ガサガサと草花を掻き分け、進む杉元達の近く、山道を歩いて注意を逸らす役目を担う。銃撃より迅い抜刀を使える私と剣路は適任だそうだ。
おのれ斎藤。
許せん。
私と剣路の事を何だと思っているんだろうかと悩みつつ、目隠しをした男達の振るう鉤付き刺股の穂先を切り落とし、捕縛する。
昼間に会えば、こうなるよね。
「くそっ」
「ん、大人しくしててね」
飴を渡して落ち着かせ、カラコロと聞こえる飴を舐める音を聞きながら歩いていると、古びた旅館に辿り着いた。勝手口側にいるであろう杉元達も気になる。
「退いてろ、しとり」
「人は斬っちゃダメだからね?」
「分かってる」
そう言うと剣路は刀を返し、峰に構える。
戸を蹴破り、中に入ると同時に銃声が聴こえ始め、勝手口側からも騒ぐ声が聴こえてきた。
剣を振るう音を聞き分ける。
「(鉄の重さが違う?)」
ピクリと眉間に皺が寄る。
土方と新八だ。二人とも加減せずに斬りかかって倒している。人を殺すのは悪いことだって、みんな分かっているのに止められない。
「おい、どうなってる?」
「聴こえてるんじゃないの?」
「俺らは都丹さんほど耳はすごくねえんだよ」
「そうなの?」
そういうこともあるのかと納得しつつ、私は剣路達が戻ってくるのを待つ。ただ、暇なので足元に転がっている石を拾い、指で弾く。
真庭忍法「撒菱指弾」。
たしか、こういうものだった気がする。
ダダダダダダダダダダダダ…!と指で壁に穴を開け、呻く声が悲鳴が聴こえたかと思えば、雨戸を斬って、剣路が出てきた。
「ん、どうしたの?」
「お前はオレを殺す気か!?」
「ただの石だよ?」
「中々の跳ねっ返りだな。糸色」
「土方さん、あれはただの阿呆だ。母親のような思慮深さは無い。あるのは、天性の感覚と天賦の才能を鍛えただけの女版抜刀斎もどきだ」
とんでもなく失礼だと思う。
お義父様は悪い人だったけど、今はもういい人だから許してあげてほしい。
いや、どうなんだろう?と小首を傾げる。いい人ではある、父様とよく話してくれるし、難しく考えることもなくなったし。
「(みんな、弱いのにね)」
人を斬った事の無い私が言うにもアレだけど。妖怪や幽霊は斬った。悪さをする事と悪いことをするのは違う。けど、やっぱり強盗はダメだと思う。
稲妻夫婦もそこは反省してほしい。
「しかし、これはどうしたものか」
「ぐおおぉっ、みみがっ、マキシマム銃が」
「石だよ?」
「あれが石なわけねえ。絶対にマキシマムだ」
ん、けんちゃんも出来ると思う。