「しとり様、行き先は樺太だそうです」
「ん、ありがとう」
忍者の言葉にお礼を言いつつ、右手に手甲を身に付ける。辛うじて開閉は出来るようになったけど。半月(約12日ほど)も遅れている、アシリパ達が心配だ。
「剣路、大丈夫?」
「……大丈夫に見えるかよ」
少しだけ顔の腫れた剣路にクスクスと笑うと「お前、なんで半月で剣の構えや動きを修正できるんだよ」と言われても剣術は天才だからね。
「けど、出来ない事は増えたよ。居合だけはもう無理だった」
まだ、飛天御剣流の奥義を学んでいない分、残念に思うけど。比古先生に頼めば左手用の奥義を教えてくれるかも知れない。
そこは、ちょっとだけ楽しみだ。
「樺太に杉元達はいるのか」
「アシリパを追っているはずだけど。おそらく第七師団もいる。鯉登君と樺太に向かうって紗那の手紙に書いてあった」
「アイツ、当たり前のように情報漏洩してねえか?いや、それでオレはお前を助け出せたんだが」
そう言って顎を触る剣路は「どこでもドア」のドアノブをひねり、樺太行きの海港に連れていってくれる、こういうときに記憶は大事だと思う。
「さて、どうやって渡る?」
「ん、船を買う?」
「借りると言わず、買うのか」
規模の違いだけど。
小さな船なら寝ずに動かせば、すぐに樺太まで行けるはずだ。オガタにこの右腕の事を言って、しっかりと注意しないといけない。
「オーホッホッホゲホゲホッ!?…や、やっぱり高笑いは無理ね。んんッ、ゴホン、親友の手助けのために鯉登紗那、来たわよ!!」
「ん、問題なかったね」
「一応、敵対してるヤツだよな?」
「「マブだから問題ないわ」」
私と紗那は手を取り合うとき、彼女の視線が私の右手に向いたことに気づいた。
「しとり、まさか撃たれたの?」
「ん、右手は使えない」
「……よし、ソイツを殺しましょう」
「その話しには賛同だ。ブッ殺してやる」
オガタの殺すと言って、楽しそうに笑い合う二人を追いかけて、私はちょっと派手な船に乗り込むと「いざ行かん!音之進さまあ!」と紗那は吠える。
「第七師団はいつ出立したんだ?」
「今朝よ、追えば追い付けますわ!」
「ん、それなら問題ないね……ところで、杉元とのっぺらぼうは大丈夫だった?」
「のっぺらぼうは黙秘しているそうですわ。金塊の在り処、アシリパの身柄との交換なら応じると考えているみたいだけど。鶴見は、そんなこと微塵も考えていないのにね」
「そうなの?」
「えぇ、因果は廻っているもの」
ん、また言葉を濁している。
とても怪しい。