石ころ帽子を被って、私は門倉の傍にいる。
門倉の事を見ておけ。という斎藤と土方、新八のお願いを聞いているだけだけど。本当に悩ましい。門倉が転ぶと、私の袴が脱げる。
わざとなの?と聞きたくなる所業だ。
「ん?なんか柔らかいな」
「私の胸だよ、門倉」
「おお、俺は世帯者だ」
「知らないよ、門倉」
そんなことを話しながら呆れる。
門倉はハレンチだ。
ベチベチと頭を叩いて怒りつつ、杉元と土方達の進める準備について考える。やっぱり、怪しいところはまだまだある。
あと門倉はハレンチだ。
いきなり袴を脱がしてくるし、胸に触ってくるし、見えないはずなのに、此方を見ていたりする。すごくすごく怪しいところばかりだ。
門倉は怪しい。
ちょっとだけ、試してみようかな。
そう思って電光丸の鯉口を切った刹那、私の手の内に爪楊枝が刺さっていた。いつ、なげた?とビックリしながら、私の天眼通で追えない速さに感嘆する。
新撰組が太鼓判を押すわけだ。
門倉は怪しくて、強い。
爪楊枝を抜いて、消毒液を塗り込み、しっかりと殺菌してガーゼを貼り、包帯を右手に巻き付ける。門倉は、わざとドジのふりをしている。
「あれ?爪楊枝どこだ?」
わざと、そう言っている。
「門倉看守長、見回りの時間ですよ」
「えぇー?早くないか?」
「犬童の命令ですので」
「呼び捨てはやめとけぇ?」
そんな会話を聞きつつ、私は軍刀を見る。
誰かの忘れ物……なんか臭い。
触ってみようかと思ったけど。ものすごく臭いから離れて、門倉の背中を追いかける。喧々囂々とした牢屋の近くを通る度、門倉の視線はうごく。
私もそっちを見ると逃げやすい場所、人の視線を受けない場所、色々な死角が見える。成る程、私に逃げる場所を教えて、伝達を任せるつもりなんだね。
「門倉看守長ぉ~!」
「うげっ、宇佐美か」
「うげって、ひどいなもう」
ニコニコと笑う見覚えのある男にドン引きし、私はそそくさと離れようとしたとき、またしても私の目の前を拳が横切り、危うく頭を潰されるところだった。
「......何してるんだ、宇佐美」
「ああ、いえ、人の気配がしたもので」
ん、やっぱり危ないヤツだ。
「そういえば外壁の近くにアイヌが住み着いたらしいですけど。僕が殴り殺してきましょうか!」
「馬鹿。問題を起こすな、ったく」
つかつかと離れる門倉。
「そういう貴方も一番悪いですよね」
ボソリと、そんなことを呟くウサミに視線を向ける。やっぱり、こういう人間はすごく苦手だと私は、思ったりする。