行っていたらしい。と言っても同じ場所にいたわけじゃないけど、刈羽君にも異名があるそうだ。
不死身の杉元。
剣鬼の緋村。
無傷の坪内。
死なない杉元に、斬り伏せる剣路、そして無傷のまま帰ってきた刈羽君。母様なら知っているのかも知れないと思いながら土方の近くに居る彼を見遣る。
「坪内、お前も居たのか」
「お久し振りです、杉元さん。自分は此方です」
「そうか。殺すときは頚だな」
「ははは、斬っても死にませんよ」
ん、死なない敵は切り刻んで燃やせば大丈夫だって明日郎が言っていた。でも、刈羽君を斬るのはイヤだから戦いたくない。
そんなことを言ったら、剣路が勘違いして怒るからあんまり言わないけど。みんな、都丹庵士を捕まえる前提で話している。
「しとりさん、危ないから手を」
「アホか。しとり、オレの手を握っとけ」
「ん、ごめんね。刈羽君」
「……いえ、大丈夫ですよ」
少し目の鋭くなる剣路と刈羽君に挟まれ、斎藤や新八、土方達が「まだまだ若いな」という呟きに小首を傾げながら、手を繋いで歩く。
みんな、危ないことばかりする。
ひとえがいたら手足が折ってでも止めている。
「しとりちゃん、飴ある?」
「ん、あるよ。ほしいの?」
「やるな。白石も寄るな」
「クゥーン」
「虐めちゃダメだよ、剣路」
「虐めてねえよ」
「ほんとうに?」
そう言うと剣路は視線を逸らした。
ん、やっぱり虐めてるんだね。
悪いことしたらダメだって言ってるのに。
「あとで謝ろうね?」
「……フン」
「ははあ、かかあ天下ですなあ?」
「オガタも杉元に意地悪したから謝ろうね?」
「チッ。お前は俺の母親かよ…ッ、ふん…」