「しかし、犬童がそう簡単に通すのか?」
「そこは賭けになるだろうな。だが、不破の事を言えば問題なく入り込めるはずだ」
「斎藤のおじ様がいけばいい」
「阿呆が。俺は顔が割れているんだぞ」
そう言えばそうだったと納得し、ムスッとする。きっと私は掴まって酷いことをされる。そうなってもいいの?と聞けば剣路が動くも、みんなによって直ぐに取り押さえられていた。
「離せ!オレのしとりが検査を受けるのは絶対に認めん!認めんぞおおおおぉ!!!」
「検査?」
なにかされるの?とみんなを見るも視線を逸らされた。アシリパも知らないから、みんなのことを見る。......すごく気になるけど。
我慢しよう。
そんなことを考えながら、私は普通の着物に着替える。袴は履かないほうがいいのかな?と小首を傾げつつ、剣路のほうを見ると「オレの妻を変態の巣窟に送るな」と、ものすごく騒いでいる。
すごく必死でかわいい。
「ぐぬぉぉっ!」
「ん、剣路が必死なの珍しい」
私と戦っているときより必死だね。
「なあ、杉元。検査ってなにをするんだ?」
「アシリパさんには、まだ早いかな」
..........ということは不埒なヤツだね。
なんとなく察し、剣路の傍に戻る。
明治新政府の成り立ちに貢献していた人斬り抜刀斎の方を押し出せば大丈夫だと思うな。私の身体は剣路と子供達のものだからね。
「キロランケ、他に何かある?」
「アイヌの衣装で鮭を売りつつ、情報を集めるっていうのもあるが。お前の耳じゃすぐにバレる」
そう言われると確かに耳は小さい。冬国だと身体の一部は適応しようと、変化する。だからアイヌの耳は大きくなっている。
私達との違いはそこだ。
「ん、がんばる」
「ははぁ、大変ですな。華族だというのに」
「そこは気にしてない。触られるのはイヤだから素手で分からせる」
パキッと指を鳴らす。
「七百人を素手でか?」
「ん、私のパンチは速いし、鋭い」
ちょっと小馬鹿にしてきたオガタの銃剣を抜いて、見せるとスンとなった。よしよし、ちゃんとしてて偉いね。ハッカ飴をあげようね。
しかし、オガタも変な気配がする。
「しとりに近づくなよ、尾形ァ…!」
「近づいてきたのはあの女だ」
「オレの妻だぞ!」
ん、けんちゃんうるさい。
みんなも私がけんちゃんの妻だって知ってるし、そんなに騒いだら見つかっちゃうって心配しているだけだから、何も悪いことしてないんだよ?
「剣路は愛妻家なんだな」
「束縛しているようにしか見えんが?」
それもまた、愛なんだよ。オガタ。